最後は幼馴染に負ける悪の話   作:チキンの山椒漬け

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第4話

 調査チームは二週間で魔族誘拐に関与している団体組織の居場所を特定したみたいだった。それに加えて監査官が残した文書の裏取りもしていた。ちゃんと情報の精査を行おうとする点はポイントが高い。

 

 けどちゃんとこっちが用意した情報に引っかかって、真相に辿り着く事は出来なさそうだから一安心。

 

 魔法技術では無く純粋な科学技術のみで監視していたから動向については完璧に把握出来た。フォン=テルムの指揮を楽しみながら見ていた。

 

 するとフォンの指揮は的確で素晴らしい事が分かった。それと同時に人界において法律スレスレな行為も確認したけどね。

 

 一応これで問い詰める事も出来るけど、どうせならもっと問題行動をしてもらおう。越権行為が引き金となって大きな問題に発展して欲しい。魔族側が何も言い出せなくなるくらいに大きな問題に。

 

 その為に用意したのが、僕が作った戦闘用クローンだ。調査チームは捜査権は持っているが、基本的に戦闘は許可されていない。緊急避難的な意味合いでは許されているが過剰防衛なんてした日には……。

 それに魔族との戦闘データなんて中々手に入らないし、丁度良いからね。頑張ってね!

 

 

 フォンが率いる魔族調査チームはとある反社会的勢力のアジトに潜入していた。潜入がバレたら即アウトにも関わらずだ。見つかれば戦闘に発展してしまう可能性が高く、周囲は住宅街。騒ぎにならないはずがない。

 

 ここで魔族の子供を取引するという情報が流れたからだ。当然この情報は隠されており、ここ以外の複数の取引場所が情報として流されていた。

 

 しかし調査チームにおいて情報戦を得意とする者の活躍により、本当の取引場所を突き止めることが出来た。まあ取引される物も目的も本当は違う訳ではあるが。

 

 担当した者の実力が不足していた訳では無い。寧ろ、調査チームの一員となる程に優秀だ。慢心し普段は行わないようなミスをした訳でも無い。ただ最初の一歩を踏み間違えただけなのだ。全ては魔族の監査官が残した資料の全て証拠が偽装されたデタラメであるという事を見抜けなかった事が原因だ。

 

 そして今、潜入していた者達に用意された罠がジリジリと迫ってきていた。

 

 夜が更けてきた頃。取引が開始された。フォン達が予め確認していた通り、とあるカルト宗教に属する者だった。

 

 金品の類いと魔族の交換。他にも何かの薬品と思われる物やマジックアイテムまで様々。取引されている魔族の子供は檻に入り布に包まれているためよく見えない。しかしカルト宗教側の人間は気にした様子はない。

 

 フォン達はギリっと奥歯を噛み締めた。ここでまぎか魔族の子供を助ける事は出来ないからだ。フォン達は皆、自分達が越権行為スレスレ、なんなら線を踏み越えて捜査しているという事を自覚しているからだ。

 

 重ねて言うが調査チームの面々は優秀だ。人族に対する驕りはあれど、実力は本物だ。そして行動の線引きも問題は無かった。同族を助けたいという気持ちを抑え、証拠集めに徹するという意味でも。

 

 ただ認識は甘かった。自分達が既に罠にかかっている等、考えもしなかった。

 

 ドンッと金属に何かを殴りつけたかのような鈍い音。そんな金属音と共に魔族の子供が入っていた筈の檻が弾け飛んだ。

 

 監視していたフォン達は一体何事かと目を見張り、現状認識に意識を注いでいた。それは取引していた人間も同じようで、何の騒ぎだ、と叫んだ次の瞬間。檻の近くにいた者の首、全てが飛んだ。

 

 ビチャビチャと噴水のように赤い色の液体が流れ落ち、床を赤く染めていく。

そして流れ出る血溜まりの中でニタニタと笑う黒い影。その背には二対の翼が生えていた。

 

 

 僕はポップコーンを片手にソファに座りながら一連の流れを映像として見ていた。

 

 突如として始まった虐殺に魔族連中はどんな反応を示すのだろうか。今死んだ人間は元々、罪を重ね過ぎて捕まったら殆ど死刑みたいな物だから問題は無い。

 

 取り付けてたカメラからは、とにかく息を潜めてこの場をやり過ごそうとしているみたいだけど……。あっ、見つかった。

 

 僕が作った戦闘用クローンの試作実験体。まだまだ生産はおろか最適化すらされていない。

 

 クローンのコンセプトとしては人族では得られない膨大な魔力量を持ち、一定以上の戦闘技術を行使できる戦力と言ったところかな。

 

 そこで今回着目したのが、魔族が持つ翼だ。魔族にとって翼は強さの象徴であり、無くてはならない立派な器官である。そして翼という器官によって増幅される魔力を行使する事により超人的な力を得ている。

 

 翼に関しては研究当初に疑問を持って解剖や実験でのデータ採集や文献を漁ったりしてどうにか構造や仕組みは理解出来た。多分、チートが無かったら後、五十年は悩んでいたと思うけど。

 

 なら、その翼を人族にくっつけたらどうなるのかと言った疑問を解消する為に作ったのが今回の実験体。勿論、翼を行使出来るように調整は行ったけどね。当初、調整を行わなかった実験体は苦しんで死んでしまったから当たり前ではあるんだけど。

 

 それに関しては原因も分かっていてどうやら魂に魔力という不可が掛かるのが問題だった。ここら辺は儀式兵器の技術を応用して魂にフィルターを掛けてある程度の不可を除外出来るようにはした。それでも完全とは言えないけど、クローンだし平気だとは思ってる。

 

 戦闘に関してもチートによって様々な流派を学び、その上で組み立てた物をインプットさせた。研究の成果の一つとも言える。

 

 他にも肉体強化の魔法や遠距離魔法等、ある程度の術式を直接脳に刻み込んで通常だと時間が発生するプロセスを省略すると言った事もやってみた。

 

 そのせいでちょっと言語を司る部分が壊れたけど、まあ問題は無い。データ採集も出来たから次からはもっと洗練した方法が行えるし、失敗しないからね。

 

 そんな冒涜的な技術の結晶とも言える実験体が剣を片手にフォン達に襲い掛かる。魔力で強引にブーストし、その速度は目で追うのがやっと。情報端末を見ても実験体が今の所、正常に行動、動作が出来ている事が分かった。

 

 クローンに埋め込んだマイクロチップから情報端末に送信されるデータなんかも貴重な資料だ。これからの発展の為には。

 

 願わくば戦闘しているフォン達が実験体の全てを出し切らせた上で倒して貰いたい。

 ついでに実験に協力してくれる魔族の人達は犠牲が無いといいな。頑張って欲しい。

 

「あっ、ポップコーン美味しい」

 

 前世の記憶ではポップコーンを片手に映像を楽しむ文化があったから試してみたけど、本当に良い文化だ。僕は映画という物を見ている気分でフォン達に声援を送った。

この作品を閲覧した理由

  • Tiny Dungeonの二次創作だから
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