異次元の寂しがり屋   作:アマシロ

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ゲートに入って体勢~
は馬だと分かりませんが、拙作ではアプリ内の表記に合わせて体勢で統一しようと思います。





本日4話目の投稿ですのでB70気を付けて下さい





 


アオハル杯エキシビジョンマッチ(第2R)

 

 

 

 

 

 

 

『――――決着は写真判定です! ですが既にレース結果を待たず惜しみない拍手が送られています! そして今、ハルウララも笑顔でゴール!』

『素晴らしいレースでしたね。ほぼ完全に同着にみえましたが…』

 

 

 

 

 写真判定ということもあり、若干固唾をのむ空気はあるものの。

 スマートファルコンの大逃げという期待を上回る部分もあり、熱気冷めやらぬ会場に推しのウマ娘を呼ぶ声が響く。

 

 

 

 

「ファル子―! 良い走りだったぞー!」

「タイキ、グッジョブ!」

「エルコンよくやったー!」

 

「オグリ! オグリ!」

「マルゼンありがとー!」

「ウララちゃーん!」

 

 

 

 

『今回のレースのポイントは一体どこだったと思われますか?』

『そうですね、やはり逃げを打ったスマートファルコンをマルゼンスキーが捕まえにいったこと、タイキシャトルとエルコンドルパサーの協力プレーでしょうか』

 

 

 

『どちらも自分が不利になるものでしたが、チームとしてはそのお陰で有利な展開を得られたというところでしょうか』

『そうですね。恐らくアレが無ければスマートファルコンが逃げ切っていてもおかしくなかったと思います』

 

 

 

 

『ありがとうございます。さてそろそろ写真判定の結果が出てもおかしくない頃ですが―――――出ました! 勝ったのはエルコンドルパサー! チームリギルβ、まずは一勝を手にしました! 会場も割れんばかりの歓声に包まれています!』

 

『この一勝はかなり大きなものになるのではないでしょうか。会場はまだ選手たち全員を讃える声が響いています』

 

 

 

 

 

 

「優勝、快勝、エル最強―――!」

「どちらかというと辛勝デスけどね」

 

 

 

 二人掛かりで負けたらシャレにならないと大分冷や汗を流していたエルだが、勝ったとあって即座にパフォーマンスに移る。

 何分相手が相手なので、それはもう嬉しいわけで。

 

 

 

 

「よ、良かったぁ」

 

 

 

 

 逃げ切れなかった――――ダート本職としての不甲斐なさと悔しさを感じつつも、勝利できたことでなんとか面目は保たれただろうか――――そう思ったファル子に届いたのが、会場からの大歓声だった。

 

 

 

 

 

「ファル子ー! カッコよかったぞー!」

「よっ、砂のサイレンススズカ!」

「“次も”期待してるからなー!」

 

 

「ファル子のファンになりまぁす!」

「ファル子―! いつものはー?」

 

 

 

 

「……っ、ファル子が逃げたらー!?」

「「「追うしかなーい!!」」」

 

 

 

 

 

 一番前の席。そこで叫んでいるダートウマ娘を見て、ファル子は少しだけ涙を流した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

『さあ続けて二戦目は――――短距離レース! 中山レースに中継が繋がっています!』

 

 

 

『はい、こちら中山レース場です。こちらでも今の第一Rダートレースはスクリーンで流されていたこともあり会場の熱気は凄まじいものがあります。ほぼGⅠレース以上と言っても良いのではないでしょうか』

 

『こちらも両チームのメンバー発表を今か今かと待ち望んでいます』

 

 

 

 

 

『ファン感謝祭ということもありますので早速紹介していきましょう――――まずは先ほど一勝目を挙げたチームリギルβから、ヤマニンゼファー!』

 

『鮮烈なデビュー勝ちを飾った期待のウマ娘ですね』

 

 

 

 

「――――心地よい追い風ですね…。これまで感じていなかった新しい風」

 

 

 

 

 

 

『続いて短距離への転向を発表も耳に新しい華麗なる一族――ダイイチルビー!』

『これまでマイルから中距離、トリプルティアラの女王路線を進んできた華麗なる一族、その新たな活躍に期待が高まります!』

 

 

「……どうも。勝利のため、微力ながら貢献させていただきます」

 

 

 

 

 

『そして三人目! その可愛さは多くのファンの知るところ! カレンチャン!』

『短距離路線の中ではトップクラスの人気と実力を兼ね備えた彼女も、このエキシビジョンマッチに相応しい存在ですね』

 

「カレンのカワイさ、皆に魅せちゃうよー」

 

 

 

「(ルビーのやる気が漲っている……チームに貢献するとはいいつつも、自分が一位になりたいのかもしれない……)」

 

 

 

 

 

 

 ちょっと先ほどまでの面子がおかしかったので若干空気が弛緩するが、それはそれとしてカレンチャンもいるので人気に不足はない。

 まあスピカもきっと人気のウマ娘を連れて来てくれるだろうと―――。

 

 

 

 

 

 

『チームスピカ、一人目は――――快速の天才少女!』

「ニシノフラワーですっ、よろしくお願いします!」

 

