世界を己の色に染める。
その栄光を、君は求めるか。
その重荷を、君は背負えるか。
人は、己一人の命すら思うがままにはならない。
誰もが逃げられず、逆らえず、運命という名の荒波に押し流されていく。
だが、もしもその運命が、君にこう命じたとしたら?
世界を変えろ、と。
未来をその手で選べ、と。
君は運命に抗えない。
―――だが、それは置いといて俺はユグドラシルを許さない!
第1話「変身!尻からヘルヘイム!?」
俺、角居裕也は、ダンスチーム「鎧武」のリーダー。
今、ここ「沢芽市」では、ダンスをするためには「インベスゲーム」に勝つ必要があるんだ。
困ったことに、うちのチームには金が無い。
インベスゲームでは財力がものを言うんだ。
でも、もう心配いらないぜ。
ディーラーのシドから、戦極ドライバーを貰ったからな!
戦極ドライバーはまな板の一種だ。
これを使えば「変身」できるらしい。
これでもうインベスゲームも負けないぜ!
さっそくチームメイトの舞と、親友の紘汰を呼び出して、俺の変身を見てもらうことにしたぜ!
「早く来ないかな~!」
早く俺の変身を見せたい。
俺自身、どんな感じになるかまだわからないからドッキドキだぜ!
「ん?なんだアレ」
その辺にチャックみたいのが開いてて、向こう側に森が見えた。なんだアレ。
穴があったら入れたいタイプの俺は、チャックの向こう側に行ってみようと思ったが、やめろって声が聞こえた感じがするから、大人しく紘汰たちを待つことにしたぜ!
「裕也ー」
「おお!来たか!紘汰」
「舞は、俺が来るなら来ないってよ!」
こいつが葛葉紘汰。俺と一緒にチーム鎧武を立ち上げた男だ。
自立するためにチームを抜けて、今はアルバイトを頑張ってる。
同い年の俺からしたら相当耳が痛い話だぜ!
「よし、見てろ、俺の変身」
「変身?」
「変身!」
俺は戦極ドライバーと、同じくシドから貰ったオレンジのロックシードで変身した。
オレンジアームズ!
花道オンステージ!
「どうよ?」
「ウッホワァァァ!スッゲエエエ」
「だろ」
俺の変身へのリアクションもそこそこに、穴があったら入れたいタイプの紘汰は、チャックの向こう側に行ってみたいと言い出して聞かなかった。
そんなに言うなら行ってみようと言うと、紘汰は喜んでいた。そんなに嬉しいか。
チャックの向こう側は、見たまんま森だった。
何か変な果実がいっぱい成ってた。
「裕也、なんだろ?これ」
「わからん」
「すっげえ美味しそう」
「食べてみろよ」
「いや、それよりもさ」
ここで紘汰の悪癖が出た。紘汰は、尻から食物を摂取するのが得意なのだ。
これは俺と紘汰だけの秘密だ。
あくまでも、食物を摂取するのが得意なのだ。
食物以外は尻に入れたりしない。決して。
「よし、裕也、見ててくれ!」
「おう!」
オレンジスカッシュ!
意味なく戦極ドライバーをいじってたら変な音が出てビックリした。
紘汰はズボンとパンツを脱いで、「ここからは俺のステージだ!」と叫ぶと、尻に果実を入れていった。
「ウッホワァァァ!スッゲエエエ」
「そんなにすごいのか?」
「ウッホワァァァ!」
オレンジスカッシュ!
「ん?紘汰、なんか顔変わってないか?」
「ウッホワァァァ!」
尻に果実を入れ終えた紘汰は、化け物になっていた。
「おい紘汰、おまえ化け物になってるぞ」
「マジかよ!シド許さねえ!」
「ああ!許せないな」
「シド許さねえ!」
紘汰は、その辺にあった果実をもぎ取ると、チャックに向けて走っていった。
俺はそれを追いかけた。
シドはいつもの喫茶店・ドルーパーズにいるはずだ。
「シドォォォ!」
ドルーパーズのドアを蹴破ると、紘汰は絶叫した。
「うわ!インベス!」
シドは叫んだ。
「おい紘汰、ドア壊すなよ。マジで」
店長は目が笑っていなかった。
「シド、覚悟しろ!」
俺はシドを取り押さえた。変身すればこんなヤクザみたいなやつでもチョチョイのチョイだ。
「今だ!紘汰」
「ここからは俺のステージだ!」
紘汰はシドのズボンとパンツを下ろすと、シドの尻に果実を入れていった。
―――やめろォォォ!その果実はヘルヘイムの森から来るヘルヘイム果実といって、摂取したらインベスと呼ばれる化け物になるんだ!
インベスに襲われた人間はその身体からヘルヘイム果実が生え、10年後には世界はヘルヘイムの森に侵食されるんだ!
インベス化から人類を守るための道具が戦極ドライバーだが、10億台しか生産できないため、残りの60億の人類は我々ユグドラシルが間引きするんだ!
だが、実はそれは全て建前で、俺は森に住まう知性を持つインベス・オーバーロードと接触し、奴らが持つ禁断の果実を手に入れるんだ!
あと、戦極凌馬はホモだ。
もう誰の言いなりにもならねえ!
誰にもなめた口は利かせねえ!
俺は、人間を越えるんだアッー!
シドはここまで一息で叫ぶと昇天した。
もちろん、その様子はiPhoneでバッチリと撮影したから、あとでYouTubeとXVideosに投稿するつもりだ。
シドも紘汰と同じく化け物になっていた。
「あの…紘汰さん、もう一回」
シドは恥ずかしそうに紘汰にそう言った。
やれやれ、すっかりヤられちまったようだな。
「そう言うと思って、果実は何個か持ってきている」
再びシドの尻に果実が入ってゆく。
俺はとりあえずパフェでも食べるか。
店内にいたDJが憂いを帯びた瞳で紘汰たちを見つめていた。ホモに違いない。
つづく