休日。
入学試験は両方終了し、疲れ切った私は、自宅で本を読んでいた。
だんだんと音が聞こえた。階段から駆け上がってきている人がいる。恐らく私の姉か弟だ。
ドアを開け、「こより!」と叫んできた。この声は…
「亜季姉…」
ボーダー元A級4位、現B級1位、二宮隊オペレーターの氷見亜季である。
亜季姉と私は従姉妹で、私んちにたまに遊びにやってくる。
仲は良すぎると言ってもいいぐらいには、従姉妹仲は悪くない。
「久しぶり」
「3か月……いや5か月くらい?用事は?」
話がしたいときは、電話やラインで済ませる。会うことはめったにないし、
あったとしても、お互い用事があって、すぐに遊んだりできることは少ない。だからこそ、突然の来訪に驚いたのだ。亜季姉は、話し始める。
「進学先は決まったの?」
―という問い。亜季姉は、私が雄英を受けたことを知らない。滑り止めとして、他の高校も受けているけれど。私に少々過保護気味な亜季姉は、きっと、六頴館を進めてくるであろう。こうなったら、止めるのはいろいろとめんどくさくなると、経験と勘が告げている。
適当に、三門第一と答えれば、納得してくれるだろう。嘘をつくのは嫌だけど、仕方ない。
「まあ、一応。三門第一が第一志望で、六頴館は第二志望」
「そっか、ああ、あと」
何か思い出したようで、ちぐはぐに言葉をつなげた。
「宇佐見が呼んでた。玉狛に来てって」
宇佐見とは、宇佐見栞、亜季姉と同じクラスの、玉狛支部所属のオペレーターだ。
用とは大体予想がつく。私の個性の話だろう。
ドアをたたく。水の流れる音が聞こえる。「はーい」と返す宇佐見先輩の声が聞こえる。
菊地原ほどではないけれど、少しばかり耳がいいので、ここはいい音ばかりで心地いい。
降りてきた宇佐見先輩はドアを開ける。すり合わせをしておかなくちゃ、と頭の中で暗記する。
「おひさ~入って入って」
久しぶりの玉狛支部。なんというか、いい匂いがする。
宇佐見先輩が話したところによると、今いるのは、迅さん、レイジさん、小南先輩、陽太郎(雷神丸)、オサムくん?とユウマくん?とチカちゃん?らしい。私たちは訓練室へ向かう。
そこには迅さんとユウマくんがいた。
宇佐見先輩に聞いたとおり、綺麗な白髪で、身長が小さい。
「なんで呼んだかなんだけど―」
「“個性”の話だな」
宇佐見先輩の言葉を迅さんが遮る。
ユウマくんは話が分からないようで、頭に?マークを掲げているのが見えた。
「迅さん、個性ってなに?」
個性、についてユウマくんが聞く。
「個性ってのは、あー…、その人の特徴みたいなものの総称って意味の単語なんだけど、まあ色々あって超能力―つまり、トリガーを使わないですごいことができる、みたいな感じだな」
「?」
あの説明なら、わからないのも無理はない。単語としてあったものを、固有名詞にしてややこしくしてるからな。超能力ってのも、説明しにくい。どっちの気持ちもわかるよ。
「で、私の個性について聞きに来たというわけですね、なんでですか?」
「…先の大規模侵攻にかかわってくるかもしれない。そういう未来が見えた」
大規模侵攻。4年前に起きた第一次大規模侵攻。それとは違う、二回目の侵攻が来ると、
この前通達があった。その未来にかかわっている、ということ、そして_
「それ抜きにしても、この世界で個性を持っているのはお前だけだからな」
…その通り。私は、私の個性は、トリガーを使えるだけじゃなくて、
「だから、あっちの世界のことを教えてほしい」
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