【完結】退職(無断)したので、飲食店やります。   作:夭嘉

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誰も争うべからず

お互い代理として、話し合ってきた。

 

皇帝を潰すにはどうすべきか、ずっと考えてきた。ヴェイダーは自らのことを蔑ろにされ、息子を狙われ、迷い、心を変えた。だけど、ジェダイに対する不信感が消えたわけじゃない。

 

故に、私がジェダイの代理で、ヴェイダーがシスの代理として、一歩下がった場所から見方を変えた。

 

まず見方を変え、話し合い、結論を出した。それだけだ。

 

 

「代理だと!?ヴェイダー卿は我が(しもべ)だ!交渉ではなく、力で従わせるのだ!」

「もう違う。ヴェイダーはあんたに見切りをつけたの。」

「貴様…!」

 

 

皇帝は怒りを隠そうともしなくなった。自分のものだと思っていたヴェイダーが、離れると言うのだから。銀河を恐怖で支配しても、“アナキン”は支配されない。

 

彼は選ばれし者だから。

 

 

「もう良い!お前達は死ぬのだ!」

 

 

その言葉に、インペリアル・ガードが動き出す。

 

 

「ホーガン!!」

「っ!!」

 

 

ヴェイダーの声に、私はテレキネシスで皇帝の手元から2本のライトセーバーを奪う。

 

そして、ルークとレスリーに手渡した。

 

 

「な、なんで……」

「ママ……?」

「私“達”を迎えに来たんでしょ?ほら、あんた達の出番だよ。」

 

 

2人は頷くと、ライトセーバーを起動させる。間髪入れずインペリアル・ガードが襲ってきて、私とヴェイダーを守るように2人が応戦する。私も娘に手を貸すようにフォース・プッシュして、ヴェイダーもルークのサポートに回っていた。

 

だけど、2人は私とヴェイダーを退けた。

 

 

「2人共下がって!」

「守るのは僕達の役目だ。」

 

 

レスリーとルークは頼もしく、インペリアル・ガードを倒していく。2人に戦いを任せて、私とヴェイダーは皇帝に向き合う。皇帝は私に敵意を向け、契約の話を持ち出した。

 

 

「忘れてはいないか?余と其方は、天秤の上に立っておる。これは契約違反だ。」

「私とあんたが交わしたのは反乱軍の勝敗で、私はどちらにも加わっていない。だから約束は守ってる。あんたこそ、私達をまとめて殺そうとしたよね?」

「契約に反したからだ!」

「つまり、先に手を出したのはあんた。契約を破ったのは私じゃなくてあんただよ。」

 

 

私とヴェイダーは、あくまで代理になっただけ。どちらにも属さない。勝手に決めつけたのは皇帝だ。

 

 

「ママ!!」

 

 

レスリーの声に振り向くと、トルーパーが入ってきた。

 

皇帝は本当に私とヴェイダーを処分する気らしい。

 

 

「これ正当防衛だからね。」

 

 

ヴェイダーがブラスターを没収し、私がフォース・プッシュをする。

 

 

「ヴェイダー卿、どういうつもりだ?」

「近頃の帝国軍では、皇帝の統治に対する反感が燻っていた。クーデターを抑える為の最善策を講じたまでだ。」

「最善策だと……?」

「貴方の退任だ、“マスター・シディアス”。」

 

 

それが、シス側にとって安全な策だった。でも、皇帝は納得しないだろう。支配あってこそのシスなのだから。

 

 

「馬鹿馬鹿しい。退任などするわけなかろう。余は皇帝ぞ。誰の指図も受けぬ。」

「そうはいかない。私はジェダイの代理。退任できないなら、この戦いは終わらない。“ジェダイ”は戦いを終わらせようって言ってるの。今更生き残ったジェダイを駆逐したところで変化はない。これ以上バランスを崩せば、フォースの意思に反することになる。」

 

 

そこで、皇帝は驚いた顔をする。私がフォースの意思を語ったことが、それ程あり得ないようだ。あれだけジェダイじゃないと言ってきた私がフォースの意思を重んじたのは、かなり珍しいものだろう。

 

 

「そこまで言うか。」

「私は予言を知ってる。ジェダイとシス両方の認識もね。」

 

 

一昔前のジェダイの解釈は、選ばれし者がフォースにバランスをもたらすという言葉を、シスを倒す者として誤認していた。対するシスは、選ばれし者を支配すれば、銀河を支配できるという解釈だった。仮定として、選ばれし者は選ぶ側ではなく、影響されるものだと私は考えた。

 

その仮定は、ヴェイダーも同意見だった。

 

彼自身も身に沁みて理解しているようだった。

 

 

「分からなくていい。あんたはただ退任すればいいだけ。無用な血を流さなくて済む。」

「ホーガン、余を脅すのは構わんが、家族の身を案じた方が良いぞ。」

「家族?娘はそう簡単に負けないけど?」

 

 

私の視線の先には、涼しい顔でトルーパーと戦うレスリーがいる。その隣には、ルークがいる。負けるはずがない。

 

 

「だが、もう1人いるだろう?」

 

 

誰のことを言っているか、嫌でも分かった。

 

 

「旦那のこと?」

「左様。其方が余を脅すならば、余も其方の伴侶の命を預かることになるぞ。」

 

 

その言葉に、ヴェイダーの方が焦りを感じていた。彼は、結婚相手の喪失を知っている。私が闇に呑まれてしまうのでは、と。

 

 

「ふっ…あはははっ!!」

「何がおかしい!?」

 

 

皇帝の脅しに屈しない私を、ヴェイダーやトルーパー、ルーク、レスリーまでもが動きを止めて私を見る。

 

 

「サマンサ……?」

「旦那が人質に取られる?あり得ないね!」

「だが、」

「なんで私がシンジケートの立ち上げを反対したと思う?私の旦那はね、人を動かすのが得意なの。反乱活動は向いてないかもしれないけど、こういう修羅場なんて彼にはただの小さなトラブルなんだよ。」

 

 

まぁ、たまにヘマして強制労働させられたりするけど。それも彼にとっては小さなトラブルだ。面倒になっただけで、小さいトラブルなんだ。

 

 

「小賢しい女だ……!」

 

 

鼻で笑うと、皇帝の怒りを煽ったようだった。

 

 

「さて、ヴェイダー。終わりに、」

「ホーガン!!!」

 

 

その瞬間、皇帝自ら赤いライトセーバーを振りかぶってきていた。脳裏に予期した時のヴィジョンが浮かび、私は咄嗟に身を捩る。皇帝は私の首を刎ねようとしていた。

 

ところが避けきれず、捩ったはずが背中を一太刀受けてしまった。

 

そうか、あれは私が致命傷を負ってレスリーとルークに担がれていたんだ。

 

フォースは、流れを変えた私を退場させる気らしい。

 

意識が肉体から切り離され、私はフォースを恨めしく思うのだった。

 

 

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