科学技術全盛時代に精霊の居場所は   作:はなみつき

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※部長の設定は妄想です


デュエル部

 息子思いなオカンのお願いを何とか叶え、久しぶりの全力疾走で体力を減らした俺は夕飯も食わずにあっさりと眠りに落ちて気が付けば次の日。

 例え愛情重ため精霊に絡まれるという少し珍しい事件に巻き込まれようが、新しい日が来ればいつも通りの生活を送らなければならない。

 

『暇ね~早くしてくれないかしら』

『今はガッコウという時間ですし、邪魔したらダメですよ』

『……眠たくなってきた……』

(集中出来ねぇ……)

 

 俺の身分は学生だ。

 であるならば、基本的に一日の大半は学校で過ごしている訳で、さらにその四分の三以上の時間は学ぶための時間である。いつもいつも放課後はカードショップに入り浸っているが、やらなければいけない事は普段からしっかりこなす優等生で通っている。

 だが、そんな事はこの三人娘(ティアラメンツ)には関係がない。メイルゥはある程度理解を示してくれているが、シェイレーンとハゥフニスは俺が話しかけ無くなると逆に騒がしくなる傾向にある。猫かな? 

 

 シェイレーンは俺の周りを落ち着きなくフワフワと浮いているし、ハゥフニスは今でこそ眠たくなって来たとか言っているが、午前中は俺の視界を遮ってみたり、クラスメイトにちょっかいを出そうとしてみたり(彼女達はドリュアトランティエの様に人間に触れることは出来ないから何の意味も無いが)と、それはもう騒がしかった。動きが。

 

 ……でもまあ、ちゃんと予め授業中は返事が出来ない事を伝えたのに俺が返事をしなくなってオロオロし始めたうえ、いつもの様に涙をポロポロ零していた最初の頃を思い返せば大分成長したもんである。

 

「……という所で、この授業は終了とする。今日は特に伝達事項も無いからSHR(ショートホームルーム)は省略するぞ。みんな帰ってヨシ」

 

 歴史の担当教諭兼このクラスの担任の一言にクラスメイトが沸き立つ。学生にとって例え数分のSHRだろうが無くなる事で得られる僅かな時間は貴重なのだ。

 思っていたよりも早く自由の身となれた学生達は各々好きなように行動をし始める。家に帰る者、部活に行く者、そのまま教室で友人と駄弁り始める者。

 

『あら? やっと終わったのね。さあ! 今日も街へ行くわよ!』

『今日も良いカードが見つかると良いですね~』

『……zzz……』

 

 そして教諭が放った解散の号令に反応したのは人間だけでは無かったようだ。

 教室は喧騒に包まれているため、少し声の音量を落とすくらいであまり気にせず三人娘に語り掛ける。

 

「いや、今日は久しぶりに部活に行くからショップ巡りはなしかな」

『ふーん、そうなの。だったら今日はデュエルの日かしらね』

『私達も頑張りますよ!』

『……あれ? もう終わった? ……』

「おはよう、ハゥフニス」

『……おはよう……』

「まあ、デュエルするかどうかは分からないな。とりあえず部室に行こう」

 

 カバンに持ち帰る物を詰め込んだら部室に出発だ。

 

 

 ☆

 

 

 俺が所属する部活はもちろんデュエル部。

 俺と島はクラスが違うが、デュエル部に所属しているために交流があった訳だ。

 

 デュエルがそこかしこで行われるこの世界でわざわざ学校のデュエル部に入る必要は余りないのだが、今年の部長、これがまたかなり凄い人なのである。

 細田部長は全国ハイスクールデュエル選手権四位の実力者でありながら、昨年度デュエル戦術討論会優勝と言う理論にも精通した若手の雄とも呼べる存在だ。俺も去年の討論会の中継をネット放送で見ていたが……うん、感動したよね。奇想天外な組み合わせでありながら実用性に足るあの戦術は見事だった。なーんか、見た事ある人だなーって思いつつ、アニメで出て来た部長だと気が付いた時はとても驚いたものだ。

 そして、この高校に進学してデュエル部と部長の存在を認知した瞬間に入部を決めたのである。

 

「お疲れ様でーす……って、まだ誰も居ないか」

『……あのグリーン・バブーンの仲間は居ないわね? よし』

『シェイレーンちゃん……それは流石に……』

『……グリバブが可愛そう……』

『ハ、ハゥフニスちゃんも……』

 

 SHRを省略したことで少し早めに部室に来たことで、他の部員たちはまだ来ていない様だ。

 

「島の事嫌い過ぎでは?」

『ふんっ! あんな無神経に人の事を触るような男はこれで十分よ!』

 

 シェイレーンは初対面でカードを握る様に持たれてからまだ島に対して苦手意識を持っている。ていうか、普通に嫌っていた。

 

「まあ、程々の所で許してやってくれ。さて、誰も居ないならデッキの調整でもするか」

 

 カバンの中に入った予備のカードを広い机の上に置き、デュエルディスクに納められたデッキのカードはモンスター、魔法、罠ごとに並べ替え、採用カードが分かりやすいように並べる。

 

