【完結】退職(無断)したので、飲食店やります。   作:夭嘉

16 / 109
自由の選択肢

回廊まで歩いてきたのに、オビ=ワンとかれこれ30分も会話がない。

 

時間をくれと言うから割いたのに。

 

 

「サム」

 

 

回廊から静かなバルコニーに上がり、オビ=ワンはようやく口を開いた。

 

 

「すまなかった。」

「え、いきなり何?」

「アナキンに言われたんだ。ずっとジェダイとして生きた私と、聖堂を去ったお前とは価値観が違う、と。」

「………」

 

 

まぁ、アナキンの話なら聞いて当然だろう。パダワンだし、友人だった私より一緒にいる時間は長い。だからアナキンの話は聞くし、彼もオビ=ワンをよく知ってる。

 

 

「呼び戻すべきではなかったな。」

「は……?」

 

 

オビ=ワンの発言に、耳を疑った。考え方が変わったのは分かる。あのオビ=ワンが、私の意思を尊重してくれた。

 

でも、呼び戻すべきじゃなかった?

 

戻ると決めたのは、誰でもない、この私だ。

 

 

「ねぇ、決断したのは私なの。あんたが悔いることじゃない。私の決断を、あんたのせいにしないで。」

「………すまない。」

「また謝った。」

「すま……もう言わないぞ。」

 

 

笑ってやると、オビ=ワンはなぜか安心したような顔をする。

 

 

「何?」

「やっと心穏やかになったな。」

「そんなことはない。今後が不安すぎるよ。」

「今後?」

「店の経営。」

「あぁ……」

 

 

ヴォスから聞いていたのか、オビ=ワンは納得する。

 

戦争が始まったからには、いつもの営業は無理だ。やりにくくなるのは別として、売上が心配だ。多くは求めない。維持費と生活費になればいいだけ。

 

極端に売上が落ちたら、私は打ちのめされるだろう。

 

 

「友人として手を貸すと言ったのは私。だから授業はやる。でもこっちの仕事に報酬はない。」

「ジェダイだからな。」

「私ジェダイじゃないし。………。」

「サム、馬鹿なことは言うなよ。」

「何!?正当な権利でしょ!給料が欲しいって普通は思うからね!!」

 

 

それこそ、ジェダイ・オーダーはブラック企業だ。親会社が共和国だとすれば、ジェダイ・オーダーはお抱えの武装宗教集団だ。私がいた世界のお寺さんだって、お布施代とか、きちんとした報酬をもらってるのに。

 

 

「お二人共、仲直りしたってことですか?」

 

 

オビ=ワンと2人して声の主を見ると、アナキンがドアから顔を覗かせていた。

 

 

「喧嘩していたわけじゃない。」

「そうそう。ちょっとしたすれ違いだからね。」

「そうですか。解決して何よりです。」

「それでアナキン、何の用だ?」

「あぁ、マスターではなく、サマンサに用です。」

「私?」

 

 

アナキンに付いてくるように言われて、私は彼の後ろに従う。

 

私にしか解決できない問題だという。ジェダイの問題であり、ジェダイには無関係の問題でもあるという。

 

向かいながら、アナキンは私に説明をする。

 

 

「今日の授業で、喧嘩している子供はいませんでしたか?」

「あー、セオドアとマイクかな。」

「問題はその2人だけじゃない。カリもだ。もっと言えば、あの6人の問題です。」

 

 

訓練エリアの部屋の1つに着くと、子供達6人と、マスター・プロがいた。子供達はみんな正座していて、マスター・プロに怒られたようだ。私が部屋に入ると、セオドアとマイクは目を逸らす。

 

 

「え、何?どういうこと?」

「スカイウォーカー、マスター・ケノービとクリストフシスへ向かえ。」

「はい、マスター。」

 

 

アナキンはそう言って、さっさと言ってしまった。

 

 

「ホーガン、2人の喧嘩の話は聞いたか?」

「いいえ、私の管轄外なので。なぜですか?」

「喧嘩の原因はお前だ。」

「何ですって?」

 

 

私が状況を把握できずにいると、カリが口を開く。

 

 

「私、マスター・ホーガンのパダワンになりたいと思ったんです……」

「なんで!?」

「授業を受けると聞いて、公文書館でデータを見てたら、楽しそうだなって。」

「全然楽しくないよ………」

「そう言ったら、マイクがマスター・ホーガンはジェダイには戻ってないって。でも、セオドアは掟を除けば規定はないって言って、2人は喧嘩に、」

「ちょっと待って!!」

 

 

カリの説明にストップをかける。

 

なんで10年もオーダーにいなかったのに、私のパダワンになりたがるんだろう。尊敬すべきジェダイは他にたくさんいる。そもそも、私に師事するべきじゃない。

 

 

「あんた達、私はジェダイじゃないの。元ジェダイ。オーダーからは除籍されてる。」

「ホーガン」

「何ですか?」

「復帰に伴い、一応在籍扱いにされている。」

「すみませんよく聞こえなかったのでもう一回言ってもらえます?」

 

 

オーダーに在籍している!?

 

つまり、将来的にオーダー66の標的にリストアップされるわけで、死亡フラグが立ったわけだ。仮に生き延びても、データが残ってたら再編された帝国にも追われる。しかも、アナキンはもうパドメと結婚しているから、彼がダース・ヴェイダーになるのは確定している。

 

唯一の逃げ道は、オーダーの除籍。

 

それなのに、在籍扱いにされた?

 

 

「マスター・プロ、すぐに評議会で私を除籍してください。」

「そんなに嫌か?」

「嫌です。」

 

 

マスター・プロは溜め息を吐くと、了承してくれた。部屋を出て行って、私は子供達と向き直る。これは一から説明しないといけない。

 

 

「じゃあ、よく聞いてね。」

 

 

私は子供達に、1つずつ説明する。

 

まず、基本的に私は店がメイン。だからオーダーには戻らないと告げた。次に、戦場には出ないということ。店をやっているからには、どっちの戦力にもならないつもりだからだ。

 

最後に、ジェダイに戻らない最大の理由は、パダワンを持たないこと。

 

弟子を育てるということは、ジェダイとして育てるということ。私はジェダイじゃない。ジェダイとしての生き方を拒んだ私に、ジェダイを育てられるはずがない。

 

そう懇々と説明した。

 

 

「分かりました……」

 

 

子供達は、納得したみたいだった。

 

1人を除いて。

 

 

「じゃあ私もジェダイやめます。」

 

 

カリの言葉に、他の子供達は困惑する。

 

 

「カリ!気は確か!?」

「正気じゃない!!」

 

 

一番困惑しているのは私だ。

 

私のパダワンになりたいから、自らもジェダイをやめる?

 

頭のネジどこで落としたの?

 

 

サムは独身を貫くべきか否か?

  • 早く結婚しろ。
  • ダメ、独身でいろ。
  • その他(活動報告や感想へ)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。