科学技術全盛時代に精霊の居場所は   作:はなみつき

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あのー……実はかれこれ2年くらい2期と3期をどうしようか夜寝ながら考えていたのですが、結局僕の技量とソウゾウ力では良い落としどころを思いつきませんでした。
でも最終話以降の話で書いてみたい話がある。そのためには時を3期終了時点まで進める必要がある。
悩んだ結果、摘まみたい所だけ摘まんで2期と3期はほとんどスルーする事にしました!(何とかしろ、遊作)
なので、原作の流れは変わりません(ネタバレ)。
なので、これからは足の生えた蛇の絵に羽を生やした小説になるので、気楽に見ていって下さい。

今日の昼頃にうっかり途中の話を一瞬投稿してしまって紛らわしい事をしてしまってすみません。
とりあえず三日連続投稿で行かして頂きます。


あーだ・コーダー
あれから、これから


 精霊界誘拐事件からはや二か月。

 つまり、マスカレーナのカードを遊作に託してからそれだけの時間が経ったという事でもあるのだが、実の所俺と彼女の関係はほとんど変わっていなかった。そもそもマスカレーナは四六時中俺の傍に居た訳でなく、気ままに顔を見せに来る様な感じだった。そのタイミングが学校で遊作に遭遇した時か、あるいは今までより少しだけ行く頻度を増やしたCafé Nagiで遊作と遭遇した時に変わっただけである。

 状況としては島に渡したグリーン・バブーンと同じだ。まあ、マスカレーナに「グリーン・バブーンと同じだな」なんて伝えた日には何を言われるか分かった物では無いが、会おうと思えばいつでも会う事が出来る友人と言うのはやはり良い物である。三人娘(ティアラメンツ)やガラテアとの別れと比較すれば喪失感と言う意味では軽い物だった。

 それに、キスキルとリィラに関しても時々こちらに顔を出しては人間界での活動を継続中である。彼女達が使っている人間界への入り口(Evil★Twinカード)が俺の傍にある事もあってそれなりに交流は続いている。

 

「しかし、そろそろハノイの塔事件から三か月か……」

 

 相変わらず俺は一人しかいない自分の部屋だというのに声に出して状況確認をしてしまう。

 正確にはここに居るのは俺だけでは無いのだが、この周りに人が居ないにも関わらず思考を声に出してしまう癖は確実にここ最近精霊達がいつも傍に居た事による影響だろう。

 

「また一騒動起こるのかぁ」

 

 そう、あれから三か月という事は、ハノイの塔事件によって壊滅的被害を受けたLINKVRAINSが新生LINKVRAINSとして再稼働し、光のイグニスことライトニングが発端となる事件が起こるという事だ。

 そして、この事件の結末こそが遊作とAi……いや、Aiと人間との決別を決定づけてしまう原因になる。つまり、遊戯王VRAINSという物語のラストを決定づける大きな原因となった事件こそがこれから始まるであろうライトニングが引き起こす騒動であると言っても過言ではない。

 その結末を覆すにはAiの絶望を無くすために、仲間であるイグニスを生き残らせればいい。

 人間に友好的だった炎のイグニス(不霊夢)水のイグニス(アクア)。中立の姿勢を見せた地のイグニス(アース)。そして、人間に敵対的だった風のイグニス(ウィンディ)光のイグニス(ライトニング)。ウィンディに関しては事情があるのだが、現時点では既に人間に敵対していると考えて良いだろう。

 話が逸れたが、単純に考えればライトニングの勢力を原作通り打倒したうえで不霊夢、アクア、アースを生き残らせればこの物語を好転させられる様に思える。

 

 ……だが、本当にそうか?

 仮に不霊夢、アクア、アースを守り抜いたとして、最終戦であるボーマン戦でPlaymakerとAiは勝利することが出来るのか? 確か、最終戦ではイグニス全員の力を束ねて云々みたいな流れがあったはずだ。

 それに、ウィンディ、ライトニング、そしてボーマンを打倒したとして、それでAiは行動を起こさずそのまま遊作と共に居てくれるのか?

