テイオーはまだ二冠取ってないです(どちらにせよ圧勝なのでレース描写はないです)
「栄養満点のペナルティドリンク……ってこれトレーナーもよくやってる奴じゃん!? ちょっとこれどういうことなのさ、トレーナー!」
配られた資料を見ながらプンプンという擬音が似合う顔で怒るウマ娘ことトウカイテイオー。いやまあどうもこうも…。
理事長代理曰く、食事を抜いたり食べ過ぎたペナルティとして栄養補助で使うそうなのでまあ。
「だって提供してくれって頼まれたから…。ちゃんと回復効果はばっちりだぞ」
「ウェーッ!? あんな苦いのヤダよー! 確かに食事は大事だけどさー、はちみーだって大事なんだからね!」
まあ当然、カロリー爆弾なはちみードリンクは禁止対象となる。
「……小テスト、ですか」
「ゼファーはテスト大丈夫か?」
テストで赤点だと週末に補習らしいけど。
まあその、将来的なことを考えると勉強は大事だよね。
一応、スズカはトレーナーになるための俺の勉強に付き合っていたのでそれなりに得意である。テイオーは天才肌、グラスは秀才。ゼファーは真面目にやればそれなりに。アヤベはまあ優秀。
「この風――――いなさでしょうか…」
「あ、うん。俺も教えるよ…」
とりあえずゼファーは表情からしてとても心配そうというか俺も心配。
「いえ、そちらではなく…」
「ああ、外出に申告が必要ってやつね」
「はい。まさか自由に風待ちに行けなくなるなんて……」
(いや多分施行されても平気で探しにいくだろうなぁ)
ゼファーが風関係で我慢できるとは全く思えない。
というかテスト……まあ一回失敗するのも経験か…?
と、天体観測で夜間の外出が必要なアヤベ的にも申告制度はかなり気になるようで。
「……天体観測の許可、いいわよね?」
「頑張って掛け合うよ…」
アヤベの目がガチなんだけど…。
幸い妹ちゃん(霊)がいるので本来よりは大分執着が緩いと思われるのだが、唯一の趣味だからな…。ふわふわ以外。ダメだったらなんかふわふわで許してもらおう。
グラスはレース以外ほぼ大和撫子なので特に問題なさそう。
「うーん、私は特に困らないですが……エルは困っていそうですねー」
「まあエルコンドルパサーはなぁ」
飼ってるマンボとかどうなんだろう。
まあでもキャラ?はともかく素は大人しいしな、エルコンドルパサー。
………ところでなんでスズカが俺の膝の上に座ってるのに誰もつっこまないの?
タマモクロスとか呼んでこないとダメ? という感じでテイオーに助けを求めてみる。
「え、トレーナーとスズカはいつもそんな感じだよねー?」
「いや膝は乗ってないぞ!?」
大体となりにぴったりついてくるくらいだから!
一応職場で堂々といちゃつかないくらいの分別はあるから! …あったから! 今は無いけど!
と、微妙な空気になったチームリギル(二号室)に颯爽と飛び込んでくる葦毛のヤツが。
「まー、ツッコミ待ちってことだな。ていうかトレーナー、お前が突っ込めばいいんじゃね?」
「あ、ゴルシ」
「突っ込むとか言うな。というか何か用か?」
くっ、この種付け大好きUMAソウルを引き継いだ破天荒ガールめ。
こちとら常に煩悩と戦ってるんだぞ。
思わずツッコミを入れてしまうが、当然の如く周囲から殺到する冷たい視線…。
いやテイオーとゼファーは分かってないからグラスとアヤベだけか。スズカ? そんな情緒があったら苦労してないのである。
案の定、スズカはめっちゃいい笑顔で振り返って小首を傾げる。
「好きにツッコんでいいですよ、お兄さん」
くっ、この常識未搭載の頭サイレンススズカガールめ…。
下ネタが似合わないウマ娘ランキング1位の称号を与えよう。
「なんでやねん…。絶対意味わかっとらんやろ、たわけ!」
「うそでしょ…!? お兄さんがタマモグルーヴに……」
何その微妙にいそうな馬名。いやいないか。
「じゃあ、タマモオニイサンとかどうですか?」
なんか微妙にいそうな気配がして嫌なんだけど…。
とか思ってたら大喜利が始まってしまった。
「アドマイヤクロスとか…?」
「トウカイクロス?」
「グラス……タマモワンダーはどうでしょうか」
「ではヤマニンクロスで」
結構冠名多いな!? そういえば全員冠名ありじゃん…。
微妙にカッコイイ気がするあたり馬名の万能性が光る。スズカの出したタマモオニイサン以外。
「んじゃアタシは
「それもう
デレレ~レレと謎のイントロが聞こえてきたような気がする。気のせいであってくれ。
「ゴルシちゃんは何度でも蘇るのだから……」
「
それ府中じゃなくて立川。
電車で20分くらいは離れてるから。
聖闘士お兄さァァァン! とスズカの声で叫ぶのが聞こえたような気がするが今度はまあ空耳だろう。
……いや待てよ。もしや頼めばあんな台詞やこんな台詞も言ってくれるのでは…?
