意識が切り離されて、私は自分が生死の境にいることを自覚した。
まさかダース・シディアスに殺されるとは思わなかったなー。
気が付くと、いつかのようにナブーにあるネイベリー家の別荘にいた。
「サム、久しぶりですね。」
カリに会えることを期待したけど、期待外れで良かったと思ってしまった。
「パドメ………」
ここにいて当たり前だ。パドメの実家なんだから。
「パルパティーン“議長”に命を奪われたのね。」
「パドメ、あの人は“議長”じゃない。」
「そうね、彼は“ダース・シディアス”だわ。」
議長ではなく皇帝だと含んだつもりだったけど、パドメは明確にシスだと断言した。アナキンの妻として、知るべきことを知っているらしい。その事実を知っているということは、今のアナキンがどういう状況か知っているだろう。
「サム、アナキンを呼び戻してくれてありがとう。」
「私は何もしてない。それに、カリを殺したことも許せてない。」
「それは当然よ。アナキンがしてきたことは簡単に許されることじゃないわ。けれど、償うことは認めるべきです。」
贖罪の機会すら奪ってはならない、パドメはそう付け足す。
私はソファーに座るように促され、私達は向かい合って座った。
「サム、貴女がなぜここにいるか分かりますか?」
「死にかけてるから?」
「いいえ。ここにいるのは、フォースのバランスを保つ為よ。」
「私が崩しているって言いたいの?」
パドメがフォースのバランスを知っていることはさて置き、私は間違っていると言う。
どうやら、フォースの意思が介入したようだ。
「貴女の存在が崩しているのではないわ。崩したのはダース・シディアスよ。彼が貴女を殺すことでバランスを崩し、アナキンがその皇帝を倒すことでバランスを取り戻すの。」
「待って、今……!」
「貴女は感じたでしょう。」
皇帝が死んだのを感じた。
ただ、ヴェイダーが死ぬかもしれない。映画のように。ヴェイダーのサイボーグは元々生命維持装置で、それが使い物にならなければ死ぬ。
それを防ぐ為にも、代理という考えを出したのに。
「………」
「皇帝にも情けをかけたのね。サムらしいわ。」
「その皇帝に殺されたけどね。」
「ええ、そうですね。」
「“アナキン”はどうなるの?」
「貴女自身で確かめるといいわ。確かめる気があればの話ですが………」
私には道が残されてるらしい。フォースの意思は、私を退場させたわけではなかったようだ。イエローカードを切られたようなものだろう。
「でも、覚悟した方が良いでしょうね。」
「それは、」
「サム、貴女なら乗り越えられるわ。忘れないで、私とアナキンはいつでも貴女の味方よ。」
「パドメ!待って!!」
別荘から、ナブーから追い出されるように、私は意識が引き戻されていく。
段々と小さくなるパドメに感謝を伝えて、私はブラックアウトした。
次の瞬間、強烈な背中の痛みと共に、現実で意識を取り戻した。
第二デス・スターへの攻撃が、本格的に始まっている。
プラズマの刃で切られた刀傷がズキズキと痛み、声にならない梅き声を漏らす。私はルークとレスリーに抱えられていて、その前をヴェイダーが早足で先導していた。ヴェイダーが生きていることに安堵すると同時に、不安が心の奥で芽生えた。
「ママ!良かった!」
「っ…どうなったの……?」
「父が皇帝をリアクターの底へ突き落としたんだ。」
やっぱり、映画の通りになった。だとしたら、なんでヴェイダーが生きているんだろう。嬉しいけど、パドメは覚悟しろと言っていた。何が起きるのか分からなくて、たまらなく怖い。
「待って、私なんで無事なの……?」
「ママ、落ち着いて…!」
「サマンサ!後で説明するから!今は逃げないと!」
「そんなの待てるわけないでしょ!?アナキン!!!」
“アナキン”は反応するけど、振り向かなかった。3人共、何かを隠している。私が知れば、取り乱すと分かっているんだ。
ハンガーに着くと、トリーがシャトルを起動させて待っていた。
多くの将校やトルーパーが逃げ惑う中、トリーは冷静だった。
「パパ!!」
「早く乗れ!」
だけど、乗り込もうとしたアナキンが力尽きたように膝をつく。
その姿と、弱々しいフォースで、何が起きているのか分かった。
「アナキン!!」
ふらつきながらも顔を覗き込むと、息が切れ切れだった。
「サマンサ、お父さんは……」
「やめてよ……!」
「ママ……」
ルークとトリーがアナキンを抱え、シャトルに運び入れてくれた。トリーがシャトルを発進させ、すぐに第二デス・スターから退避する。ルーク達は反乱軍に連絡を取る為にコックピットへ行き、アナキンと2人だけになった。
アナキンは、間もなく死ぬ。
ただでさえ少ない生命エネルギーを、私に渡したせいだ。死んで間もない私は、すぐに治癒すれば元通りになる。でも、アナキンは違う。
サイボーグに生かされていたアナキンは、少ない生命エネルギーを失えば死ぬことになる。
生命エネルギーの移動は、“ダース・ヴェイダー”だったからできたことだ。
「サマンサ……」
「なんで馬鹿なことしたの……?パドメに続いてあんたまで……何度も看取らせないでよ!」
「お前の妹分を殺したのに……泣くのか?」
「まだ分からないの!?私がなんで頑張ってきたと思ってんの!?」
「そうだな……とっくに分かっている。だが、今でもお前の気持ちは理解できない。何もかもが遅かったんだ。もう、時間…切れだ……」
アナキンは、静かに息を引き取った。
これで、シスは滅んだ。アナキンによってシスは滅び、フォースにバランスが保たれたんだ。そして、ジェダイのルークと、レスリーが残った。
“ヴェイダー”のことは許せない。私が許せないのはカリのことを何とも思っていなかったことだ。悲しみは既に乗り越えている。
今は、アナキンを責められない。
もう、前に進むべき時なんだ。
私が選ぶべき道は────────