評価者が増えてて嬉しいけど数値が下がって悲しいという贅沢な悩みを抱えてる
綾小路くんと友達になってから1週間がたった。
友達になろうと言われた時の彼はとても印象的だった。
表情には出ていないが雰囲気がすごく嬉しそうだったのだ。まるでホントは手に入れられなかったものに手が届いたような憧れていたものを手に入れたようなそんな感じだった。
お互いクラスが違うため放課後、暇な日にお茶をしに行くくらいの仲になった。
質問した時の彼の人を人だと思っていないあの瞳。そして彼自身が抱える矛盾した考え、普通の生活を送ってきていないのは明白だが、彼は一般的な知識をほとんど知らなかったのは予想外だった。
最近の流行や昔流行ったことを知らず、さらにはサザ〇さんやドラ〇もんなどの国民的な作品すら知らなかったのだ。
彼の極限まで鍛えられた肉体、そして高校生離れした圧倒的な能力値。模倣した才能をフルに使用して全力を出した私でも勝率が1割を切るというぶっ壊れ具合だ。
この学校で彼に勝てる可能性がある人材は正直、生徒会長くらいしか思い浮かばない。
こんな人間が一般家庭で生まれたなんて考えつかない。それに彼が抱えている考え的にどこかの実験施設か何かで人間の出せる能力を限界まで引き出す実験の実験体になってました、と言われた方が信じることが出来る。
それと彼はどうやらこれで普通を演じているらしい。まじかよ
中間テストに向けて龍園の指揮の元、勉強会が開始されている。私やひよりちゃん、金田などの高得点をとっていた人たちが教師役をやりクラスメイト全員に勉強を教えることになっている。
龍園には使えば全員が満点を取れる可能性のある秘策があるらしいがまだそれを誰にも教えていない。
そんなものがなくても授業をしっかり聞いて、さらに勉強会へと参加すれば中間テストくらいはなんとかなるとは思うが念には念を入れるらしい。
彼らしいと言えば彼らしい
そんなことを考えていると受け持った生徒のひとりが質問をしに来た
「西園寺さんこの問題が分からないんですけど」
「その問題は……」
彼らが解いているのは龍園に依頼されて私が自作した問題だ。授業中に先生が時間をかけて教えていた場所や小テストでの間違いが多かった問題などを多めに入れた。
1教科につき1000ポイントという激高問題だ。
みんなきちんと授業を受けているからか応用の問題以外は基本的に解けるようになっている。
「あ? お前ら、ひょっとしてDクラスの生徒か?」
そんな声が聞こえ、声の方をむくとうちのクラスのバカが誰かに喧嘩を吹っ掛けていた。
「んだよ、俺らがDクラスだから何だってんだよ。なんか文句あんのか?」
「いや別に? 文句はねぇよ」
ニヤニヤとしながら、山脇はDクラスの生徒たちを見回した。
「ただ、この学校が実力でクラス分けしてくれて良かったなって思っただけだ。お前らみたいな底辺と一緒に勉強させられたらたまんねえからなぁ」
「なんだと!?」
赤髪の男は彼の言葉が気に入らなかったのか立ち上がり胸ぐらを掴んだ。
「本当のことを言っただけで怒んなよ。もし校内で暴力行為なんて起こしたら、どれだけポイントに響くか。おっと、お前らはなくすポイントもないんだっけか! じゃあ退学になるかもなぁ?」
これ以上は問題になると思い山脇の後ろに回りこみ、頭をひっぱたいた。
「やめなさい」
私の声が聞こえた瞬間、彼はものすごい速度でこちらに振り向いた。
「さ、西園寺さんこれは……」
「状況は分からないけど、調子に乗ってクラスの品位を下げる行動はするな。王の顔に泥を塗ることになる」
王という単語を聞いた瞬間、彼の表情が青ざめる。彼は怯えた目でこちらを見つめ、私の次の言葉を待っている。
「今回は問題になるような行動はあまりとっていないから龍園には話さないけど、これから気をつけるように」
私の言葉を聞いた山脇は急いで図書館から消えていった。
調子に乗ったクラスメイトがこういう問題をいつかは起こすとは思っていたがここまで相手を見下すとは思わなかった。彼のように調子に乗った人間が何か問題を起こしてクラスの不利益になると困る。
後で龍園にこういった人間が出ないように呼びかけをするようにつたえておこう。
私たち同様に図書館で勉強していた人たちへと謝罪する。
「ごめんなさい。私のクラスメイトがご迷惑をお掛けしてしまって」