「とりあえずショップのストレージボックスから墓地に送られた時や墓地にある時に効果を発動する類のカード、後はデッキからカードを墓地に落とせるカードをかき集めて来たが……ちょっと適当に買い過ぎたか?」

『何だかんだ沢山ありますね』

 

 ここ最近カードショップに頻繁に通い、使えるカードをいくつか買ってきた訳だが、それ以外にも使えそうなカードと言う事でとりあえず買ってみたものも多数ある。

 しかし、その中でデッキに採用できるカードがどれだけあるかというと、その数は実際の所かなり少ないだろう。この無数の選択肢から自分なりの戦略を考えてカードを選ぶのがまた楽しいんだけどな。

 

 その少ない枠に採用するカードを選定するのにかなりの時間がかかっていた。

 

「『クリバンデット』の何でも魔法・罠サーチは優秀だが、発動するタイミングがちょっと遅いんだよなぁ……あ、でもティアラメンツの融合は墓地のカードをデッキに戻して融合する事が出来るからリリースしても融合素材として使いまわせるのは良いな……」

『あ! このカエルさんとても可愛いですね。それに効果もとても強力じゃないですか?』

「ティアラメンツは水族だし、メイルゥはレベル2だから使えそうではあるけど……他のレベル2の供給をどうするかだなぁ……さらにカエルをつぎ足すというのも……デッキがごちゃごちゃになりそうだ。ティアラメンツが水属性だったらバハシャが使えたのに……」

『私達が闇属性で悪かったわね』

「いや、まあ。でも君達が闇属性だからこそ出来るコンボもあるわけだしな」

『……簡易融合ってどんな味なんだろう……』

「……千円分くらいの美味しさはあるんじゃないか? 知らんけど」

 

 そんな感じでいつもの様に三人娘の意見を聞きながらデッキの調整をしていた所、ドアが開かれる音が聞こえて来た。

 

「どうやら一番乗りは世良君のようですね」

「部長、お疲れ様です」

 

 我等がデュエル部部長、細田先輩である。

 

「今日もしっかりデッキ調整していますね。思考を止めない事が成長への鍵ですよ」

「はい!」

『なんかアンタ、この人の前だと妙に素直でちょっと気持ち悪いわね』

 

 良いだろ別に。俺はこの人を普通に尊敬してるんだよ。決闘者(デュエリスト)としても、人としてもな。

 

「おや。それが最近君が集めているテーマカードのエースですか」

 

 部長は机の上に並べているカード、特に最近手に入れたばかりのキトカロスに気が付いたのか、俺に言う。

 部長は島の様にカードを手に取る事なく、机の上のカードに少し顔を近づけるだけでその効果を読んでいる。

 

「召喚・特殊召喚をトリガーにしてデッキからカードを墓地に送り、効果で墓地に送られる事で融合召喚をする。少々運が絡む要素が大きいですが、中々楽しそうなテーマですね」

「そうなんですよ。後はどの汎用カードを採用しようか迷っているところでして……」

「ふむ。では、このカードはどうですか?」

 

 そう言って部長は雑多に並べられたカードの中から一枚を指差す。

 

「『ライバル・アライバル』ですか?」

「ええ。見たところ、このデッキで召喚権を使いそうなのはこの『ティアラメンツ・メイルゥ』と場合によってシャドールモンスター。そこで、通常の召喚権はシャドールに全て渡してしまい、敢えてメイルゥは抱えておく。返しのターンで相手の動きを見てから『ライバル・アライバル』を発動し、メイルゥの効果でその状況に合った融合モンスターを出すことが出来れば……」

 

 相手が高い攻撃力のモンスターを場に出していれば『エルシャドール・アプカローネ』が有効な壁となってくれる。アプカローネじゃなくとも『エルシャドール・ネフィリム』を出せばそれだけで相手にかなりの圧力をかけることも出来るだろう。

 逆に攻撃力は低いがこちらのモンスターを問答無用で破壊してくるようなモンスターを出されたならミドラーシュが大きく活躍してくれる。

 

「苦しい展開を返せるかもしれませんね」

「そして、バトルフェイズにそんな動きをされてしまえば、相手は難しい対処を迫られます。場合によってはそのバトルフェイズは何もせず終了せざるを得ないかもしれません」

「確かに、バトルフェイズ中は強力な効果を持つ通常魔法やメインフェイズにしか使えないモンスター効果は使えませんから」

「そう言う事です。なんなら、『ライバル・アライバル』を自分のターンに使えば、追撃の一手とする事も可能ですよ」

 

 守りの一手にも攻めの一手にも使えるという事か……。それを聞くと確かに悪くないかもしれないな。

 

「うーん、しかし、それをするにも上手い事ティアラメンツモンスターをデッキから墓地に落とす必要がありますよね?」

「そこはあなたの決闘者力(運命力)次第ですよ、世良君?」

「あ、やっぱりそこは運次第なんですね……」

 

 普段理詰めでデュエルをしている部長が最後は『運』と言い切っている姿はなんだか面白かったが、結局それがカードゲームの真理だった。

 

 

 




いや、確かに部長はVRAINSで五指に入るくらいには好きなキャラですけど、こんなに文量書けるとは思ってなかったよ?????
ぶっちゃけ進めようと思ってたストーリーが進まなかったのでそれは次回
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