走る、走るただひたすらに街の地下道の暗闇を一心不乱に何も考えず
己の肉体を限界まで酷使する、あの化け物からあの怪物から逃げるために
この世の理の外にいるとしか思えない圧倒的な力を持つ化け物、自分が逃げ切れるかどうかは微妙どころか1厘でも逃走を成功させる可能性があれば奇跡だが…
『身体能力向上』
『身体能力超向上』
すでに悲鳴を上げている体に鞭を打ち「武技」を発動させ加速、
《下級筋力増大》
《下級敏捷性増大》
緊急時のときにと高値を払って買っておいたマジックポーションを消費し、
限界を超えて更に速く加速する
限界を超えて強化された肉体は石の地面を蹴り砕きながら高速で地下水道を駆け抜ける
常人では目に捉えることすらできない超速、壁を蹴り分岐路を曲がり、目まぐるしく視界は変わる
極限まで研ぎ澄まされた感覚のおかげでなんとかこの速度を維持しながら
迷路のように張り巡らされた地下水道を移動することができていた。
(他の麻薬部門の奴らは…いや既に連中が生きている望みはねえッ)
(今はとにかく逃げ延びること生き残ることが最優先だッ)
体感では既に何日もブッ通しで走り続けたような感覚だがおそらくまだ数分も立っていないだろう
しかしこうして身体にムチを打って飛ばした甲斐あってか
もう既に街の外につながっている地下脱出路に出ていた。
希望の灯火が胸に宿る、あともう少しでほんの少しで完全に「ヤツ」を撒く事が自分は
できッ
「ッガ!?」
突然の痛み、踏み出した片足の感覚の消失、バランスを崩した身体は慣性に従って地面に額をこすりつけながら転がった。
ふと顔を開けると暗闇の中に人影が一人佇んでいた。
「あ~危ねえ危ねぇ、あともう少しで逃がすところだったなぁ。」
「焦ったぜぇ?他の奴ら仕留めてる間にものすげぇ速度で逃げていくもんだからよぉ」
「ヤツ」がなんか言っているが今の自分には何も聞こえなかった
切り落とされた指と片足からどう考えても致死量の出血が出ていた
「グッぉおッックソがぁァオレの足を良くもぉっッ!」
「ヤツ」が顔をしかめてオレを見下ろしていた
「痛そうだなぁ、すんげえ量の血だなぁ保って一分ってところかぁ?」
「まぁこれも因果応報ってやつだよなぁ、今まで何人も食い物にしてきたんだろう?」
「さぁ、てめぇの罪を数えなぁ!」
直後血肉が地面に散乱し地下水道には再び静寂が降り立った
(ぐっおぉおおおおお!今の俺かっこよすぎだろ!!一切慈悲のない冷徹な暗殺者っぽさ!!
かっこいい決めセリフ!かっこいい装備!
ビデオがあったら録画したい!!そしてスレイン法国の全国民に見せたいッ!!!)
先程リ・エスティーゼに巣食う犯罪組織八本指の麻薬部門を壊滅させた男
「ラグナ・エイン・ルーイン」は人生においてこれまでにないほど興奮していた
(いや無い物ねだりしても仕方がない!さっさとこの気絶させたヤツ縛り上げて
他のみんなや先生と合流しよう!)
興奮しすぎていて忘れていたとばかりに両足と両手を切り気絶させた八本指の男に治癒魔法を掛け
死なないように止血する
ラグナはスレイン法国の神都にあるスレイン法国唯一にして最大の教育機関
国立統合義務教育技能修養学校・中等部
という正式名称が死ぬほど長いに在籍する学生である
彼は今こうして班のみんなと日頃の授業で培った技術をリ・エスティーゼ王国での修学旅行で試している
(他の班やクラスは竜王国でビーストマンとの戦闘や、トブの大森林でモンスターと戦ったりなんて
聞いただけでワクワクするようなすごい楽しそうな場所に行ってんだよなぁっ!
帰ったら絶対お土産と冒険話をみんなから聞こう!)
スレイン法国それは人類を数百年の間守護し続け他国とは隔絶した軍事力を持ち
数多の困難に立ち向かう人類最強の国家である!!
ー国立統合義務教育技能修養学校ー
通称:迷宮都市
スレイン法国唯一にして最大の中等及び高等複合教育機関
10歳までは法国全土にある小等教育学校で基本的な教育を受けるが
10歳以降は親元から半ば強制的に離され神都にあるこの超巨大学園都市に
入学し基本的な戦闘技能や魔導学、その他座学を学ぶ
この学園の地下には「迷宮」と呼ばれる施設がありゲートでつながっている
迷宮はかつて降臨した7大神のうちの一人技建神が世界の法則を一定期間捻じ曲げて
位階魔法とルーン文字、始原の魔法の技術をを組み合わせて作ったと記録されている
その迷宮で学生たちは戦闘訓練を行いレベリングをする
都市は法国の魔導建築技術により極めて快適かつ壮麗であると同時に
世界の様々な富が集まり都市全体を常に強力な隠蔽と防御を施す結界で覆っている
卒業したスレイン法国民のレベルの平均値が65LV最頻値が48LV
成人した一般に生活するスレイン法国民のレベルは最低41最高で49あたりである