科学技術全盛時代に精霊の居場所は   作:はなみつき

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|ω・`)ノ ヤァ

書きたかった話の構成がつきたての餅くらいの形になって来たので第二部始まるよ。
でもティアラメンツ編程のスピード投稿は出来ないと思うので、それは許してね。


鳴らないオルゴール
黄色のユニコーン


 

 

 

 科学技術全盛時代にも精霊は意外と居るもんなんだなぁ……。

 

 

 

 目の前の現実から目を背けるためにそんな事を必死に考えているうちに、ユニコーンはずかずかと部屋の中へと入り込む。精霊であるその身体を家の壁に遮る事が出来るはずもなく、知らない精霊の侵入を許してしまった。

 

 デュエルでよくお世話になる『トロイメア・ユニコーン』だが、その出自の設定を考えると決して油断していいモンスターではない。

 所謂、星遺物世界と呼ばれるストーリーにおいてラスボスと思われていた機界騎士(ジャックナイツ)のコアを利用して真のラスボスによって作られた六体の魔物の内の一体。それが『トロイメア・ユニコーン』だ。

 

 まあ、そんな事を言い出したらミドラーシュだってストーリー上ではとんでも無いことをやらかしたモンスター筆頭だし、背景ストーリーとカードの精霊の性質は別物ということは勿論よく理解している。

 だから、まず俺はユニコーンに対しても普通に対応することにした。

 

「何か困りごとでもあるのかな?」

 

 精霊が見える人間に接触を図ってくる精霊の行動理由は大抵これだ。そして、今回の場合は背中に背負っている機械の少女に関することであろうことは容易に想像ができる。

 

 その機械の少女、『オルフェゴール・ガラテア』について一言で説明するのはとても難しいが、まとめて言うとするならば星遺物ストーリー後半において極めて重要なポジションに居る人物である。その運命もまた極めて厳しい物だが……今はいいだろう。

 そんな少女と行動を共にしているユニコーンだが、本来この二人に接点はない。それは登場した時系列が異なるからだ。そんな二人(……二人?)が一緒に行動している今の状況は彼らのストーリーの外側の事情で動いているという事だろう。

 

『……』

 

 ユニコーンは声も発さず、背に乗せたガラテアを部屋のベッドに静かに横たえる。そこにガラテアを寝かせられると俺が寝る時はどうすれば良いんだ……? 触る事が出来ないから退かすことも出来ないぞ……。

 

 すると、身を軽くしたユニコーンはおもむろに俺の方へと近づいて来る

 

(普通の馬以上の大きさを持つ生き物に目の前に立たれるとそれだけで少しの恐怖を感じるな……)

 

 とは言え、正直な所俺はユニコーンに対して心の底から怖さを感じている訳では無い。それは以前に本気の悪意を向けて来る相手(レイノハート)に対面したから分かるのだろうか、所謂『敵意』と言うものをユニコーンからは感じない。

 

 ユニコーンは何も言わず、俺を見て、ガラテアを見て、そして俺の方を再び見つめてくる。

 

 ふむふむ……なるほどな………………え? 

 もしかしてなのだが、一向に動く気配を見せないガラテアをどうにかして欲しいのだろうか? 

 

「……」

『……』

 

 うーん……、どうもそうみたいだ。

 そもそもガラテアは生きているのだろうか? 機械の身体は呼吸の必要が無いのか、胸が上下するような動作も見えない。ガラテアが精霊体のせいで身体に触れて反射を見ることも出来ない。

 まあ、その確認方法も機械の身体にどれだけ通用するのか分からないが。

 

「あー……もしもーし?」

 

 悩んだ末の謎の呼びかけを行うも、当然ガラテアが反応を返すことは無い。

 

「んー……はああああああああああああああ!!」

 

 今度は自分の掌をガラテアに向けて念を送る様な気持ちで気合を入れてみる。

 精霊とそこそこ親和性があるらしいと巷で噂の俺ならば、初代遊戯王で出て来た(バー)の力的な何かを使えるのでは? そして、そういった精神力的なものが不足しているからガラテアは目覚めないのではないか? そういう考えの元行われた一見意味が無さそうな行為は無事意味もなく終わった。

 

「すまん。万策尽きた」

『!』

「あ痛たたたた!! 痛い痛い!」

 

 素直に出来ない事を謝罪したというのにユニコーンは俺の頭に噛みついてゴリゴリしてきやがった。

 馬に噛みつかれるという事故はまあまああるらしいとどこかで聞いたことがあるが、馬より一回り大きく、空想上の生き物であるユニコーンに噛みつかれるという事故に見舞われた人間は俺しか居ないのでは無かろうか? 

 

「ていうか、何でお前は俺に触れられるんだ!」

 

 思わず頭に浮かんだ疑問をそのまま口に出してしまう。

 そんな俺の言葉が聞こえたのか、俺の頭をゴリゴリしていた顎を止め、何かを伝えようとするかのようにこちらをじっと見つめて来る。

 そんなユニコーンにつられて俺も相手の顔をじっと見つめ返してしまう。

 

 黄色の体表に黄色の鬣。『黄華の機界騎士(ジャックナイツ)』に由来する装備。そして顔面に装着された拘束具の様なフェイスマスク……ん? 

