アロナ「エーペックスレジェンズ……ですか?」   作:クラウディ

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とりあえず勢いがいいので今のうちに書いていく。







レジェンド:ワイズマン

「――と、いうことがあって、来て早々だが隠す必要はないんじゃないかと思ってね」

『な、なるほど……』

 

時間と場所は戻って、現在ガクトとアロナのいるシャーレに戻る。

そこで、ガクトはこれまでの経緯を話していた。

アロナは、ガクトの話を真剣に聞いており、その顔色は少し青ざめているように思えた。

 

(そりゃそうだよね。私だって、身近な人があんなクソッたれなゲームに参加して、人を殺しているようなことがあったら絶対トラウマになる)

 

そんなことを思いながら、改めて目の前の少女を見る。

先程までの青ざめた顔色は変わってないが、それでも、彼女なりに受け入れようとしてくれていることはわかる。

だから、ガクトは言う。

自分の気持ちを、正直に、まっすぐに。

それは、彼女の心の負担にならないよう配慮したうえで、だ。

 

「話を続けても大丈夫かいアロナ?」

『は、はい! ご心配なく! 先生とともにあると決めた以上、どんなことでも受けいれます!』

「うん、ありがとう。それじゃあ続きだけど……まずは何から話そうか……」

『あ! それでしたら、先生のプレイヤー名を教えてください! 先程、エーペックスについて調べたとき、皆さん偽名を名乗ってました! ブラッドハウンドさんとか、ライフラインさんとか……』

「そうだね。なら話そうか。僕のAPEXでの名前は――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――『ワイズマン』」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「APEXの歴史において、結構有名な『リスポーンシステム』を開発し、APEX最高の称号――『プレデター』の一人になった男だよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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『おはようございます、先生!』

「ああ、おはようアロナ。今日も元気だね」

『はい! 先生を支えていく私が暗い顔をしていてはダメですから!』

「ふふっ、頼もしい限りだ」

 

キヴォトスにある連邦調査部「シャーレ」の一室。

そこにガクトとアロナはいた。

そして、二人は他愛のない会話を続ける。

そんな時に、アロナが思い出したかのようにはっと声を上げた。

 

『あ! そういえば、先生がここにきてちょうど十日ほどですね!』

「ん? あぁ、そういえばそうだったね。僕としてはあっという間すぎてつい昨日の出来事のように感じるよ」

『それだけ充実した日々を送っているということですよね?』

「あぁ、そうだとも。君たちと一緒に学園を守っていくうちに、僕の中の何かが満たされていっているのを感じるよ。それに、こうして誰かと食事をするのは久しぶりでね?」

『えへへ……それもそうなんですが、先生宛にお手紙が届いています!』

「僕宛に手紙……? また問題の解決のために手を貸してくれってことかい?」

 

そう言ってガクトは、アロナの映っているタブレット――『シッテムの箱』を操作し、手紙の内容を確認する。

そこにはこう書かれていた。

 

『連邦捜査部の先生へ

こんにちは。私はアビドス高等学校の奥空(おくそら)アヤネと申します。

今回どうしても先生にお願いしたことがありまして、こうしてお手紙を書きました。

単刀直入に言いますと、今、私たちの学校は追い詰められています。

それも、地域の暴力組織によってです』

「……ふむ」

 

――これは思っていたよりも深刻な問題かもしれないな……。

その文面を見て、ガクトは内心でつぶやく。

そして次の文章に移る。

 

『こうなってしまった事情は、かなり複雑ですが……。

どうやら私たちの学校の校舎が狙われているようです。

今はどうにか食い止めていますが、そろそろ弾薬などの補給が底をついてしまいます……。

このままでは、暴力組織に学校を占領されてしまいそうな状況です』

「……ふむふむ」

 

情報をかみ砕くように、ガクトは相槌を打つ。

――確かに、ここ最近のキヴォトスは治安が悪くなっていると聞く。

その原因の一つとして、自身がここに配属された原因でもある連邦生徒会長が行方不明になってしまったことが大きいだろう。

その影響もあって、今まではおとなしくしていたような不良たちが、自分たちの縄張りを広げるために行動を始めたのだとガクトは推測する。

ここ最近、彼が先生として解決にあたった問題の多くは不良たちの鎮圧だった。

しかし、今までの経験などによりそれらの問題は、力を持った子供が騒ぎを起こした程度の認識だったのだが、今回の件は、もう少し大きな話になりそうだなとガクトは感じた。

 

『それで、今回先生にお願いできればと思いました。

先生、どうかわたしたちの力になっていただけませんか?』

「なるほど……」

 

タブレットを操作し、メール欄を閉じて大きくため息を吐くガクト。

その顔にはどこか呆れた様子が伺えた。

そんな彼と一緒に手紙を見ていたアロナは考え込むような声を出す。

 

『うーん……アビドス高等学校ですか……』

「ん? 知っているのかいアロナ?」

『はい。昔はとても大きい自治区でしたけど、気候の変化で街が厳しい状況になっていると聞きました』

「とても大きい? それはどのくらいなんだい?」

『はい! どれほど大きいのかというと、街のど真ん中で道に迷って遭難する人がいるくらいだそうです!』

「……さすがに冗談だよね?」

『あ、あはは……私もネットの掲示板に書き込まれていた噂しか知らないので……さすがにあり得ませんよね……街のど真ん中で遭難だなんて……』

 

そう言うアロナの声色は、どこか乾いていた。

おそらくは本当にあった出来事なのだろうと察しつつ、ガクトはその話題に触れることはなかった。

それよりも、彼の頭の中には別のことが浮かんでいたからだ。

 