やばいな。言って欲しい台詞が多すぎる。
だがあえて選ぶのなら―――。
「スズカ、ちょっと試しに『
「えぇ…? ら、ヴぃくとわーるえたもあ?」
「そうそう、良い感じ。今の感じでなめらかに」
「
「スズカさん…!」
「??? ……えっと、お兄さんが喜んでくれて良かったです…?」
「なんでフランス語で勝利宣言…? トレーナーも時々よくわかんないことするよねー」
なんでテイオーは意味分かってるんですかねこの子…。
「満足したか? じゃあトレーナー、ちょいとウチのトレーナーから伝言なんだけどよー」
「えっ。何?」
大事な話ならふざける前に言ってほしかったけど。
なにはともあれ、ゴルシは大したことではなさそうに言った。
「アオハル杯のエキシビジョンマッチやろうぜー。スピカとリギル二号でよ」
―――――――――――――――――
「感謝ッ! アオハル杯の開催に向けて、エキシビジョンマッチを催したいのだが――――リギルとスピカが恐らく最も盛り上がると思われるからな! そして本戦と異なり好きなチームを編成することでまた違うチームの楽しみもできる!」
「申し訳ありませんが、現状チーム“ファースト”は実力も知名度も足りていませんのであなた方にお願いした次第です」
そんなわけで沖野先輩と理事長室に呼ばれて向かうと、理事長と理事長代理(予定)が待っており説明を受けた次第。
あと付け加えるならリギルは強すぎるのでおハナさんと俺で分かれて参加することになったのと。おハナさんのリギルαチームだと強すぎるので、人数が少なくていい感じにアオハル杯らしくなるβチームがエキシビジョンマッチに参加するということだろう。あとスズカの知名度もあるか。
「うちの奴らも盛り上がってますからね、喜んで協力させてもらいますよ」
「そうですね、ちょうどスピカにはライバルも多いので喜ぶと思います」
スぺちゃんと走りたいグラスとか、マックイーンと走りたいテイオーとか。
「提案ッ! エキシビジョンマッチ故、特に縛りなくメンバーを集めてもらいたいッ! 無論、ドリームトロフィーリーグのメンバーの制限は変わらずだが」
「距離区分における重賞勝利なし、ですね」
短距離、マイル、中距離、長距離、ダート。
スズカであれば中距離と長距離のレースで重賞勝利しているので参加するのなら短距離、マイル、ダートのどれかになる。
マイル出てないんだよねうちのサイレンススズカ。
まあ中距離が一番バランスよく強いわけなんだけれども、それでも東京芝1800で斤量の軽いエルコンドルパサーを子ども扱いできるくらいの強さはある。軽くチートである。
もちろんスズカを負けさせる気は毛頭ないのでセコいと言われようと俺はスズカをマイルで出すが。
「では、何か疑問点などありましたら私までお願いします」
理事長はそのまま飛行機で出張とのことで。
あわただしくもエキシビジョンマッチの準備は始まるのだった。
――――――――――――――――――――
「――――と、言うわけでエキシビジョンマッチのレースはチームリギルβに決まりましたぁ! ちなみに相手はスピカな」
いつぞやのファン感謝祭の案内役の外れくじを引いた沖野先輩っぽく言ってみた。
「へぇー、じゃあマックイーンと!?」
「いや多分マックイーンは長距離だと思うけど」
「僕なら長距離でもヨユーだってば」
「そういうのは三冠取ってから言ってくれ。レースに絶対はない。あのルドルフだってジャパンカップで負けてるんだからな」
「スぺちゃんは……中距離でしょうか?」
