海皇獣の冒険譚   作:狭霧 蓮

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前回が長かったので、今回は短め。よろしくお願いします


第13話

 魚人島を出港することになり。ビックマムに喧嘩を売ったことをみんなで共有して、まぁウソップとナミさん、チョッパーが絶望顔してたが。良いとして、今あたしはナミさんに胸ぐらを掴まれて揺らされていた。

 

「それはそうとミク? 財宝ちょろまかしてたってどういうことよ!?」

「お、おちついてナミさん。あれはあたしの個人なへそくりみたいなもので」

「なら全部出しなさい! あたしたちの共有財産みたいな物でしょぉ?」

「……いや、それはなんかおかしいよ!?」

 

 笑いながら怒る彼女に恐怖を感じて、いやこれ……有無を言わさない、覇王色の覇気が……!? 根負けしたあたしはどーんとへそくりの残り。おおよそ1億ベリーほどの財宝を彼女に献上する羽目になった。

 

「の、残ってるのはこれだけです」

「本当にこれだけなのね?」

「……ハイ、コレダケデス」

 

 嘘は言ってない。ナミさん怖い、お金が絡むと覇王色の覇気を纏うのは卑怯だと思う。そんな冗談はさておいて、出航の準備が整いあたしたちは各方面への挨拶を済ませた。

 

「終わりだ……四皇に目をつけられるなんてぇぇ!!」

「新世界は地獄への片道切符じゃねぇかコノヤロー!」

 

 ウソップとチョッパーが騒いでるけど気にしない方面で。ルフィがフカボシ王子たちと約束というか握手と最後の挨拶をして。

 

「そういえばミク殿。その、玉手箱だけは返却してくださらんかな……?」

「え?なんでよ右大臣さん」

「いやーその、中身が爆弾でな?」

「……なるほど、大丈夫だよ。ありがたくもらっておくわ」

 

 なんでそうなるという顔をする右大臣。大丈夫だ、問題ないから。

 

「開ければ爆発するんでしょ? 敵の縄張りにでもおいて相手にあけさせればこちとら損害も与えられるし、宣戦布告にもなるからね!」

「「凄まじいぽ、ポジティブシンキングゥ!? いや、使い方がとても物騒(なんじゃもん)ッ!!?」」

「なんでネプチューン王まで突っ込んでんのさ、爆弾ってそういう使い方するでしょ?」

 

 そんなやりとりをしつつ、名残惜しいが魚人島の出港準備は完全に整った。

 

「よぉーし、帆を張れぇぇ! 出港だぁぁぁ!」

 

 ルフィの号令で取り舵いっぱい。操舵輪を左に大きく回して接舷していた港から船体を離す。

 

「アーゥ、ミクも操舵できるなら。スーパー、航海が楽になりそうだなぁ!」

「レイリーさんに航海術はある程度叩き込まれたからね! へへん、それにあたしは海の化身。海流を読むのは得意だから、期待しても良いよ?」

「そういうことなら、頼りにさせてもらうわよ?」

「ハイ、ヨロコンデー‼︎」

 

 気をつけの姿勢で反射的に敬礼。操舵輪はきっちり片手で操作してるから問題なし、ヨシ! と思っていたらザバァ、としらほしが泣きながらサニー号に取り付いたため。舵が切れなくなったから、操舵輪に手を添えて静止させる。トントンとフランキーさんが肩を叩いてくれた。

 

「へっ、別れってのはきっちり済ますのがスーパースマートだぜ?」

「……ありがとう、フランキーさん!」

 

 操舵をフランキーさんに任せて、泣きべそのしらほしに歩み寄る。彼女の言葉にあたしは少しだけもらい泣きだ。泣くのをグッと堪えてるその顔に、あたしは涙を禁じえなかった。

 

「いつかまた、お会いできましたなら……その時は、泣き虫を卒業しておきますから……! その時はまた、楽しいお散歩に連れ出してくださいませ……!」

「にっしし、おう! そん時は、母ちゃんの墓参りだけじゃねえ! お前が夢見た陸の方に連れて行ってやるよ!」

「……! 地上にですか!? そんなの、ワクワクが止まりません!」

「海の森じゃなくて、本物の森にな!」

「でしたら! その、お約束を……!」

「おう、任せとけ。約束だ!」

 

 しらほしの差し出してきた大きな小指にルフィはぐるりと、自身の小指を巻きつける。それに対してナミさんが少しだけ冗談混じりの笑みを含ませて

 

「ちょっと、ルフィ? それって責任重大じゃない」

「そうですよ、約束は死んで骨になってでも成し遂げなくてはいけませんよ? 私、すでに骨ですけど! ヨホホホッ!」

「当たり前だ、男に二言はねぇ!」

 

 頑固なルフィらしい。笑いながら、海の男としてその約束に誇りを賭けた。

 

「ふふ、じゃあ。しらほし、あたしも約束」

「ナミちん様……」

 

 ナミさんからサンジさん、チョッパー、ロビンさん、ブルックさん、ウソップ。そして……

 

「ふふん、ぐすっ、ども、達として、や゛ぐ、束じてあげるがら、なぐなよ、じらぼし!」

「ミク様も……ミク様!? お泣きにならないでください!?」

「フフっ、でも。これだけ結んでおけば一つくらいは」

「大丈夫ですかねぇ、ヨホホホッ」

 

 みんなが指切り。そして、同時に声を出した。あたしは少し、涙のせいで視界が怪しかったけどさ。

 

『約束(や゛ぐぞぐ)っ!』

「皆様、ありがとございます……!」

「にっしし! だからもう泣くなよ、よわほし。あとさ、ミクもいい加減泣き止めよみっともねぇなぁ」

「はい! ふふふふっ……ミク様も、そろそろ落ち着いてくださいませ」

「わがっでるわよぉぉ〜!」

 

 あたしとしらほしは涙を拭い、改めて出発する。手を振るしらほしに手を目一杯振り返して、操舵に戻った。

 そして、巨大シャボンを抜けて深海に出る。フランキーさんがクウイゴスの木片をコーティングの外に放り投げ、その浮力を利用して上昇するらしい。

 あたしの感知能力で障害物は軒並み避けれるから、その辺もナミさんに頼るわよと。笑顔で言われるが、見習いはそれくらいしないとダメだし異論なんてない。

 

「ナミさんは航海士なんだから、いくらでも頼ってね。安全な航海に使えるものはいくらでも使ったほうがいいからさ」

「……あんた、本当いい子ね。ありがと、ミク」

 

 そんなやりとりをしつつ、海の上に広がる‘新世界’に各々は思いを馳せる。サニー号の船首に立つルフィにゾロさんが話しかける。

 

「どうした、ルフィ」

「ここ登ったらよ、シャンクスのいる海だ」

 

 ルフィを呼んだ男。いつしか、あの麦わら帽子を返しに来いと誘ったルフィのルーツ。その男にあたしたちは会いにいく。

 

「この海底を抜けた先は。‘最強の海’……!」

 

 各々の心に留めていた思いを口々に宣言する。あたしは新参者だから最後だけどね

 

「最果てで‘最高の音楽’を奏でる! 航海の途中だって、みんなを絶対に退屈なんてさせないよ!」

「しししっ、いくぞ──野郎どもォォォッ! 新世界へっ!」

 

『おぉぉぉっ!』




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