 あれで意外と仲間思いなAiだ。例え行く道が分かれてしまったウィンディとライトニングであろうと、彼らが居なくなってしまったという事実に対して深く傷つき、絶望するかもしれない。そして、その絶望が少し違う形でAiの反乱を起こす引き金となるだけかもしれない。

 そうなると、やはりイグニスを全員生き残らせたうえで、ライトニング達と和解する必要がある。

 

 ………………どうやって?

 仲間であるAiがどれだけ呼び掛けてもライトニングの意思は変わらなかったのだ。ぽっと出の人間に何かが出来るとも思えない。

 それに、仮にイグニス達の問題を解決できたとして、ハノイの騎士はどうする? 彼らはきっと、イグニスを滅ぼすという目標を取り下げる事はしないだろう。

 

 何度考えても結論は出ない。

 

「はぁ……こんな事を考えるのはやっぱり傲慢かな」

 

 大きくため息をつきながら、座っている椅子の背もたれに体重を掛ける事でロッキング機能によって心地よく揺らされる。

 なんだか、久々に自分の出自(転生)について思い出さされてしまったな。

 この物語の未来とも言えるストーリーを知っているからこそできる事があるかもしれないと思ってしまう。しかし、運命に導かれた選りすぐりのデュエリスト達が死力を尽くした結果があのラストだ。俺一人が加わった所で何かが変わるとも考えにくいし、俺なんかが変えてしまうべきではないとも思ってしまう。

 

 だが、これまでの事件の中でイレギュラーが起こっているのも事実。リースによるハノイの塔に対する介入がそれだ。あの余計な事しかしない自称妖精の介入をあのまま放置していたら世界はもっと碌でもない事になっていたかもしれない。リースの介入を阻止したという選択は間違っていなかったはず。正史では存在しなかったリスクに気付き、それを何とかするのは俺にしか出来ない事かもしれない。

 

 そもそも、俺がこの遊戯王VRAINSの世界に生を受けた事に気が付いた時、積極的に原作に介入しないと決めていた。遊戯王の世界はどのシリーズでも世界がヤバイ系の事件が巻き起こるものの、最終的には主人公達が解決してくれる。そんな事件に下手に手を出すのは悪手だというのが当初の考えだった。

 とはいえ、マスカレーナを遊作に託した手前、投げっぱなしという事はせず彼等に協力を求められたら俺も自分が出来る範囲で協力するつもりではある……何が出来るかは分からないけどな。

 

 あ、そうそう。

 これは余談なんだが、マスカレーナを遊作に渡した後、「マスカレーナだけだと運用の扱いに困るよな」と考えた俺は、家に戻ってからカードフォルダーに収められている『トロイメア・ユニコーン』の二枚の内一枚を遊作に渡している。ユニコーンの精霊は自身の力をガラテアに託してから消えてしまったが、許してくれると信じよう。

 この力が彼のこれからの困難を打ち破る一助になれば良いなと思う。

 

「ん?」

 

 そんな答えのない考えを巡らせていると、服の裾を下から引っ張られる。

 視線を下に向けると、そこには部屋のライトに照らされた事によって作られた俺の影がサムズアップをしている。

 

「元気づけてくれてるのか? それとも励まし……か? いや、「なんとかなる」って言いたいのかな?」

 

 それは俺にしか姿が見えない同居人、カードの精霊『エルシャドール・ミドラーシュ』による意思表示であった。

 彼女は時々声を掛けてくれる事もあるのだが、基本的には言葉を発する事は無く、俺の影を介した身振り手振りでコミュニケーションをとってくる。そういう訳で、彼女が本当に伝えたい事の意味は正直な所、いつも測りかねているのだが、そこまで的外れという訳では無いだろう。多分。

 

「……ふふ。そうだな。答えのない問題について手も動かさずに考えてるだけじゃ何の解決にもならないよな。よし!」

 

 俺は椅子から立ち上がり、行動する事にする。

 

「とりあえず、カードショップにでも行くか」

 

 楽しい事をしたい時はデュエルをすればいい。

 悩み事があり、気分を変えたい時はショップで陳列されたカードを眺めればいい。

 これから起こり得る荒事に備え、戦力を増強させたい時はパックを剥けばいい。

 

 この世界では大体の事がカードで解決できるのだ。

 こんな事を自然に考えるようになった俺は、既に別世界からの転生者などではなく、この世界に生きる一人の人間なのだろう。

 




('ω')b『お腹空いたから何か食べに行こうよ』
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