(アビドス高等学校、か……今まで行ったことがなかったな……)

 

――アビドス高等学校。

キヴォトスの存在する『元』最大勢力を誇る高校だったはずだ。

ガクトは書類を整理していた時に各学校のことも少しだが記憶していた。

 

『アリウス分校』『ヴァルキューレ警察学校』『ゲヘナ学園』『山海経高級中学校』『トリニティ総合学園』『百鬼夜行連合学院』『ミレニアムサイエンススクール』『レッドウィンター連邦学園』『SRT特殊学園』『連邦生徒会』……

 

そして……『アビドス高等学校』。

 

かつてのアビドスは数千人の生徒が通い、キヴォトスの中でも最大の学校だった。

だが、自治区の砂漠化の影響により経営が悪化し、相当な状態になっていたはず……。

そこで、彼はとある結論に至る。

 

(この問題で苦しんでいる人がいるのなら……僕――いや、『私』の出番だね)

 

そう覚悟を決めたガクトは席を立ち、自身の愛銃『センチネル』や高威力のリボルバー『ウィングマン』、物資構築の材料を詰めたバックパックを背負い、部屋を出て行こうとする。

そんな彼にアロナは声をかける。

 

『先生、頑張ってきてください!』

「ああ。行ってくるよ」

 

そうして、ガクトはアロナに見送られながらアビドス高等学校へ向けて出発した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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数日後……。

 

「……だ、誰か……水を……食料をぉ……」

 

アロナが言っていた通りに遭難したのであった。

 

まずこうなって原因として、数日前のガクトが慢心していたのが大きいだろう。

「経営が困難とはいえ、さすがに街ではあるんだからレストランやコンビニくらいはあるだろう」と……。

そんな考えを裏切るように、どこもかしこも閉店もしくは無期限の休業(実質閉店)していたのだ。

まずここでつまずいた。出発する前のガクトは電子通貨の入ったカードを持っており、盗難にあわなければ食料が尽きることはないと思っていたため、アビドスに持っていこうとしていたバックパックの中には武器とそんな武器の材料および、アビドスから救援要請を出した生徒たちのための物資となるものしか詰めていなかった。これで先ず初日からガクトは水や食料が切れてしまった。

次に、地図である。

ガクトはここ最近になってキヴォトスに来たばかりであり、まずキヴォトスの全体図すら把握しきれていない。

そんなもんだから、キヴォトスの中にあるアビドスの地理を全く知らなかったのである。

そのため、目的地までどうやって行けばいいか分からなかったのであった。

このダブルプッシュにより、ガクトは街中で遭難するという無様な結果になった。

しかし、ガクトはすぐに切り替えて行動する。

 

――ならば、アビドスの生徒に聞けばいいじゃないか。

 

そう思い立ったガクトは、早速行動に移す……ものの、周囲の住宅にすら人の気配はない。

これでどうやって生徒を探せばいいのだ。

 

「くぅっ……! まさか僕の死因が銃殺ではなく空腹だとはね……! もしこれで死んだ場合、リスポーンするとどうなるのか調べてみたいところだが……! そんなことも言ってられない……! 早く行かなければ……!」

 

と、焦り始めるガクト。

だが、そこで彼の視界にあるものが映った。

 

「……ん?」

「き、君は……」

 

セミロングの銀髪に頭部に生えるイヌ科のような耳。

水色の瞳ではあるが、瞳孔の色が左右で違うという『オッドアイ』を持つミステリアスな雰囲気を醸し出している少女。

そんな彼女は今までにも出会ってきた少女たちが着ているような制服を身にまとっていた。

 

「…………あの……大丈夫?」

 

彼女がロードバイクから降り、手で押しながら近づいてきてこちらを見下ろしている。

そして、こちらの安否を確認してきた。

どうやら今まで相手にしてきたような不良生徒たちのようではないと推測される。

だとしたら……そう思ったガクトは口を開いた。

 

「す、すまないね……実は救援要請の手紙をもらったんだが、だいぶ予定が狂ってしまってね……数日前から行倒れていたのだよ」

「! 救援要請って、もしかしてシャーレの顧問先生ですか……!?」

「うん、こんな間抜けな状態で出会うことになったけど、その反応からして、君が件のアビドス生徒か……地獄に仏とはまさにこのこと……」

 

ガクトは安堵の表情を浮かべつつ、彼女に手を差し伸べる。

そんな彼に対し、彼女はどこか恥ずかしそうな様子を見せながら手を取る。

そして、二人は握手を交わした。

盛大に腹の音を上げたガクトがいたのだが……。

 

「……えっと、とりあえず何かいりますか?」

「す、すまないね……助かるよ……」

「えっと……これしかなかったので、どうぞ。えっとコップは……!?」

「ん? 飲んではだめだったかね?」

「……ううん、何でもない。……気にしないで」

「? まぁ、何はともあれありがとう。君には命を救われたよ」

 

ガクトはアビドス生徒に礼を言うと彼女が渡してきたエナジードリンクに口を付け一気に飲み干す。

その様子を見た少女は顔を赤らめ慌てながらもどうにか平静を保ち、言葉を続けた。

 

「え、えぇと……それじゃあ、まずは自己紹介から。私はアビドス高等学校所属の「砂狼(すなおおかみ)シロコ」です。よろしくお願いします、先生」

「よろしく頼むよシロコ君。僕は岸辺ガクト。シャーレから来た者だ」

 

こうして、ガクトはシロコとの邂逅を果たすのであった。









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