魔術学園生活   作:色龍一刻

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制服風衣装+低身長+巨大武装フェチな私です。
非効率的とか服としての防御性能とかは許して。





魔術学園生活

 

 

「はあ....」

 

 

夜。

 

消灯時間が過ぎ、それでいて布団の影で少年少女達がこっそり遊び過ごしている、そんな学生寮の屋上。

 

その少女は、無骨で長い杖に寄りかかるように黄昏れていました。

 

少女の名前は『古越あみ』。

まあちょっと魔術行使に問題を抱える16歳です。

試しに、その楠の杖をさすってやれば、ポンと発光球が飛び出し、その場に浮遊しました。続いては飛行を光球に命令します。光球は素直に命令を遂行します。これを繰り返し、一つずつ動かす光球を増やしていきますが.....

 

「あうっ」

 

ビクンと体が震えたと思うと、光球が消えてしまいました。

パタンと屋上に倒れる少女の顔を、月明かりでよく見てみると、まっかっか。薄っすらと肉体に奔る生体回線も魔力不足で煙を吐いています。

察するに、彼女は魔術を行使するだけでいっぱいいっぱいになってしまい、変換炉から追加の魔力生成に手間取り、遂には間に合わずにガス欠になってしまったようです。

 

これは大問題です。

魔術を行使しながら、生体エネルギー変換炉を稼働し、魔力を生産し続け、魔術を維持するのは一般技能というより、魔術師の肉体に与えられた自律機能です。

なぜ彼女は態々変換炉を意識しないと、魔力を生産できないのでしょうか。

 

「......しかたないかー。」

 

魔力不足で悲鳴を上げた生体回線を充分休ませた少女は、再度変換炉を動かし、楠の杖に魔力を注入し始めました。所謂充填というものでしょうか。

なるほど、これは良い手段です。最初から魔力を沢山用意しておけば、まともに自律して動いてくれない変換炉に頼らずとも、長時間で、多くの魔術行使が可能です。

彼女の杖が、彼女の背の二倍に近いほどに長く、振り回しにくいほどに巨大なのは、外部バッテリーという役割も担う理由からでしょうか。

先端には蒼色の冠のような水晶が、魔力に反応して灯台の如く煌めいています。

彼女がただでさえ低身長なので、傍から見ると対比がバグって見えます。笑えますね。

 

と、キランと蒼の冠が耀きました。魔力充填が完了したようです。杖の容量は莫大と見受けますし、充填時間を鑑みるに、変換炉はなかなかの魔力生成速度を持っているようです。魔術行使におけるアドバンテージといえますが、逆に残念さが増しました。

 

「第一、第二術式、順次起動、展開開始。」

 

一気に魔力を動かすので、脳内指揮を補助するために言葉として発音し始めたようです。魔術初心者には必須の工程です。

しかしながら、皆、無詠唱には憧れるもので、先生のこういった説明を無視して魔術行使をする人が多いこと多いこと。一方彼女はとても真面目なようです。感心ですね。

 

ぽぽぽぽぽぽんと発光球が杖を基点に発生し、周囲を飛行し始めました。第一術式が発光球の発生、第二術式が発光球の座標を順次変更のようです。綺麗に整頓され、区分けもよろしい術式です。

 

「第一術式停止、第二術式、変数変更。術式更新。いけっ」

 

それぞれが意思のままに飛行してた光球が高く高く昇って行きます。そして、

 

「第三術式起動。全過程終了っ。」

 

 

パーンと、それぞれが小さく爆散し、光の粒へと変わっていきます。粋な術式終了です。魔術により構成されていた実体の魔力は四散し、自然分解され大気に還元されます。

光の粒は少しずつ見えなくっていきました。

 

そんな小さな花火を観察していた彼女は、少し満足気に、少し表情に影を落として、こっそり自分の部屋に戻っていきます。未だたっぷりと残った杖の魔力で透明化*1の魔術式を起動していました。万全ですね。

 

まあ、学生寮にも様々なセンサーが仕掛けられていますから、あまり意味はありませんが。

しかし、彼女は頑張っている生徒です。そういう生徒にあまり強くお小言を言う先生はいないでしょう。此処はそういう先生が多いのです。ウインク一つで生徒のポケットにセンサー抜けの魔術式の課題を仕込む先生もいるのです。お茶目ですね。

 

此処は辺境の魔術学園。

青春を過ごす少年少女を囲い、魔術を説く、そんな学校です。

『中央』ほど優秀な先生、生徒の集まりとは言えませんが、そこそこの曲者が揃っているのが目玉。

あの少女も、そんな曲者先生の一人に推薦された子のようです。

 

自分の部屋に帰ってきた少女は、透明化の術式を出力終了し、楠の杖をベットの下の細長いボックスにしまいました。しっかり魔術式の鍵もかけたのも確認して、ベットに潜り込みました。

目覚ましをセットし、明日の授業項目を脳内で諳じて、目蓋を閉じました。

 

これで今日はおしまい。明日も今日と同じような1日が続くでしょう。

 

 

 

朝です。目覚ましは綺麗に止められました。

魔力焼けし、まるで金糸のような髪を強引に2つに纏め上げて縛ります。なんせ爆発しやすく、彼女はそれに苛ついていました。

しかし、毎回同室の子に気づかれては悲鳴をあげられ、女子力の無さを怒られながら甲斐甲斐しく髪を整えられます。それはお風呂場でも同様です。故にその雑な管理をもってしてもそこそこ美しく、その魔力特性、体質による輝きを同室の子は気に入っていました。

 

