拳魔邪神でダンまち転生   作:ゆいニキ

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第1話

「のうそこの白い坊、このオラリオでなんぞ珍しかったり美味い果物はあるかいのう?」

 

豊穣の女主人で昼食を済ませて街をブラついてたら、木彫りの不気味な仮面を被った男の人が声をかけてきた。

 

「えっ、ぼ、僕ですか!?

うーん…僕もオラリオに来たばかりなのでわからないです…

あっ、街の方に行けば果物とか野菜がひとまとめに売ってるお店があるのでそこに行けば何とかなるかもしれませんよ!」

 

「カカカッそうかえ、それならそっちに行こうかいのう。世話になったわいのう。」

 

「いえいえ!………行っちゃった…なんだか不思議な人だったな。神様みたいな…もしかして神様だったのかな?」

 

「クラネルさんどうしたんですか?」

 

「あっリューさん!今木のお面を被った不思議な人に果物について聞かれたから売ってるお店を教えたところなんです。もしかしたら神様だったのかなーって」

 

「待て、クラネルさん。それは不思議というより変な人ではないのか?格好は?場合によってはガネーシャファミリアに通報を…」

 

「え?違うと思います!あの、オラリオでたまに見る武術家の人たちと同じかような服装でしたし!」

 

「武人達と??神、お面…果物…まさか!!!!」

 

「クラネルさん…もしかしたらその人は拳魔邪神かもしれません…」

 

えっ拳魔邪神ってなんか聞いたことあるかも。

リューさんの顔色もだんだん険しくなっている。

「拳魔邪神ってどんな神様なんですか?」

 

「拳魔邪神、古代から生きる武術のみで人間から神にまで成り上がった埒外の化け物。

人を殺し神を殺し、オラリオ外にいた多くのモンスター達を殺し、隻眼の黒竜をも単身で殺した闇の英雄。

 

彼はファルナを持たずして肉体と武術のみでその全てを成してきた。彼の弟子である武人たちもまたファルナを持っていない。なのにファルナを授かり日々ダンジョンに潜る冒険者達よりも強い!

冒険者や神の中では彼らはタブーになっているくらいだ…」

 

うわ、とんでもない人なんだ…

凄いなぁ、僕が英雄になるなんて気が遠くなりそうだよ…なれるかなぁ…

そうだ!それなら…

 

「その、例えばですけど、彼のファミリアというか、道場?に弟子入りとかは…」

 

ヒッさっきとは比じゃないくらいリューさんの顔がおっかない…

 

「クラネルさん、それだけは絶対にやめた方がいい。いや、してはいけない。

 

かの団体、いや武人達は強い。当然神々の多くは彼らをファミリアに入れようとした。しかし彼らは全力で抵抗した。その果てにファミリアを潰し神殺しまで成した。運良くというか悪くというか無理やりファルナを刻むことに成功した事例はあったらしいが、その武人はファルナで強くなることはなかった。なぜなら、彼ら武人達の常軌を逸した修行は人間の肉体を、精神を、魂を、在り方を、可能性を鍛え昇華させるものだからだ。

彼らは神のファルナを必要とせずにレベルアップを成していた。

 

そして、彼らは神を神と思っていないし、武人にファルナを刻んだ神を殺すことが彼らの中では当たり前なんだ。」

 

 

絶句した…

 

「そ…れは…」

 

「拳魔邪神がとうとうオラリオに来たということが本当なら、これからオラリオは荒れそうだ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「カカカッ!なんぞ、美味い果物が多くてオラリオは良いわいのう!もっと早く来れば良かったわい!

 

 

のう、そう思わんかいのう??……冒険者と神を憎んでそうな小人族の女盗人よ?」

 

 

 


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