筆者もTYPE-MOON全作品の設定などを理解してる訳ではないので、間違い、ミスなどがございましたらご指摘お願いします。可能な限り修正します。
00.運命を終わらせるモノ
序章/
───希望であれ。希望であれ。
お前は
───希望であれ。希望であれ。
お前は
───希望であれ。希望であれ。
お前は
血に染まったような真紅の空を見上げながら、ソレの耳には確かに声が聞こえていた。
誰かの怒声が聞こえる。
誰かの悲鳴が聞こえる。
誰かの感嘆が聞こえる。
誰の声だろうと耳を傾けて、しかしすぐにいつものことだと断じ、己の思考を切断しようとする。
───その刹那、
「その運命、変えたくはないか?」
ふと背後から、確かな声が聞こえた。
背後の小高い山───否、刃に貫かれ積み上がった夥しい数の屍を見上げれば、そこには一人の男がソレを見下ろすようにして立っていた。
黒いコートに身を包み、痩せこけた印象を抱かせる男は、その外観の中でも特に目立つ
「▇▇▇▇」
「そうだ」
一つ言葉を交わし、相手に敵意はないのだと理解する。
男は語る。自分は、近くソレが向かおうとしていた場所からやって来たのだと。
そして己の目的は、世界の全てを敵に回す行為であるのだと。
しかし、ソレに助力を請いた。
ソレは生まれながらに人の世を存続させる存在でありながら。
故に、ソレに助力を請いた。
ソレは生まれながらに人の世を否定する存在であるからこそ。
目的を話し終えて、男はとある物を取り出した。
鈍い金色に光り輝く物体を突き出されて、ソレは屍の山を越えて男の前に立つ。
「わかりきっているが聞こう。お前は、何を願う?」
───そう問われ、ソレは口を開く。
「俺は───」
ここは世界の狭間。
切り取られ引き伸ばされた、生前最期の時間の中に非ず。
罪なき者のみが通れる、神秘を内包した星の内海に非ず。
英霊と呼ばれる者たちが辿り着く、魂の座に非ず。
抑止によって、役目を果たした▇▇が流れ着く場所。
不要とされた神や思想が置いて行かれる、虚数の彼方に近き場所。
そして、そこに千と数百の刻を居続けたソレは、己の使命を真っ当するために、何事もなかったかのように消えた。
その使命を放棄し、もう二度とここに戻るつもりは無い、と。そう思いながら───。
✴ ✴
紅い空の下、屍の山を降る一人の騎士がいた。
一歩一歩降りるその先で、踏みしめるのもまた屍と血の集まり。
目を背けたくなるその光景の渦中で、騎士は何を感じたのか屍の山、その頂を振り返る。
目を細めるほんの僅かな間をおいて、そこから何かが天へと登り、一筋の赤い光が空を覆う。
鮮烈な光が緩やかに辺りを照らす。
大地が文字通り揺れ動く。空が割れるような甲高い音が響き、黄金の焔が熱波となって、地上の全てを焼き払う。
燃え上がる屍を伝い、熱波と焔が騎士に迫る。
騎士は逃げるでもなく、然りとてそれを防ぐでもなく、まるでそれが運命であると受け入れるかのように目を伏せて立ち尽くす。
───やがて騎士の意識は消え失せ、世界からその存在が消失した。
✴ ✴
2009年もあと僅か。この日、12月24日はクリスマスイブという聖人の生誕前日であり、人々は翌日のクリスマス、そして来たる2010年に想いを馳せる頃合いである。
この星の様々な場所で人々の熱気が高まる。それはここアルメニアでも例外ではない。
しかしこの街──新興都市
ニザラムは新興都市と呼ばれる通り、ここ数年間で突如として栄えた街である。
アルメニアと親しい国でもある日本の街並みを参考としたもので、複雑且つ混沌とした街並みとなっている。
これは日本に憧れるけれどそこまで遠くには行けない近隣諸国の人々、またアルメニアに足を運ぶことがあまり無い日本人の双方を観光客として呼び込むために作られたためである。
名前も『
しかし、このような都市が急激に成長する裏では、なんらかの闇が見え隠れしているというもの。
それはこのニザラムでもまた例外ではなかった。
