第二デス・スターは、私達が脱出した直後に破壊された。
地上に降りてまず私達がしたことは、“アナキン・スカイウォーカー”の火葬だった。ヴェイダーの遺体は炎で焼かれ、私達は悲しみに浸った。こんな終わり方は、望んでない。
もっと違う結末があったはずだ。
悔やんでも悔やみ切れない。
イウォークの村では宴が開かれていて、ルークとレスリーに行くように言った。
「ママとパパは?」
「もう少しここにいる。」
「ママ……」
「心配するな、レスリー。俺がちゃんと見てる。」
「………分かった。ルーク、先に行ってて。」
「ああ。サマンサ、忘れないで。僕は貴女の味方だ。助けが欲しい時は、僕を頼って。」
思わずルークを見つめてしまった。パドメも同じことを言っていた。やっぱり、ルークはパドメとアナキンの息子だ。
「ありがとう、ルーク。フォースと共にあらんことを。」
ルークは頷くと、宴へと向かった。レスリーはまだ行かずに、私をジッと見る。どうやら不満があるようだ。
「ねぇママ、そろそろ話してくれてもいいんじゃない?」
「何を?」
「ヴェイダーと、本当は何を計画してたの?」
その言葉に、トリーは私とレスリーを交互に見る。
「計画は失敗したんだろ?」
「パパ、本気で代理計画だと思ってるの?」
「………違うのか?」
「違わないよ。レスリー、何を根拠に言ってんの?」
「私が何も知らない子供だと思わない方がいいよ?ママ、帝国すら利用したでしょ。」
「そりゃあね?利用しない方がおかしいじゃん。」
2号店を開くには、帝国の資金が必要だった。だから利用して、帝国軍に馴染んだ。それは第二デス・スターと共に散った将校も承知済みだ。
だから、一体何なのか?
レスリーの心が分からない。
「ふぅん?まぁ、そういうことにしとく。でも、私はママを信じない。」
「おい、」
「パパもね。私は私の生き方をする。ママは嫌だろうけど、カリお姉ちゃんと同じように生きる。」
レスリーは、ジェダイのような生き方を選ぶということだ。カリがそういう生き方で死んだから、本当は嫌だ。でも、この子はカリの背中を見て育った。カリが私に影響され、ジェダイの道を選んだように。
私はトリーに、いつかの話を確認する。
「いいんだな?」
「うん。」
「何?」
「フォースの絆を断つ。」
「えっ!?」
私の言いたいことを理解したのだろう。フォースの絆を断つことが、何を意味するのかも、当然知っているはずだ。私からカリへ、カリからレスリーに教えたのだから。
遠い未来では、ルークも同じ選択をすることになる。
「ママ、本気?」
「本気だよ。でも〈ホーガ・フォレスト〉の営業は続ける。店はノンストップで航行するけどね。」
誰からの干渉も受けない。あれは私の店で、私の家、私の居場所だ。私が死んだらレスリーに譲る手筈だけど、死ぬまでは私がオーナーだ。
「そういうわけだから、次いつ会えるかは分からない。ルークにも自分から会う気はないよ。レイアにもね。」
「私にも会わないつもり?」
「それは分からない。」
「パパは?」
「俺もそろそろ腰を落ち着ける頃だからなぁ。」
ロザルに戻るのも有りだと、トリーは呟く。そんなことを言うが、私に付き合ってくれるようだ。行かないでほしいと頼む権利はないけど、付いて来るなとも言えない。
「2人共どうかしてるよ!私がどれだけ苦労したか分かってない!もういい!潰れるまでお酒飲んできてやる!」
「程々にな〜」
可愛く怒る娘に、父親のトリーはゲラゲラと笑う。
だけど、レスリーは少し先で立ち止まった。
「………パパ、ママ。幸運を。」
「ありがとう、レスリー。」
「無茶はするなよ。」
「分かってるよ!」
そう怒鳴り返すと、レスリーは宴へと走っていった。
沈黙が続き、私は空気を変えるように口を開く。
「さて、行こっか!」
「〈ホーガ・フォレスト〉か?」
「そう!」
「カーターは良いのか?」
「私のワガママに振り回すのはもうやめるの。次の就職先はちゃんと紹介するつもりだよ?」
「紹介だと?」
トリーの問いに、私は満面の笑みを見せる。
「ほら!早く行かないと!リックが来ちゃう!」
「お前なぁ…」
「早く行くよ!」
みんなが宴の最中、私達は〈ホーガ・フォレスト〉に入り、密かにコックピットへ入る。
そこで、久しぶりにアズに再会した。
「サム様!よくお戻りくださいました!」
「アズ、久しぶり。突然だけど、すぐに出発するから。」
「リック様は?」
「そのことだけど……」
入り口近くに隠れていたC1-10P、ヘラのチョッパーが出てきて、私達に挨拶する。
「怒ってないよ。でも、お願いがあるの。これ、リックに渡しておいて。あと、ごめんって。うん、頼んだよ。」
チョッパーはパッドを受け取り、アームを振って船を降りていく。
これで、本当にみんなとお別れだ。
「だらしないリック様でしたが、少々寂しいです。」
「そうだね……」
「サム、大丈夫か?」
「大丈夫だよ、ありがとう。じゃあ……出発しよう!」
私はコックピットに座り、エンジンを立ち上げ、舵を握る。
ようやく、望み通りの生活に戻れる。
〈ホーガ・フォレスト〉の営業は、私の生き甲斐だった。営業妨害の元凶もいない。これからは、自由に営業できる。
新共和国と関わる気もないし、営業登録する気もない。
馴染みの常連とトリー、あの船さえあればいい。
あぁ、今回ばかりは店からサービスしないとね?