私の謝罪を聞いた生徒たちは徐々に警戒心を解いて行った。彼がいるクラスだし少しサービスをしてあげよう。
「お詫びと言ってはなんだけどひとついいことを教えてあげる。あなたたちのやっている試験範囲は変更されたから本当の試験範囲は違うところだよ」
Dクラスの生徒たちの視線がいっせいにこちらをむく。綾小路くんと目が合った。彼は小さくこちらに向かって手を振っている。かわいい
「それってどういうことかしら?」
どこかで見たことあるような黒髪ロングの少女がいた。そこそこの実力を持っているがそれだけだ。
「そのままの意味だけど?先生から試験範囲の変更が行われるって報告されたでしょう?」
彼女の態度を見る限り、試験範囲の変更の報告はされていないらしい。職務放棄と言ってもいいレベルだ。生徒が生徒ならの担任も担任らしい。
綾小路くんが可哀想だ。まあ彼は授業をひとつも受けなくても大丈夫な実力を持っているし大丈夫か。
「それって……」
「私も自分のクラスの勉強会に戻らなくちゃいけないから、失礼するね」
綾小路くんに小さく手を振るう。
すごく嬉しそうだ
『明日一緒に出かけないか?話したいこともある』
その日の夜、綾小路くんからデートのお誘いが来た。
まじか
次の日の日曜日、私たちのクラスは今日も勉強会を行うらしいがそんなことよりデートだデート龍園には友達と出かけてくるからサボるねとメールを送り、作った問題の細かい解説を乗っけた答えを送り付けておいた。
「おまたせ」
待ち合わせの場所のデパートに着くと綾小路くんは先に待っていた。
「結構待たせちゃた?」
「いや俺もここに着いたのは少し前だ」
そんなベタなセリフを返した彼の方を見る。
彼は学校の制服を着ていた。デートにその格好はないだろうと思うが私は自分の格好を思い出す。
ユ〇クロのジーンズにTシャツにレディースのパーカーだ。私もデートに着ていく服じゃねぇ
言い訳させて欲しい。前世の私は希望ヶ峰学園の元超高校級として世界を良くするために奮闘していたせい、そして今世はそもそも生きる意味を探していてそれどころではなかったせいで男性経験がゼロなのだ。
そもそも恋愛に興味がなかったんだから服がダメでも問題ない(暴論)
「今日は綾小路くんから誘ってくれてありがとう。話したいことって何?」
本題を切り出したら彼はとても深刻な顔をした。
そんなに重要な話なのかと気合を入れて身構える。
「俺に一般的な知識と常識を教えてくれ」
確かに彼にとってはとても深刻な事態だ。
常識を教えてくれ、か。本来常識とは生活していく中で自然と身についていくものだ。それを教えてくれとは私が考えていた説が現実を帯びてきた。
「俺は西園寺と話していて世間の常識をほとんど知らないことを知ったんだ。試験後に俺もこれから友達ができてと一緒に出かける時、1人だけ常識を知らないやつがいたらおかしいだろ」
「でもどうして今日なの?Dクラスは勉強会をしていたはずだけど」
「あの後、堀北、昨日西園寺と話していた女子生徒と昨日図書館で騒いでた生徒が喧嘩をしてな。それの仲介をすれば休みをやるって言われたんだ」
「それは頑張ったね」
どうやら彼はあの後に起きたであろう問題を片付けてきたらしい。
そこまでして今日行く意味はないだろうに
「まずは1つ目普通は試験日に近くなったら試験勉強に没頭するから普通は遊びに行ったりしないよ」
「そうなのか?あそこにいる先輩達は遊んでるぞ?」
私の指摘に彼は首を傾げた。近くに私たちと同じように待ち合わせしていたであろう先輩がいた事で疑問に思ったのだろう。
「勉強ができて試験に問題ないって自信がある人達くらいだよ。多分あの人たちに何クラスかを聞いたらAクラスかBクラスと答えると思うよ。まぁ勉強会をするためにフードコートを利用する可能性はあるけど」
私の回答に彼は納得したのか
「まずは服を買いに行こっか」
「なんでだ?」
「綾小路くんは私服持ってないでしょ。周りのみんなが私服を着て来てるのにあなただけ制服だとおかしいからだよ」
服屋へと行く道中彼に対して疑問に思ったことを質問する。
「綾小路くんは前回の小テストの最後の問題とけた教科あった?」
「あった、数学と国語だ」
「テストは何点だった?」
「恥ずかしながら全教科50点ちょうどだ」
ん〜〜??
