科学技術全盛時代に精霊の居場所は   作:はなみつき

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デュエルの内容は余り気にしなくて良いですよ。

良いですよ?

追記:ここ、デュエルにミスあります(n敗)


スキル

 世良 VS ME-PSY-YA

 LP4000  LP4000

 

 先攻を示すランプが灯った俺の決闘盤(デュエルディスク)をチラリと見て、初期の手札である五枚のカードを見る。

 

 さて、どう動くか。

 

 そんな風に考え始めた時、先に動いたのは後攻のはずの相手だった。

 

『宣言:スキル発動。光の導き(ライトニング・マーカー)

「なぁ!? マスターデュエルでスキルを!?」

 

 スキル。それは遊戯王VRAINSにおいてのみ使われた特殊ルールだ。決闘者(デュエリスト)が事前に設定したスキルを決闘中に一度だけ使用することが出来る。有名なものはやはりPlaymakerのStorm Accessだろう。このようにスキルは一発逆転の一手にも成り得る強力なものだ。しかし、通常スキルは俺が馴染みのあるマスターデュエルでなく、盤面が狭く、Dボードに乗って行うスピードデュエルでのみ使う事が出来る物のはずだった。

 確かに作中でもマスターデュエル中にスキルを使う奴は居たが、あれはかなり特殊な例だったはずだ。だが、推定される奴の出自を考えれば分からなくもないか。何故なら、そのマスターデュエル中にスキルを使った数少ない奴とはライトニングの勢力だったからだ。

 

『効果:決闘中に一度、デッキから『人攻智能ME-PSY-YA(メサイヤ)』を自身のPゾーンに置く。このスキルで発動したカードは無効化されず相手の効果では破壊されない。その後、相手はデッキからカードを一枚ドローする』

「サイバース族の……ペンデュラムカード?」

 

 相手のPゾーンに置かれたカードは俺からすると実に違和感のあるカードだった。ペンデュラムカードは遊戯王VRAINSの前作、遊戯王ARC-Vで初登場したカード種であり、比較的新しい種類のカードだと言える。モンスターでもあり、魔法でもあるペンデュラムカードは破壊されると墓地へは行かず、EXデッキに表側で置くという独特な動きをするカードである。そして、一番の特徴は魔法・罠ゾーンの両端にあるPゾーンに二枚のペンデュラムカードを揃える事で行えるペンデュラム召喚。ペンデュラムスケールの間のレベルのモンスターを手札、EXデッキで表側で置かれたペンデュラムモンスターの中から好きなだけ召喚出来るという大胆な召喚方法だ。

 

 しかし、それもリンク召喚が実装された現代ではEXデッキからのペンデュラム召喚にはEXデッキから特殊召喚する他の召喚方法のモンスターと同様の縛りが設けられた事で弱体化する事となる。それに、魔法・罠ゾーンが三つしかないスピードデュエルにおいてはその内の二つを潰してしまうペンデュラム召喚は非常に使いにくい。

 そういったこともあって遊戯王VRAINSは儀式、融合、シンクロ、エクシーズ、リンク召喚と多数の召喚方法が登場する中、ペンデュラム召喚だけは登場しなかった。

 そういった理由から、サイバース族のペンデュラムカードと言うのは非常に奇妙な存在なのだ。

 

 だが、これで一つ謎が解けた。モンスターカードであり、魔法カードでもあるペンデュラムモンスターであれば、魔法罠を破壊するフェニックスの効果もモンスターを破壊するケルベロスの効果もその立ち位置を入れ替えれば避ける事が出来る。

 

「P効果は……ッ!」

 

 決闘盤に相手が使ったカードが表示される機能でME-PSY-YAの効果を読んだ俺は絶句する。

 

『効果開示:このカードがPゾーンに存在する限り、モンスターカード以外のお互いの墓地へ送られるカードは墓地へは行かず除外される』

 

 それは『次元の裂け目』の魔法・罠版とも言える効果。

 墓地に魔法を溜める必要がある閃刀姫なんかはこのカード一枚で戦略が瓦解するだろう。そして、何より辛いのはこの墓地メタ効果は俺が使うティアラメンツにもぶっ刺さる事だ。ティアラメンツ魔法・罠カードは効果で墓地へ送られた時に発動する効果があるが、ME-PSY-YAが場にある限りティアラメンツ魔法・罠の墓地効果を使う事が出来なくなった。

 

「……」

 