「まあスぺちゃんはチーム編成次第だろうな、中距離でも長距離でも強いし」
逆にこっちは中距離にテイオーとアヤベは固定。
ゼファーが短距離かマイル、グラスがマイルから長距離、スズカがマイルかダートだろう。
「とりあえず皆には、友達でも知り合いでもライバルでもいいからエキシビジョンマッチ限定のチームメイトを集めて欲しい。各距離条件とダートマイルで3人ずつ。特に短距離とダートはマジで足りないのでそのつもりで」
「お兄さん」
スッと元気よく手を挙げてくれたのはスズカ。
にこにこした笑顔は可愛いが多分走ることしか考えてない。
「なんだスズカ」
「私が全部走るのは…?」
「ダメ」
「(しゅん)」
続いてテイオーが挙手。
ワクワクしてるところ悪いが、流石にルドルフはまだ誘わないでほしい。
「チームメイトかぁ。ねぇねカイチョー誘ってもいい?」
「できれば止めてくれ……本番の楽しみがなくなる」
ダメではない。ダメではないが、アオハル杯本番のドリームチーム感が薄れる。エキシビジョンマッチの方が凄かったなーというのはできれば避けたいのだ。
「……チーム、メイト…?」
アヤベが友達いない哀しい獣みたいになってる…。
いやカレンチャンがいるでしょ誘ってきてよ。
「………よい風が吹くと良いのですが……」
「風任せの勧誘…!?」
ソシャゲのガチャより当たらなそう…。
いや別の風キャラがいればひかれあうかもしれないが、残念ながらゼファーくらいだ今のところ。
「数合わせでしたら、エルを連れてきましょうか」
「数合わせにしては豪華すぎない? いやダート走れるし大歓迎だけど」
「ではエルは引きずってきますね。後は……タイキシャトル先輩でしょうか」
「ダートタイキシャトルは強い。リギルばっかだけどまあいいかな…?」
「はいっ、お兄さん!」
「どうしたスズカ」
むむぅ、と役立ちたい感が出ているスズカだけどお前のコミュ能力壊滅してるの知ってるからな。これでスぺちゃんとか言ったらデコピンしてやろう。
「スマートファルコン先輩を呼びます」
「砂のサイレンススズカを」
「私の方が速いですよ…?」
「いや、来てくれるならマジでありがたいから頼んでみてくれ」
「…! 任せてください、お兄さんっ」
止める間もなくニッコニコで走り出したスズカ。
まさかの徒歩でスカウトに行った模様。
なおグラスはメッセージアプリでエルコンを呼び出している。
『エル、今すぐリギルの二番部室に来てくださいね』とのこと。
いや文面怖いが? グラスにこれ送られたら何かやらかしたかと震えあがる自信がある。
一方タイキシャトルには『タイキ先輩、アオハル杯のエキシビジョンマッチに参加していただけないでしょうか。詳しいお話をしたいので、ご都合良さそうな時間がありましたら教えてください』と。いや扱いの違い…。まあ先輩と同期だとこんなもんか……?
「テイオーは?」
「え。……………うーーん」
そういえば原作の時点でテイオーってけっこう好き嫌い激しいんだっけか…。
スピカの面々とカイチョー、デュアルジェット師匠とネイチャくらいしか誘えそうなメンバーがいない気がする。師匠とはまだイベント起きてないし実質ネイチャだけか。
「……ネイチャとか?」
「いてくれると助かる。まあ本人あんまりこういうの好きじゃなさそうだけど」
現時点だと実績もないしかなり嫌がられそうな気はする。
有マ記念で例の記録を打ち立てる頃には十分な知名度があるんだろうけれど。
とりあえず、メンバーを集めなければ。
スピカに勝てるくらい。……主人公勢に勝つのってどうすりゃいいのかな…。