 

 

『ニシノフラワーです! 飛び級によりトゥインクルシリーズに参加する天才少女は果たしてこのエキシビジョンマッチをどう走ってくるのでしょうか!?』

『見た目にそぐわない、素晴らしいスピードを持ったウマ娘ですね』

 

 

 

 

『二人目は――――あの黄金世代の一人。未だ無冠ながらその実力は確かな王者、キングヘイロー!』

 

「このキングの走り、しかと見届けなさいっ!」

 

『短距離挑戦は意外ですが、この選択がどうでるのか注目です―――』

 

 

 

 

 

『そして三人目――――』

「バクシンバクシンバクシーン! 三人目は、この学級委員長ですっ!」

 

 

『――――そして現役短距離最強王者、サクラバクシンオーです!』

『今年の短距離レースを牽引する、間違いなく大注目のウマ娘です!』

 

 

 

 

 

 

 ………。

 いや、なんでバクシンオー!?

 

 えっ、まだドリームトロフィーリーグ行ってないんだっけ? あれれーおかしいなー。いやそうかゼファーがデビューした年に走ってたわ!

 

 

 

 

 

「お兄さん、顔色悪いですよ? 大丈夫ですか、おっぱい揉みますか?」

「いやすまん。ちょっと相手非道すぎないかこれ…? 後誰が教えたそんなの。下品だから止めなさいワキちゃん」

 

 

 

 むぎゅっと座ったこちらの顔に胸を押し付けてくるスズカであるが、まあその……アレだね、心音って心が落ち着く効果があるっていうよね。あと胸骨の良い感じの固さが……。あといい匂いがする。

 

 

 

「トレセン学園の掲示板でこれでお兄さんが喜んで元気になるって……」

「それうまぴょいの誘い文句」

 

 

 

「うそでしょ……」

 

 

 

 スイーっと顔を赤くしつつ背後に下がるワキちゃんだが、まあ今はレースもあるので置いておこう。とりあえずビデオ通話で作戦会議だ。

 

 

 

「もしもしお兄ちゃん」

『お前に兄と呼ばれる筋合いはないが。何だ』

 

 

 

「ちょっとカレンチャンに告白してきてくれない?」

『あのな、俺はトレーナー。アイツは生徒。告白なんてするわけないだろ』

 

 

 

 

 うーん正論。

 でもそれくらいしないと勝てなさそうなんだよなぁ…。まあ本人が乗り気じゃないなら仕方ない。

 

 

 

 

「? でもお兄さん、勝ったら好きなトレーナーさんにチューしてもらえるんですよね?」

「……え?」

『は?』

 

 

 

 

 ビデオ通話越しに見えたのはカレンチャンに目を向けるお兄ちゃん。

 『約束だよっ』と口パクで言いつつ投げキッスしてくるカレンチャン。

 

 

 

 

『いやそんな約束してないがーー!?』

 

「ライスちゃんとテイオーとエルとヘリオスさんが言ってましたよ?」

「あ、ごめんライスちゃんには吹き込んだ覚えがある」

 

 

 

 

『お前かぁー!?』

「いやでもお兄さま限定のはずじゃ…?」

 

 

「エルがなんだか色々言っていたような……」

 

 

 

 

 後でマスク取ってキスするフリしてやろうかあの怪鳥め…。

 と、言いたいところだが今回はまあ。カレンチャンがガチになってくれればワンチャンあるかもしれない。

 

 

 

 

 というかこの面子半分くらい例のスプリンターズステークスじゃね…?

 ゼファー、バクシンオー、フラワー…。

 

 

 

 いやでもアレはゼファーかなり良いところまで行ってたし。ルビーもいるし。カレンチャンも頼りになるし龍王にも勝てる閃光乙女だし……。

 

 

 

 チラリとスズカを見る。

 小首を傾げて「どうかしましたか?」と微笑むスズカは可愛い……じゃなくて、スズカでもこの面子に勝つのは厳しいかもしれない――――そもそも距離適性がアレだけど。

 

 

 

 

 

 こうなったらもう短距離の専門家に任せるしかねぇ!

 

 

 

 

 

「というわけでお兄ちゃんトレーナー後はお願いします…」

『だからお前の兄じゃないっての。……けど、任せとけ。カレンのことならお前にだって負けるつもり無いからな』

 

 

 

「引率役はルビトレだけどな」

『お前一言多いなぁ!』

『ルビーの事なら私も負けるつもりはないですよ』

 

 

 

 

 とはいえ、短距離の専門家というわけではないのでカレンチャンのお兄ちゃんに任せ――――いやルビトレめちゃ短距離の資料集めてやがる!?