 相手のスキルのデメリット効果によって先攻ながら六枚から始める事が出来るが、初っ端から面倒なカードを使われたものだ。

 

『:当機はモンスターにして魔法。当機は光の創造主によって究極のカードとなるべくして作られたのである』

「聞いてもいない自分の事を自慢気に話しやがる……」

 

 それにしても、究極のカード……ね。

 ライトニングの勢力が使うカードで印象的なカードが一枚ある。それはリンク魔法『裁きの矢(ジャッジメント・アローズ)』。裁きの矢は魔法カードでありながらもリンクモンスターのみが持つリンクマーカーを持つ特別なカードとして描かれていた。言ってしまえば裁きの矢も魔法カードでありながらモンスターカードの特徴を持つカードであると言える。

 つまり、同じ様な特徴を持つ『人攻智能ME-PSY-YA(メサイヤ)』はライトニングが裁きの矢を創造する過程で生まれたカード、という事なのだろうか? 

 

 だが、今それは関係ない。

 いきなり出鼻を挫かれた形になるが、幸い除外されるのは魔法・罠のみ。モンスターが除外される『次元の裂け目』であればヤバかったが、幸いメインギミックは動かすことが出来る。

 

 手札は『Live☆Twin キスキル』、『Live☆Twin リィラ』『Evil★Twin イージーゲーム』、『ティアラメンツ・シェイレーン』、『三戦の才』、そして今ドローで手札に加わった二枚目の『Live☆Twin リィラ』。

 

「俺は手札の『Live☆Twin キスキル』を召喚!」

 

 Live☆Twin キスキル

 光属性/レベル2/ATK500

 

 フィールドに現れたのはキスキルのアバターの姿。

 デフォルメされた姿の彼女は人をおちょくる様な笑顔でフィールドに現れる。

 

「Live☆Twin キスキルの効果発動! このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合、自分フィールドに他のモンスターが存在しなければ手札・デッキから「リィラ」モンスター一体を特殊召喚する!」

 

 Live☆Twinのキスキルとリィラはお互いがお互いをデッキから呼び合う一枚初動のカード。どちらか一人が居ればリンク体であるEvil★Twinのキスキルとリィラの二人を一ターンで場に出すことが出来る。

 ……ここで止められなければの話だが。

 

『宣言:スキル発動。光の裁き(ライトニング・ジャッジメント)

「はぁ!?」

 

 それは二度目のスキル発動宣言。

 これもやはりあり得ない事だ。スキルと言うのは強力な効果を有する故に決闘中に一度しか使うことが出来ない。まあ、作中には二人で一つだからスキルを二回使う奴も居たが……。それでもそいつは同じスキルを二回使うという物であり、異なるスキルを使うと言うのはインチキも甚だしい。

 

『効果:一ターンに一度、相手の光属性サイバース族モンスターの効果を無効にする』

「くっ……キスキルの展開が止められた……」

 

 ME-PSY-YAの翼に備え付けられたライトがキスキルを照らすと、効果の発動を中断されて「スンッ……」って感じの顔をしている。

 しかも、奴の発言から考えるに、わざわざ一ターン一度と説明しているという事は、このスキルは次のターン以降も使えると考えた方が良いだろう。

 

『:これこそ当機に与えられた創造主の権能の一部』

 

 俺は「お前の創造主でもこんなインチキスキルは使わないぞ!」と叫びたくなる気持ちを堪えてとにかく頭を回すことに集中する。

 幸い、キスキルの効果が無効化されただけであり、破壊されたりコントロールが奪取された訳では無い。それならば、モンスターを並べればまだリンク召喚は可能! 

 

「なら、手札の『ティアラメンツ・シェイレーン』の効果発動! このカードを手札から特殊召喚し、自分の手札からモンスター一体を選んで墓地へ送る。その後、自分のデッキの上からカードを三枚墓地へ送る」

 

 ティアラメンツ・シェイレーン

 闇属性/レベル4/ATK1800

 

 俺は手札でダブっている『Live☆Twin リィラ』を墓地に送り、デッキの上からカードを三枚墓地に送る。墓地へ送られたカードは『Evil★Twins キスキル・リィラ』のみ。残り二枚である『壱世壊=ペルレイノ』と『壱世壊を劈く弦声(ティアラメンツ・スクリーム)』は墓地へは行かずに除外されてしまう。