ありとあらゆる街の開発は急ピッチで、街の中心と首都エレバンを結ぶ道沿いから少しでも離れれば、そこにはかつて建てられた建物の廃墟や整備されてもいない荒野が広がったままという有様である。
まるで何かの目的のために急いで体裁だけ整えたかのように……。
ここ数日のニザラムは海外からの観光客や、仕事で来た社会人が多く訪れており、傍目からは他の街の熱気と何ら変わらないように映るだろう。
しかし、足を踏み入れた観光客たちの実に数分の一が、この街でこれから起こるであろうことを聞き及んで、或いは予期して訪れているのである。
──『聖杯が顕現する』──と。
✴ ✴
ニザラムの街からほんの少し離れたビル。新興都市の外れにポツンと立つのはかつて存在し、解体されることなく放置されていた廃病院。
その中で、一人の少女が何かから逃げる様に駆け出していた。
「ハァッ、ハァッ……!」
背後から建物に響くカツンカツンという足音に時折振り返りながら、人とは思えぬ全速力で駆けていく。
廊下に並ぶ扉の中から適当な一室を選ぶと、扉を僅かに開けてその隙間からするりと入り込む。
「───ッ!」
パタンと閉じた扉に背を掛けながら、彼女は小脇に抱えていたカバンの中から赤黒い何かの液体が詰まった瓶を取り出して、素早く開封して床に零して行く。
びちゃびちゃと音を立てて重力に従って液体を零す。
急ぎながらも、しかし確実に。
その頭の中にはそれで描く物が鮮明に記憶されている様で、やがて一つの陣を構築する。
聴覚に総ての神経を回しながら陣を描き終えて、少女は詠唱を始める。
「素に銀と鉄。礎に石と契約の大公。
降り立つ風には壁を。
四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ」
薄暗い廃墟の中に、蒼白い光が陣に沿って光を帯びて起動する。
小さな部屋の中で、それを上回るほどの大きな力が胎動する。
「
繰り返すつどに五度。ただ満たされる刻を破却する」
詠唱を口にしながら、なおも気にするのは彼女を追う下手人。
先程まで聞こえていた足音は近くには聞こえなかった。
「告げる、
汝の身は我が下に我が命運は汝の剣に。
聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ───」
これだけの力の圧が発生している。そして相手がそれを見逃すはずもない。
急いでこの行程を終わらせなければならないと己に言い聞かせて──
直後、まるで爆発でも起こったかのような音ともに、入り口の扉が勢いよく弾け飛んで向かいの壁に叩きつけられた。
「……ッ!」
「鬼ごっこは終わりか、お嬢ちゃん?」
入り口から差し込む月の光をバックに、一人の男が片足を上げた姿勢で立っていた。
見ればわかるだろう。男は硬い鉄の扉を脚力だけで吹き飛ばしたのだ。
「いや悪りぃな。ウチのマスターは慎重でよ。目撃したのが魔術師なら容赦なく殺ってくれって言われてんだよ」
蹴りの衝撃で粉々に砕け散ったガラス片を無造作に踏みながら部屋に入り込むのは、青黒く肌に纏い着くような装束をまとった青年だった。
敵──そう判断してからの少女の動きは早かった。
背に掛けている布に包まれた細長い筒状の物を手に取り布を剥ぎ取れば、その中に仕舞われていた日本刀が姿を見せる。
「──ハァッ!」
狙いは男の首。
追い詰めた獲物が反撃するのが予想外だったのか、男は一切動こうとはしなかった。
防ぐことも、ましてや回避することもなく。刃の一撃は男の首に吸い込まれるように叩き込まれ──
次の瞬間には、鈍い音とほんの一瞬の光と共に刃の動きが首元で停止する。
まるで大理石や黒曜石でも殴ったかのような硬い感触が腕に残る。
むしろ、この衝撃を受けて刃零れ1つ起こさない刀の強度の方もまた異常であろう。
「くっ……!」
「おぉ、案外やるじゃねぇか。気の強い女は──まぁ……嫌いじゃないぜ?」
言い終わるか否か、男の姿が消える。
