“フォースの幻影”
エピソード8のルークも使っていた、ジェダイの古い技だ。未来のルークが使う技を、経験乏しい私が使っている。要するに、危険な技だ。
私が使えないことはないけど、ルーク達みたいにフォースが特別強いわけじゃない。
5分、これが限界だ。
突然現れた私に、2人は戸惑っていた。
「どうやって…!?」
「ママ!!」
「時間がない。話なら手短にね。で、要件は?」
「サマンサ、レイアが妹だって知っていたのか?」
「知ってる。あんたのお母さんのお産に立ち会ったからね。」
「えっ!?」
レスリーは驚く。無理もない。あの時の話は、レスリーは知らない。私も、記憶の奥底に眠らせていた。
別れの挨拶はしたけど、悲しみが完全に消えたわけじゃないからだ。
「なんで言ってくれなかったんだ!?」
「そもそも、どうして別々に育てられたと思うの?」
「それは……」
「“アナキン”の子供は、皇帝にとって脅威となる。新芽を摘まれるわけにはいかなかった。だから話し合って、それぞれ別の家庭で育てることにした。ラーズ夫妻はちゃんと愛してくれたでしょう?」
ルークは養父母の愛情を理解しているようで、口を噤んだ。
「オビ=ワンが、ヴェイダーの心は変えられないと言った。暗黒面に囚われている、と。“父”の近くにいるサマンサのことも心配していた。」
ルークは“アナキン”を完全に父と認識している。ジェダイの父親が帰ってきてくれると信じている。レスリーにとっても同じで、あの子もジェダイとしての私を求めているようにも見える。
「ママ、本気で私達が引くと思ってるの?」
「反乱軍は、エンドアの緑の月へ向かう。僕とレスリーも行くつもりだ。父と貴女を取り戻しに。」
「私……?」
逆に面食らってしまった。
私は自分の意思で第二デス・スターにいる。皇帝に強要されたわけじゃない。嫌な思いもしてないし、自由にやらせてもらっている。
でもそれは、2人にとって望ましくないらしい。
もう“子供達”と呼ぶべきじゃないのかもしれない。
「言っておくけど、私が店をやりたくて第二デス・スターにいるだけだよ?」
「分かっている。サマンサの魂胆も分かる。」
「ママの計画は分からない。でも私達だって、黙っていられる程子供じゃないからね。」
「そっか……分かった。“迎え”を待つよ。そろそろ時間切れ。レスリー、愛してるよ。」
「っ、ママっ!!」
5分過ぎようとしたところで、私は意識を引き戻した。
初めて使ったけど、かなりしんどい。
「あ、立てない……」
疲れすぎて、私は気絶してしまった。
連日の営業に加えて、夜な夜な現れる来訪者とのやりとり、事務作業も熟している。過労だと怒られても仕方ない。〈ホーガ・フォレスト〉と違ってほぼ1人で回しているんだから。
目を覚ますと、点滴を打たれていた。
どうやら、誰かが助けてくれたらしい。
「お目覚めですか?」
「ここは……?」
「医療エリアの治療室31です。」
プロトコル・ドロイドがパネルを操作しながら、誰かに連絡していた。反対側の医療ドロイドは私の腕から点滴を抜いて、ブルーミルクを差し出してくれる。それを飲んでいると、デッカー提督が入ってきた。
「良かった。一時はどうなるかと……」
「提督が見つけてくれたの?」
「そうだ。医療ドロイドが過労だと言っていた。皇帝陛下も休ませろ、と。」
「は?皇帝が?」
「失礼だぞ。陛下も一応は人間だからな。」
「あんたも大概失礼だけど?」
皇帝の“休ませろ”は心配じゃないだろう。あっちは私を利用したいだけだ。まぁ、私も調子に乗った部分もあるけど。
過労なのは認める。
皇帝の言葉は癪に触るけど、少し休ませてもらおう。
「しばらく休むことにするよ。」
「そうしてくれ。因みに、点滴はただの栄養剤だ。毒や薬は入ってないから心配しないでくれ。」
「分かってるよ。」
「では、何か困ったら呼んでくれ。」
「ありがとう。」
提督が出て行き、私はベッドから身体を起こす。
そろそろルーク達が来る頃だ。
原作では、ソロ達が第二デス・スターのシールドを開けに来る。その後、反乱軍が総戦力で第二デス・スターを破壊する。大まかな筋書きは変わらないはずだ。この第二デス・スターは、破壊される。
帝国は滅びの道を進み始める。
だけど、まだ決まったわけじゃない。
ルークの他に、私の娘がいる。
「………」
「どうされました?」
「店に戻る。」
「しかし、」
「店は開けないよ。ここじゃ落ち着けないから。」
そう言うと、点滴1パックだけ流すのが条件だと言われた。私も衰えてるし、点滴は了承した。あとは自室でゆっくり休もう。
部屋に戻り、私はベッドに横になる。
静かな部屋で目を閉じ、フォースを探った。
見えるのは、ヴェイダーの後ろ姿と、ルークとレスリーが私を抱えている姿だけ。これは何度も見たけど、ずっと変わらない。どんな状況でそうなったのかも分からない。
私も、そろそろ覚悟を決めないといけない。
傍観者じゃなく、“ジェダイ”として────