 ユニコーンに付けられたフェイスマスクはその眼を隠すように付けられているのだが、そのフェイスマスクに何かが挟まっている様だ。

 その挟まっている物体をよく見ると……『トロイメア・ユニコーン』のカードだった。しかも反対側にもう一枚の『トロイメア・ユニコーン』が挟まっている。

 

「クレジットカードマン!?」

 

 それはもうCMでよく見るクレジットカードを宣伝してくる変な人みたいな状態になっていた。

 

「な、なるほど……。自分の依り代となるカードを複数集めて人間界への干渉力を上げていたのか……」

『……』

 

 ユニコーンは何も言わないが、そういう事で合っているらしい。何だか満足げな雰囲気を感じる。

 

 仕組みとしてはスペクターの『聖天樹の大母神』と同じことだ。自身のカードを複数集めることで精霊への親和性が高い俺に物理的な接触を可能としている。

 そう言えば、俺はシェイレーン達のカードを三枚ずつ所有していたが、彼女達は人間界で俺に触れることは出来なかった。その差は何なんだろうか? 精霊としての力の強さだろうか? それともまた別の要因が? まあ、そんな事を考えても仕方のない事ではあるのだが。

 しかし、『トロイメア・ユニコーン』のカードを仕舞って置く場所はそこしか無かったのだろうか……? まあ、良いんだけどね……。

 

 ……あれ? ていうか、もしかしてユニコーンが見えない人間からすると3000円×二枚が空を舞っている様に見えていたのだろうか? 俺の視界には常に精霊が見えているから何の違和感もないが、普通の人の視点が愉快なことになっていたであろうことを考えると少し見て見たくもあった。

 

「って、おいおい何するんだ!」

 

 そんなどうでも良い事を想像していると、ユニコーンは何を思ったのか俺の腰に装着しているデッキケースを口に咥えて奪い取る。

 ユニコーンはデッキケースを咥えたまま再びこちらをじっと見つめてくる。

 

「もしかして、俺のデッキにガラテアの力になれる何かがあるのか?」

『……』

 

 やはりユニコーンは何も言わない。しかし、その言葉を聞いたユニコーンは俺の手にデッキケースを渡してくる。つまりはそう言う事なのだろう。

 

 今デッキケースに納められているのは未だシャドールティアラメンツ。

オルフェゴールやトロイメアはもちろん、星遺物やクローラー、パラディオンに関わる様なカードは一枚も採用していない。

 正解のカードの見当がつかない俺は、ユニコーンに見せながら一枚一枚カードを捲っていく。

 

 

 

 十数枚目のカードを捲った時、ユニコーンが動いた。

 

「これか? ……え゛っ……これ!? こらこらこらヤメロヤメロヤメロ」

 

 反応を示したカードは『影依の原核(シャドールーツ)』。このカードが見えた瞬間、ユニコーンは口で咥えて取り上げようとしてきたが、そうはさせまいと俺は必死の抵抗をする。

 

 『影依の原核(シャドールーツ)』。

 これもシャドールのストーリーを追って行けば業の深いカードであることが分かる。言ってしまえばこれはシャドールモンスターのルーツ。ストーリー上ではこのカードからシャドールモンスターが生み出されたと言われている。

 

 ああ。確かにこのカードの力を頼れば眠ったままのガラテアは動き出すかもしれない。

 でもなぁ……それってつまりさぁ……ねぇ? 

 俺は嫌だよ。『シャドール・ガラテア』なんて悲劇の塊みたいなモンスターが生み出されるのは。

 

 そんな悲劇を防ぐための結果として『影依の原核(シャドールーツ)』を中心に俺とユニコーンによる綱引きが行われていた。

 

「うぎぎぎ……いい加減離せ……あっ」

『……』

 

 そんな俺達の綱引きは手汗によってカードが滑った俺のミスで終わりを告げた。だが、いきなり力が抜けたからか、ユニコーンの方もその勢いでカードを取り落とす。

 ひらひらと宙を舞った『影依の原核(シャドールーツ)』は一転、導かれるようにして何の抵抗も受けず一点に向けて落ちて行く。

 

 その場所は俺の影の上であり、そのさらに向こう側にまで落ちて行く。

 

「えぇ……」

『……』

 

影依の原核(シャドールーツ)』が俺の影に飲み込まれると、部屋のライトがちらついている訳でも無いのに影がゆらゆらと蠢く。

 その様子を見ていた俺とユニコーンは素直にドン引きしていた。

 

 こんな事が出来るのは『彼女』しか居ないだろう。

 レイノハートとの一戦。その時、今も彼女がそこに居る事を知った。そこに居ると認識したからだろうか、それ以来俺の影が俺の動きに反した動きをする事が時々ある事に気が付いた。

 影に隠れた彼女が何らかの意思を以ってアクションを仕掛けてくれている。俺はそれを知り、見て居られるだけで嬉しかった。

 

「…………えぇ……」

『……………………』

 

 しかし、『影依の原核(シャドールーツ)』を飲み込んだ俺の影が名状し難い感じにぐにゃぐにゃの形に変化した後、「ぺっ」と言わんばかりに『影依の原核(シャドールーツ)』を吐き出して来たのには流石の俺もユニコーンも何も言えずにいたのだった。





『う~ん……粘っこく、ギトギトで、それでいてしつこい影の味。28点!ヽ(`Д´)ペッ』
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