皇帝が来た日の晩、ルークとレスリーが投降したと知らせを受けた。
時が来た、フォースが私を駆り立てている。
「臨時休業?」
「うん。」
私は準備の為に、トリーに店を休むことを話した。
カウンターに並んで座り、グラスを傾けながら皇帝とのことを説明する。
「まさか死ぬ気じゃねぇだろうな?」
「違うよ。私にも多少の企みはあるけど、命は懸けない。」
「だったら、皇帝と何を約束した?そこは聞いてないぞ。」
「それは……」
最悪の契約のことは話したけど、肝心なところは話していない。それこそ、トリーが嫌う命を賭す行為だ。話せるわけがない。
「ただの降伏だよ。」
「ただの降伏?その言葉の意味だと、お前らは一世一代の賭けをしたんだろ。」
「そんなんじゃないってば!」
「なら聞いてくるか?」
「どうせ怖くて聞けないくせに。」
「何だと!?」
トリーは怒るけど、すぐに冷静さを取り戻す。
「レスリーとあの小僧がこっちに来るんだろ?大人しく助けられるつもりなのか?」
「あの小僧じゃなくてルークね。私がどんな人か、よく分かってるでしょ。」
旦那は酒を煽りながら、口角を上げる。
「………まぁな。」
聞かなくても分かるようだ。
やがて、ルークとレスリーが到着したと報告を受けた。
みんな親切で教えてくるけど、皇帝とヴェイダー怖さに何もできることはない。それは私も分かっている。何より、帝国側に立つ覚悟を決めた人達だ。私はそれを静観するしかない。
皇帝は接触を嫌がるだろうけど、私はレスリーではなく、ルークと面会した。
監房ブロック担当の提督に頼み込み、人払いして独房に入らせてもらった。
「サマンサ!!」
「ルーク、ますます父親に似てきたね。」
「何だって……?」
「ごめん、こっちの話。皇帝は、あんたの力を欲しがってる。分かってて来たの?」
「当然だ。だが、僕は暗黒面には屈しない。それに、貴女と父を救う為に来たんだ。」
ルークの意志は固い。父親と、私を連れ帰る為に。“ダース・シディアス”と直接戦う覚悟でいる。
「皇帝は、父と貴女を見誤っている。貴女達は簡単に屈したりしない。本当は助けを求めているんだろう?」
「皇帝に聞かれてるって分かってる?」
「構わないさ。それに、これはジェダイの使命なんだ。」
「え……?」
「苦しんでいる人達を助けるのが、僕らジェダイの使命だ。レスリーからはそう教わった。サマンサの心が悲鳴を上げているのに、見ぬふりはできない。」
ルークはジェダイとして、もう一人前だ。私よりも先を見ている。レスリーも、同じように未来を予期しているはず。
私は古いジェダイのような見方しかできず、近い未来しか考えていなかった。
ルークの世代と私の世代、こうも変わるとは思わなかった。
「サマンサ、今…!」
「黙って。私はもうジェダイじゃない。だから、私なりのやり方で行動する。」
「サマンサもジェダイだ!そうじゃなかったら、僕とレスリーは何なんだ!?」
「あんた達はジェダイだよ。シスに滅ぼされる前のジェダイじゃない。本当のジェダイ。」
私は違う。一度はジェダイ・オーダーを去っている。いくら復帰訓練したとはいえ、ジェダイとしての人生は選ばなかった。
結果的にジェダイの行動もしたけど、それは偶然で必然だっただけ。
フォースの意思が、私に働きかけた結果だ。
「明日、あんたの選択で未来が決まる。」
「未来?何を、」
「あんた達を信じてる。フォースと共にあらんことを。」
「っ!?サマンサ!!」
ルークの声を無視して、私は独房を出て行く。
今の会話は、皇帝も聞いている。ここまで話す気はなかった。これで、“シディアス”に敵意があると知られた。
どの道、未来はもう決まっている。
私と皇帝が何をしようが、運命は変わらない。
「止まれ!!」
インペリアル・ガードが2人現れ、部屋に戻ろうとする私の前に立ち塞がる。
「サマンサ・ホーガン、我々と共に来てもらおう。」
「自由は保証されてるはずだけど?」
「関係ない。これは皇帝陛下の命令だ。」
面倒なことになった。
「待て。」
その機械的な声に、私は唖然とする。
「私が連れて行く。お前達は持ち場に戻れ。」
「だが、」
「もし連れて行くことができなければ、その咎はお前達に向くだろう。分かったな?」
インペリアル・ガードは仕方なく引いた。
“ヴェイダー”は、私についてくるように言い、普段は人が来ないエリアへと向かう。
どうやら遠回りしているようだ。
「しくじったな、ホーガン。」
「何も失敗してない。これも企みの一つ。明日の朝、全てが変わる。」
それは、ルークとのことも仄めかしていた。
「契約のこと、聞いたでしょ?」
「………勝手なことを。」
「撤回はしない。」
「1年前のあの言葉を忘れたのか?」
「忘れるわけないじゃん。私を信じるのをやめる?」
「………」
ヴェイダーは頷かなかった。
今ここでヴェイダーといるのは、1年前にヴェイダーと腹を割って話したからだ。あの時、私は真剣に向き合ったつもりだ。その覚悟は変わらない。
「猶予はないと思え。」
「言われなくても分かってる。」
使われていない個室に着き、私は中に入るように促され、仕方なく入ってベッドに座る。
「ここにいろ。予定外の動きは決してするな。」
「私が予定通り動くと思う?」
「お前が言い出したことだ。死にたくなければ、黙っていろ。」
そう言って、ヴェイダーは出て行く。
私が黙っていると思うな。
ここで大人しくしていたら、1年我慢した意味がない。2号店を作ったのは、この日の為なのに。ジェダイの道を選ばなかった、ジェダイとしての私の企みなんだ。
ブラスター・ピストルを携帯し、私はドア横のパネルを操作する。
ついに、皇帝と決着をつける時が来た。