【完結】退職(無断)したので、飲食店やります。   作:夭嘉

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ジェダイの帰還(Ⅵ)
灯台下暗し


2号店を開いて、1年が経った。

 

あれから、店はどちらも繁盛している。

 

そして、私は今初号店にいる。ただし、ホログラム通信越しで。隣には、ホログラムのリックもいる。

 

 

『しばらく顔を見ないから、心配したんだぞ?』

「ちょっと忙しかったの。ごめんね。」

 

 

常連の傭兵に、帝国関連の事務作業をしていたと説明する。

 

2号店を開くにあたり、かなり手間な事務作業も増えた。仕方ないと言えば仕方ないけど。両陣営で営業する為だから。

 

 

『しかし、これはどういう仕組みなんだ?』

「ん?何が?」

『ホログラムでリモート営業ってことだよ。帝国は何も言わないのか?』

 

 

彼が言いたいのは、私がホロ通信で店に出ている事実だろう。

 

これはリックの協力と帝国の黙認あっての所業だ。

 

私が作った仕掛けは、2号店の一角に360°画角のホログラム通信機を設置し、リックのいる〈ホーガ・フォレスト〉にアクセスするというもの。あっちの船にもホログラム通信機を設置して、私が店に出られるようにした。つまり、向こうには私の姿が映り、こっちには私の周りに向こうの様子が映るという仕組みだ。

 

このカラクリを成し得る為に、帝国には2号店の通信記録と仕入れ履歴、廃棄表を提出している。事務作業というのは、このことだ。帝国が黙認しているのは、この提出があるからだ。

 

帝国に身を置きながら公平に営業するには、この方法しか思いつかなかった。

 

 

「隠すものがないように、記録を見せてるからね。やましいものはないし。こっちはもう完全にリックに任せてるから、私はただの持ち主だよ。」

『何度も言うが、俺は代理だ。』

 

 

リックは常連にみんなに聴こえるように、声を張り上げて反論する。他の常連も同じく肯いていた。だけど、私は更にそれを否定する。

 

 

「初号店の権利者の名前はリックだけど?」

『俺は認めないからな。』

「私の唯一の頼みなんだから聞いてよ。全く……昔から頑固なんだから。じゃあ、また来るね。」

『おう。無理はするなよ。』

『いつでも待ってるからな!』

「ありがとう!」

 

 

通信を切断し、私は2号店のカウンターへと戻る。

 

カウンターには、デッカーという提督が入っている。

 

 

「提督は忙しいんじゃ……?」

「良いんだ。我々のせいで、窮屈な思いをさせているからな。少しは手伝わせてくれ。」

「分かった。でも、軍務との兼業はきついんじゃない?」

「心配無用だ。店の手伝いはローテーションで組んでいる。」

「はい!?」

 

 

つい裏返った声が出た。

 

何でも、将校の間で順番を決めているらしい。その将校達というのが、帝国の樹立同時から〈ホーガ・フォレスト〉に来ている人達だ。みんな昇進して、提督やら艦長になったそうだ。

 

ありがたいけど、皇帝が知ったらただでは済まないだろう。でも、彼らは覚悟の上で手伝いに来ている。バイト代も出ないのに。

 

本当は出したいけど、バイト代を払えば皇帝が首を突っ込んできそうで怖い。

 

それも承知で来ているのだから、本当に申し訳ない。

 

 

「あ、来てくれるのは嬉しいけど、明日から2日くらい店閉めるから。」

「突然だな。」

「ちょっとヴェイダーと用事があって。」

 

 

私の言葉に、店が静まり返る。

 

当たり前だろう。ヴェイダーは恐怖の対象なのだから。それは提督であっても変わらない。

 

 

「今度は何の無茶をする気だ!?」

「そういうのじゃないよ。ただの打ち合わせ。」

「は……?」

「心配しなくていいよ。本当に大したことじゃないから。」

 

 

みんな不安な顔をしつつも、何とか納得してくれた。

 

その時、店に息を切らせた軍曹が駆け込んでくる。

 

 

「こ、皇帝陛下がお呼びです!!」

 

 

さっきのヴェイダーの件よりも、店内の空気が冷えたのを感じた。

 

 

「分かった。玉座の間?」

「いえ……執務室です!」

 

 

軍曹を落ち着かせて、私はエプロンを外す。

 

 

「提督、申し訳ないけど今日は任せるよ。閉店したら会計締めてくれる?」

「構わないが……大丈夫か?」

「大丈夫大丈夫。売り上げは後払いシステムだから。」

「いや、そっちではなくて、」

「あ、皇帝の方?こっちも大したことじゃないと思うから。じゃあ、よろしくね!」

 

 

客に謝って、私は店を出る。

 

このタイミングで呼び出すなんて、嫌な予感しかない。私の魂胆がバレたわけじゃないとは思う。それでも、何かがある。

 

2号店を開いて1年、つまり、“エピソード6”が始まる時期だ。今頃はルーク達がソロを救出している頃合いでもある。そして、エンドアの戦いも迫っている。

 

反乱軍が来るまで、残り僅か。

 

これは誰にも話してない。

 

皇帝は、痺れを切らす頃合いだ。

 

 

「もしかして追い出されるのかなぁ……」

 

 

通路を歩きながら、不安が口に出る。

 

誰にも頼れない。私がやるしかない。信じてもらうしかない。

 

皇帝の執務室のドア前に着き、インペリアル・ガードが私を見下ろす。警戒はすぐに解かれて、2人は中に連絡した。了解を得たようで、私に通るように言う。

 

中から禍々しいフォースが滲み出てる。

 

ドアを開けてほしくない。

 

嫌な予感は当たったようだ。

 

 

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