────────
その頃、宴ではレイアがルークとレスリーに怒っていた。
「サマンサが出て行ったですって!?」
「仕方ないでしょ。ママは頑固だもん。」
「ルーク、貴方まさか探さない気ですか?」
「それは無理だ。サマンサはフォースの絆を断つ。フォースでは探せない。」
レイアはサマンサの本気を知り、諦めるしかなかった。
その時、チョッパーが戻ってきて、パトリックへの預かり物があると言う。
「カーター、貴方へ渡すものがあるようです。」
「俺?」
パトリックはパッドを開くと、ギョッとする。その顔に、レスリーやレイアがパッドを覗き込むと、同じ顔になった。そこにあったのは、パトリック宛にクレジットがあることと、その預け先と、再就職先の紹介状だ。
一番驚いたのは、パトリック自身だった。
「ごめんだって?全く……」
「リックおじさん、これ、店の80%の売上貯蓄じゃない?」
「マジかよ……」
「リック、受け取ればいい。サマンサのお礼だ。」
「とんでもない礼だぞ………」
周りに諭され、パトリックはありがたく受け取ることにした。
数ヶ月後、パトリックは紹介状を持って故郷のナブーを訪れていた。
その紹介先は、“ナブー王室”だった。かつてナブーのパイロットだったパトリックは、王室と直接関わることはなかった。だが、今回は違う。サマンサの紹介先は、ナブー王室の部隊で、女王と侍女達を守る部隊だからだ。
「パトリック・カーター、以前もここにいたな?」
「はい。」
応接間で、パトリックは王室の相談役と面談する。
「〈ホーガ・フォレスト〉の評判は聞いている。君は規律を守ることが苦手だったようだな。だが、“彼女”によれば変わった、と。」
「………」
「王室の部隊に入れば、〈ホーガ・フォレスト〉よりも危険があるだろう。それでも良いか?」
「いえ、あの店以上に危険で楽しいことはありませんよ。」
「……そうか。では、君さえ良ければ入隊を承認する。」
「感謝します。」
こうして、パトリックは無事にナブーに落ち着くことになった。
何年か先、彼がナブー王室にとって不可欠な存在になるのは、また別の話だ。
その後、〈ホーガ・フォレスト〉について新しい噂が出回った。
船は開店した時と同じように常に居所を変え、いつも通り営業している、と。ただし、サマンサが船をジェダイ寺院擬きにした為、船体は認識をステルス化しており、悪意ある者には辿り着けなくなっていた。
だが、そのお陰でいつも通りの営業ができるのである。
やがて、人々は知らぬ間にサマンサについて回る“少年”を、気にしなくなっていった。
「サム」
その声に、サマンサは振り返って笑顔を見せる。
「どうしたの、アニー?」
“選ばれし者”と同じ名を持つ少年は、サマンサに感化されて笑みを見せる。
その少年の存在は、サマンサを幸せにするのか?それとも……
その答えを知るのは───────
fin.
【あとがき】
こんばんにちは、夭嘉です。
ようやく完結いたしました。
亀更新かつ休載気味でしたが、何とかw
シークエル編は、更に時間がかかるので書く予定はないです。
長かった………
ほとんど非公開の状態でしたが、公開するとアクセスが増えていたのは驚きましたw
鍵かけていたこともあり、完全に自己満でしたが、読まれていた方も多く、返信書けないとはいえ多くの感想もいただきました。
ここまでお付き合いいただいたことに感謝いたします。
では、またいつかお会いしましょう。
フォースと共にあらんことを。