 

 

 

 

『踏んできた場数を考えれば、ここはカレンチャンさんをエースにするのが妥当かと。ゼファーさんがサクラバクシンオーさんを、ルビーはニシノフラワーさんをマーク。そして展開に合わせてキングヘイローの爆発力にも対応……それができるのはルビーしかいないと思います』

 

『なるほど、カレンを完全フリーにする作戦か。もちろん相手もマークはしてくるだろうが……もしバクシンオー以外のどちらかがカレンをマークしてきたらどうする?』

 

 

 

 

『ニシノフラワーさんならルビーがカバー、キングヘイローさんならそのまま押し切る方が良いのではないかと』

『………――――』

 

 

 

 正直、キングの末脚がどう出るかが未知数すぎる。

 高松宮のキングヘイローの差し切り勝ちは本当に強い、のだが―――現時点ではまだ短距離を走ってない。

 

 

 

 

「キングヘイローはそもそもマークしてくるより、後方待機で飛んでくるほうがありそうじゃないか?」

『短距離で後方一気か? かなり無茶だな、無茶だが――――この面子でハイペースにならないわけがない、か』

 

 

 

 本当はさっきの勝ちに乗ってエルとタイキと同じ作戦ができればいいのだが―――そもそもあれは二人がリギルとしてある程度連携ができていたからこそで。

 

 

 

 

『分かった、そっちを警戒しよう。まあダービーで逃げるキングがマークしてくるのは考えなくてもいいかもな』

『斜行はダメですが、ルビーなら上手く進路を狭めてくれると思います』

 

 

 

 

 

 

 どっかの皇帝じゃないが、色々と駆け引きができるウマ娘はこういうときに頼りになる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『――――さあ始まります中山1200mの電撃戦! ゲートに入って体勢整いました―――今、スタートです!』

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

『さあまず果敢に前に出たのはサクラバクシンオー! その後方少し空いてヤマニンゼファー二番手。更にその後方にカレンチャン、少し離れてニシノフラワー。その後ろぴったりとつくようにダイイチルビー! なんとキングヘイローは最後方から! これは作戦でしょうか』

 

『彼女の末脚に期待したいですね』

 

 

 

 

 

(作戦はただ一つ! ずばり――――バクシンバクシンバクシン!)

(――――やはり颶風のような、凄まじい走り―――ですが)

 

 

 

(仕掛けるタイミングは――)

(第四コーナーを抜けるところ!)

 

 

 

 

 

 

『さあ緩やかなカーブを下って早くも第四コーナーに差し掛かろうかというところ! 先頭は変わらずサクラバクシンオー! やや開いてヤマニンゼファー。その後ろ、カレンチャン。上がってきたのはニシノフラワー。そしてまだぴったりとマークしているダイイチルビー! キングヘイローはまだ動かない!』

 

 

 

 

(ここで―――っ、マークが…!)

(……させません)

 

 

 

 

 

 ニシノフラワーの飛び出す絶好機―――それを外から競りかけるダイイチルビーがブロックし、ワンテンポ遅れる。

 

 強引にマークを振り切ったニシノフラワーは前に任せ、ダイイチルビーは一気に追い込みをかけようとするキングヘイローが最内を突けないようそのまま内に入りつつ徐々に速度を上げていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

「さあ、行きますよ! 学級委員長の走りをっ! バクシンバクシィィン!」

 

 

 

 

―――――『優等生×バクシン=大勝利ッ』

 

 

 

(風向きが――――ならば、ここで!)

(動いた! ……なら)

 

 

 

 

―――――『風光る』

―――――『#LookatCurren』

 

 

 

 

 

『ヤマニンゼファー動いた! 内から徐々に距離を詰めていく! その外からカレンチャン! さあどうだ、最後の直線に入る! 先頭はサクラバクシンオー! 内からヤマニンゼファー、外からカレンチャン! そして大外からニシノフラワー! 中からキングヘイロー! キングヘイローとダイイチルビーが競り合いながら上がってくる!!』

 

 

 

 

『ヤマニンゼファーがサクラバクシンオーに並んだ! 外からカレンチャン交わすか!? 更に大外ニシノフラワー! 先頭から四番手まで大混戦! 更に飛んできたダイイチルビーとキングヘイローも加わったが前が塞がっている!』

 

 

 

 

 

『サクラバクシンオー! ヤマニンゼファー! カレンチャン!』 

 

 

 

 

 

 

「――――バク、シィィン!」

「―――くっ」

 

「…………今!」

 

 

 

 

 

(お兄ちゃん、カレンとの運命――――誓っちゃお?)

 

 

 

 キスの件はともかくとして――――でも、一番カワイイ姿をお兄ちゃんに見せるのは、カレンじゃないと嫌。

 誰よりも目立って、誰よりもカワイイを届けて―――誰よりも、お兄ちゃんに相応しい女の子になるために。

 

 

 

 

―――――『One True Color』

 

 

 

 

 

「ちょわっ!? ならば私も――――更なるバクシンを!」

 

 

 

 

―――――『CHERRY☆スクランブル』

 

 

 

 

 

 

『カレンチャンか!? サクラバクシンオーか!? サクラバクシンオーとカレンチャン僅かに前に出た――――! ニシノフラワー僅かに届かないか!』

 

 

 

 

 

『今―――ゴール! これはまたしても写真判定でしょう! ですが僅かにサクラバクシンオー体勢有利か!?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






流石にキツイので多分明日は短いか掲示板でお茶を濁すと思いますすみませぬ



 
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