見失った男の姿を視界に捉えようと刀を防御の姿勢で構えたまま視線を動かす少女は、気付いた時には強い衝撃と共に宙を舞った。
「……っ!」
1秒にも満たない世界で停止したあとは、重力に沿って床に落下。背中から叩きつけられて肺中の空気が外に出る。
「かッ……!」
地面に転がりながら、部屋の中から明るさが徐々に消えていくのが見て取れた。
先程まで蒼白い光を放っていた陣から光が失われていた。
「これでもう、サーヴァントを召喚出来ないな。……まぁ、それを差し引いてもこの聖杯戦争でサーヴァントが召喚されることは有り得ないがな?」
視線の先、対角線上に立っていた男がその足で陣を踏みにじり、少女が書き記した形を崩していたのだ。
この陣さえあれば状況を打破できた。その逆転の一手を潰されて、まさに絶体絶命──
「──誓いを此処に。我は常世総ての善と成る者、我は常世総ての悪を敷く者……!」
「……あぁ?」
しかし輝くことのない陣の中で、地を這いずりながら、それでも尚少女は足掻き手を伸ばす。
先の一撃と違って本当に虚を突かれた槍兵の呆気にとられた呟きをを無視しながら、全身の回路を隆起させて詠唱する。
一方男の方はというと、最初こそ反応に遅れたが、それが最期の悪あがきであると理解したのだろう。左手で髪を面倒くさそうに掻きむしると、右手を空に差し出す。
すると男の右手の中に、まるで光を吸い込む影でできた槍が現出する。
「───汝三大の言霊を纏う七天
抑止の輪より来たれ、天秤の───!」
「ったく……サーヴァントはもう、七騎出揃ってんだよ……!」
伸ばした手。その甲に奇妙な形状の痣を浮かばせた腕の中程目掛けて、男の脚が振り下ろされる。
ミシミシと音を立てて、少女はその場で男にいとも簡単に拘束される。
「くっ……あッ……!」
「ま、運が無かったと思って諦めてくれ。──じゃあな、お嬢ちゃん」
床に倒れ込んだまま手の甲に視線を向け続ける少女。
その頭上で男は今まさに、手にした槍を彼女の首目掛けて振り下ろし──
───刹那、両者の足元。形が崩れた陣から辺りを貫くように、鮮烈な光が放たれた。
「え……!?」
「何っ!?」
輝きを増す陣の周囲に円状の光が迸ると、膨大な魔力が一点に収束する。
直後、少女へと振り下ろされていた槍が、甲高い金属音と共に弾かれる。
「──!」
「まさか、八騎目のサーヴァントだと───!?」
光の中に現れたソレを認識した男は、しかし撃ち込まれた蹴りを腹部に喰らって、防ぐ間もなく水平に吹っ飛ばされる。
「おぉっ……!?」
不意打ち気味に喰らった蹴りを防ぎ切れず、廃ビルの壁をいくつか破壊しながら男は部屋の外へと叩き出された。
「……」
「あっ……えっと…………ありがとう」
自分の攻撃もまるで効果がなかった男にいとも容易くダメージを与えたソレを見上げながら、少女はなんとか声を振り絞る。
吹っ飛んで行った相手に視線を向けていたソレは、今思い出したかのように座り込む少女を見下ろしながら、ようやく口を開いた。
「サーヴァント、セイバー。召喚に応じ参上した」
己を
全身を覆う蒼と紫の鎧。
ヤギを思い起こす角の様な甲冑。
薄緑色のラインの装飾が走る大型の両手剣。
まるで絵本から飛び出してきたかの様な騎士は、知らぬ者が見れば昨今流行りのコスプレでもしているのかと思うだろう。
だがそれは、人であって既に人に非ず。
即ちサーヴァント──時代を駆け抜け、信仰をもって英霊へと昇華された、人ならざる
───最も、今回は少し事情が異なるのだが。
「問おう。君が僕の、マスターか?」
──Fate/outsider──
No.1 二騎目のセイバー
クラス︰セイバー
真名︰???
性別:男性
身長:159cm
体重:47kg
出典:???
地域:???
属性:中立・善・人
ステータス
筋力B+ 耐久B 敏捷B 魔力B 幸運C 宝具---
クラススキル
対魔力:B
騎乗:B
保有スキル
???:B
???:A