彼は自分の発言に違和感を持たなかったのだろうか?
全教科50点ちょうどに合わせるのは5点刻みとはいえ調整無しに起こるとは思えないし、最後の問題は選択問題では無いし明らかにまぐれで取れる問題では無い。
「綾小路くんはなんで点数をとらなかったの?」
「わざと取らなかったわけじゃない。全力でやった結果だ」
「綾小路くん」
彼は私の雰囲気が真剣になったことを察知したのか先程の誤魔化すかのような表情から真剣なものに変わる
「理由はいつか教えて貰えることを期待して詮索しないけど普通をめざしているでしょ。私からアドバイスをあげる。もっとクラスメイトと交流を持って普通を学んだ方がいいよ。
50点ちょうどを採ることは普通の証明にならないし、普通って言うのはその人が持つ価値観によって大きく変わってくる。普通って言うのは人の数だけある。だからあなたの価値観からした普通じゃなくてみんなの思う普通を知っていって、それから普通を目指せばいい。なにか普通について分からないことや理解が難しいことがあったら私も相談に乗るから」
「あ、ありがとう」
私の言葉を聞いた綾小路くんは、頼れる人ができた喜び感情をどう処理すればいいのか分からず困ったような感じだった。
頼れる人間ができるのも初めてらしい。
「ほらあのお店だよ。行こう」
目的の服屋が視界に入る距離まで来たので彼の手を掴んで店へと向かう。
「お前の手は温かいんだな」
そんな声が聞こえた気がした。
服屋についてから1時間ほどが経過した。彼の体は想像以上に完成しているため着せ替え人形にしていて楽しかった。
ストライプ半袖シャツとデニムパンツをカジュアルになりすぎないコーデを2セット、逆に次のはオックスフォードシャツと黒スキニーパンツを合わせてスマートなIラインシルエットを意識したスタイリッシュなものを選んだ。
正直マネキンのものを1セットそのまま買った方がいいんじゃないかと話をしたがえらんでくれといわれたので頑張った。超高校級のコーディネーター才能を模倣して頑張った。
コーディネーターやインテリアコーディネーターなどの何かをデザインしたりするものは私の感性に寄ってしまうので選ぶのを慎重にする必要があった。
その後も、カラオケやボウリング場、映画館などの友達と一緒に出かける可能性が高そうな場所に連れていきある程度、必要な知識と雑談の続け方を教えこんだ。付け焼き刃だが最初に比べてトークの引き出しのなさは解消された。あとはテレビ等を見るなどして芸能人やスポーツなどのみんなと話が合わせやすいものの知識をつけるだけだ。
「疲れた」
「私も」
ファミレスに着いたあと、2人で座席にも垂れ込んだ。寄った施設はかなりの距離があったためかなり疲れた。
「なぁ西園寺」
「どうしたの?」
「これから」
何かを言い淀んで口を閉じたが彼は決意したかのように口を開いた。
「これからこの学校はクラス間の対立が激化していくと思う。そうなったら西園寺はさ、敵である俺と仲良くしてていいのか」
これが今日彼が私をデートに誘った本当の理由か。
彼にとって私は人生で初めての友達なのだろう。
そんな私に敵であるあなたとは仲良くできないと言われることを彼は恐れていたのだ。。
クラス間の闘争と言われても彼はピンと来ていなかったのだろう。だがあの図書館での喧嘩で明確にクラスの違いがあることを知ったのだろう。
「いいんだよ、クラス間闘争なんて気にしなくて。私はあなたと仲良くしたいからあなたと仲良くする。そこに相手がどのクラスかなんて関係ないんだから」
「そっか」
私の返事を聞いた彼は顔をうっすらと笑みを零した
「ありがとう凪沙、俺と友達になってくれて」
今の顔を写真に取っておけばよかったな。そうしたらかなりいい写真が撮れたのに
「私こそありがとう。清隆くん」
感謝したいのは私の方だ。彼のおかげで今世でやりたいことを初めて見つけられた。
彼は少しだが変わったのだ。それだけで私は満たされる。だからいつか私があなたを幸せにしてみせるから
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読み返してみて主人公のダンロン世界の転生者って設定使いこなせてる気がしないから主人公の前世回りを日記形式でやろうとおってるだけどいる?要らない?
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いる
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要らない