 ここで壱世壊を劈く弦声の効果が使えればティアラメンツ罠を構える事が出来たのだが、ME-PSY-YAによってそれは叶わない。

 サーチ・攻撃力アップ・妨害を兼ね備えるペルレイノが飛ばされてしまったのも非常に痛い。このカードはティアラメンツカードでは無い為サーチが難しいのだ。

 

 だが、これで俺のフィールドにキスキルを含む二体のモンスターが揃った。

 

「現れろ! 想いを繋げるサーキット!」

 

 俺の宣言により、空中にリンク召喚を表すマーカーが出現する。

 

「召喚条件は「キスキル」モンスターを含むモンスター二体! キスキルとシェイレーンをリンクマーカーにセット! サイバース世界の華やかな怪盗よ、困難な挑戦(チャレンジ)も100%成功! リンク召喚! リンク2、『Evil★Twin キスキル』!」

 

 Evil★Twin キスキル

 光属性/リンク2/ATK1100

 

 フィールドに現れたキスキルはそのイラストの通りに余裕を見せる様な笑みを浮かべているが、俺はそれに違和感を感じる。

 

「キスキル?」

 

 普段ならキスキルの様な精霊付きのカードをフィールドに召喚すれば彼・彼女達は少なからずこちらにコミュニケーションを取って来るのだが、今回はそれが無い。

 

『説明:この空間は当機以外の精霊の干渉を許さない。個体名「世良」がいくら精霊と心を通わす者であろうとこの空間ではそれも不可能』

「……」

 

 だから俺がこの空間に来た時に彼女達の姿が見えなくなったのか。

 精霊とのデュエルをする時はいつも三人娘(ティアラメンツ)やマスカレーナが居てくれたが、今回は俺一人という事で少し心細くある。

 

『:故に、個体名:「世良」は精霊の力に頼ることは出来ない』

「なめるなよ……。俺は決闘者だ。キスキルの効果! 自分フィールドに「リィラ」モンスターが存在しない場合、自分の墓地から「リィラ」モンスター一体を選んで特殊召喚する。俺は『Live☆Twin リィラ』を守備表示で特殊召喚!」

 

 Live☆Twin リィラ

 闇属性/レベル2/DEF0

 

 現れたのはデフォルメ姿のリィラ。本来であればキスキルの効果でデッキから特殊召喚する事が出来るが、今回はシェイレーンの効果を経由して墓地に送って使う事にした。

 

「再び現れろ、想いを繋げるサーキット! 召喚条件は「リィラ」モンスターを含むモンスター二体! キスキルとリィラをリンクマーカーにセット! サイバース世界の麗しき怪盗よ、届かぬ()をその手で奪え! リンク召喚! リンク2、『Evil★Twin リィラ』!」

 

 Evil★Twin リィラ

 闇属性/リンク2/ATK1100

 

 キスキルと比べれば物静かなリィラではあるが、やはり精霊としての彼女の意思が宿っていないためか一言も喋る事は無くその場に佇んでいる。

 

「リィラの効果を発動! 自分フィールドに「キスキル」モンスターが存在しない場合、自分の墓地から「キスキル」モンスター一体を選んで特殊召喚する。並び立て、『Evil★Twin キスキル』!」

 

 Evil★Twin キスキル

 光属性/リンク2/ATK1100

 

 俺はリィラのリンク素材として使用したキスキルを蘇生させる。Evil★Twinの彼女達の蘇生効果は「キスキル」モンスター、「リィラ」モンスターと言う指定のため、リンク体の彼女達もお互いに蘇生しあう事が出来るのだ。この効果を利用する事でEvil★Twinデッキは展開、戦線維持をしていく事になる。

 

「そして、特殊召喚されたキスキルの効果発動! このカードが特殊召喚に成功した場合、自分フィールドに「リィラ」モンスターが存在すれば自分はデッキから一枚ドローする!」

 

 引いたカードは『ティアラメンツ・ハゥフニス』。

 良い引きだ。運が良ければこれで相手ターンに融合召喚を行うことが出来る。EXゾーンはリィラが使っているが、キスキルのリンク先が空いているため問題は無い。

 

「俺はカードを1枚伏せてターンエンド」

 

 Evil★Twinイージーゲームを伏せて次のターンに備える。

 Evil★Twinの蘇生効果を使っているため俺はこのターンEXデッキから悪魔族しか特殊召喚する事が出来ないため、これ以上何か出来る事は無い。トロイメアモンスター達は悪魔族であるため、『トロイメア・グリフォン』を出すことは出来るが、イージーゲームの事を考えればこのままで良いだろう。

 

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