この学園はゆるゆるの指定制服制です。曰く歴代校長の趣味だそうで、少女も制服を気に入っていました。

スカートと一体化したワンピースタイプのシャツに、丈の短いファッションブレザー、大きなリボンにキャスケット。何という少女趣味。これには少年少女先生方から結構な支持が集まったそうです。なおリボンの色は学年で紫、青、緑、黄、赤となっています。イケイケですね。

 

着替え終わったら隣で未だ爆睡している同室の子、『祭家れん』を叩き起し、少女の髪をひと目見て発狂し始める彼女を無視してむんずと学生鞄と楠の杖を引っ掴み食堂に向かいます。

 

歩いている最中に何処からともなく金属のブラシやらピンやらクリーム容器とか飛んできて髪のお手入れが始まりますが無視してずんずん進みます。勿論帽子はしっかり抱えておきましょう。

 

食堂に着いたら、列に並び、そこら辺を飛んでいる道具を引っ掴み魔力を込めた指でトントン叩きます。数秒経てば道具がグニャリとアルファベットと数字に変形するので、その通りに朝食セットを頼みます。「A2セット2つ、お願いします。」

 

席を2つ確保し、髪を整えられながら朝食を戴いていると、親友のれんがやっと到着、いつもありがとーと言いながら席に座り、食べ始めます。何時もの少々効率化された毎朝です。

 

話題は特にバリエーションは無く、殆どが一限目の授業について話します。

 

「一限目は基礎言霊学だよ。」

 

「うえー、"技名"先生かー。」

 

「別に気にすることじゃ無いでしょ。技名考えて言えばいいだけで。」

 

「その過程要らなくね!? ナンセンス! しかもダセェ!」

 

この学校には奇想天外な先生揃いですが、一限目の先生は魔術式に技名を付けることに拘る先生のようです。男子生徒にはそこそこ人気ではありますが、一部の男子生徒と大多数の女子生徒には不評な先生です。

まあ、言霊という概念が存在し、脳内言語や発音に神秘論的意味を作り出した言霊学において、無視できる先生ではありません。必修ですし。

 

古越あみにとって、音波に大きく関係する言霊学は興味の対象であり、私の魔力特性を活かせるのではと期待しています。なんせ彼女の魔力特性は光、つまりは波の一種。なんとも応用性が効きそうではないでしょうか。

因みに祭家れんの魔力特性は金属です。滅茶苦茶便利で使いやすい特性なので、少女は少し嫉妬しています。金属道具の遠隔操作には毎日お世話になっている身ですから。

 

朝食が食べ終われば、トレーを片付けて教室に向かいます。兎に角広い学園です。移動は何時だって早めです。何処かしらから神秘的トラブルは降ってくるのが日常です。例えば_____巨大モルモットの脱走とか。

 

「そいつを捕まえてくれっーーー!!!」

 

なんかゲーミングに輝くトラックサイズのモルモットが実験棟の壁をぶち壊しエントリー。上がらない悲鳴。止まらない空気。混乱しない思考。逃げ出さない学生たち。何時もの光景です。

 

運悪く、目の前に現れてしまったのでため息つきつつ対象します。

 

「お、ラッキー。いや、アンラッキーなのかね?」

 

「普通にアンラッキー! れん、足止めお願い!」

 

「あいさー。」

 

れんが金属の雨で牽制しつつ、這い寄らせた流動金属塊で足を固定します。

少女は、楠の杖から魔力を放出。推進力に変換し下から上へフルスイング。顎にズゴンと綺麗にハマって怯みます。産まれた隙に、取り寄せた新たな金属塊で手足を固定します。捕獲完了です。暫くすればそこらへんの創造系の生徒が檻でも作ってくれます。万事解決です。

こういうことが意外と先生方の好感度に大きく関わるので皆積極的に解決したりします。ルールは、『目の前にトラブルが飛び込んできたら対処する。』『必要な人が対象する。』の大雑把2つです。取り合いなんかして被害増やしたら本末転倒ですし、遠慮し合ってトラブル解決に必要な人材が集まらなかったら意味がない。そんな感じの生徒間ルールです。

 

少女は魔力残量の底が見えてきた杖を充填しつつ歩き出します。因みに、れんに杖は必要ありません。自分で金属製ながら創れます。凄まじく便利だと少女はムスッとします。自分の兎に角長くて巨大で持ち運びしにくく重い杖にイラッとします。まあ今回はその質量が武器となりましたが、日常では使いにくいのです。

 

やっと一限目の教室に辿り着きました。

時間は少しだけ余裕あります。ゴスンと杖を縦に立たせ、教科書とノート、シャープペンシルを取り出します。スマートフォンで学内サイトをさっと確認すると、さっきのトラブルは小見出しになってました。義務的な事後報告のような内容です。ありきたりでつまらないからでしょう。書いた人の心情が透けて見えます。てか視えてます。

 

あ、また視えてるなと、慌ててスマートフォンをとじます。人の心情なぞ視えない方が良いものです。心が敏感な16歳の少女には特にそうです。

相変わらず自分の魔力特性には辟易します。

ある特定の概念や存在、方向性やエネルギーを"光"として少女の眼は捉えることができます。

どっと疲れが出たのを感じながら、パラパラと予習を始めます。ひとしきり魔術式をなぞり、ノートに写したり、メモったり、公式に当てはめたりしていればいつの間に時間が経っていて、先生がやってきました。

 

今日の授業が始まります。

楽しく、危険で、難しい一日が始まるのです。

 

 

 

*1
偏光制御と映像投射の複合術式。






可能な限りテンプレートに意味を持たせたいですが、無理そうなら諦めて詰め込みます。許して。

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