【完結】退職(無断)したので、飲食店やります。   作:夭嘉

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信用と信頼は同義ではない

数ヶ月後。

 

〈ホーガ・フォレスト〉はコルサント行政区の宇宙港にいた。

 

あれから私は2週間に一度、聖堂に戻っていた。マイクやセオドア、子供達の為に、授業を行う為だ。マイク達のクラスは無事授業が終わり、私は別のクラスへ移ることになった。

 

カリはジェダイをやめたけど、必要なことだからマイク達と一緒に授業を受けさせた。マイク達との溝を心配していたけど、以前と変わらず接していて安堵した。

 

そして今日、第二次ジオノーシスの戦いが勃発した。

 

オビ=ワンとアナキン、それからアナキンの弟子がジオノーシスへ向かうらしい。

 

 

「サム、久しぶりだな。」

「ついにこの日が来たね。」

「この戦いを知っていたかのような口ぶりですね、マスター・ホーガン。」

「アナキン、ジオノージアンが大人しくしていると思う?」

「その嫌そうな顔はやめろ。」

 

 

オビ=ワンに注意され、私はすぐに笑顔で取り繕う。隣にいるカリが吹き出したのは、知らないふりをしよう。最近カリは私の癖を知って、誤魔化す時とかすぐに見抜いてくる。

 

 

「オビ=ワン、アナキン、紹介するよ。カリ・ペレス。私の優秀な助手。」

「こんにちは、マスター方。」

「助手?パダワンじゃなくて?」

「私ジェダイじゃないから。」

 

 

アナキンの弟子に聞かれて、私はジェダイじゃないから、パダワンもいないと説明する。

 

 

「マスター・ホーガン、僕の弟子のアソーカ・タノです。」

「よろしくお願いします。でも…マスター………ホーガン?」

「アナキン、イニシエイト達にも困惑されるから名前で呼んでいいよ。アソーカも。」

 

 

ジェダイじゃないのにマスターの敬称を付けられるのは、私自身も戸惑う。

 

 

「では、サム……?」

「サマンサ。」

「マスターが良くて、なぜ僕はダメなんですか?」

「そもそもオビ=ワンにも良いって言ってないから。」

「ならなぜ愛称呼びを許容しているんです?」

「許容してないし!諦めてるの!」

「では僕のことも諦めてください。」

 

 

この似た者師弟め。アソーカが真似したらどうしてくれるんだ。カリは例外だけどさ。

 

 

「アソーカ、オビ=ワンが面倒だと思ったら、アナキンに丸投げしたらいいからね。」

「「サム!!」」

「ほら、さっさと、おっと。」

 

 

自分用のコムリンクを取り出し、私はアズに応答する。

 

アズはなぜか焦っていて、声も切羽詰まっているようだった。

 

 

『サム様大変です!カーターの奴が、』

「え、怪我でもした!?」

『いえ、そうではなく……とにかく早くお戻りを!!』

 

 

通信を切り、私はオビ=ワン達に背を向ける。

 

 

「そういうわけだから、あんた達も頑張ってね。」

「お前もな。」

 

 

カリを連れて、私は船に急ぐ。

 

〈ホーガ・フォレスト〉に向かいながら、カリはカーターの自業自得だと言う。

 

 

「あいつが蒔いた種だよ。」

「なんで?」

「どうして〈ホーガ・フォレスト〉にいるか聞いたことないの?あいつ、ギャングに借金してるみたいだよ。」

「はぁ!?」

「踏み倒そうとしたのかもね。」

 

 

〈ホーガ・フォレスト〉に加わったばかりなのに、カリはもう熟知しているみたいだ。

 

私はカリやカーターには深入りしない。だからカーターの事情は知らないし、聞きもしなかった。だが、借金となれば話は別だ。

 

店に迷惑かけるなんて、勘弁してほしい。

 

船が見え、嫌な予感がした。〈ホーガ・フォレスト〉の周りには、ギャングの船が停まっている。コルサント・ガードも、遅かれ早かれ来るだろう。

 

 

「サム様!!」

 

 

船に入ると、隠れていたアズが私の下へ飛んでくる。

 

それに気付いたカーターとギャング達は、一斉に私を見る。

 

 

「あんたがこの船の持ち主だな。噂は予々聞いている。」

「そうだよ。あんた達は?」

「俺はジェラルド・ミラー。このギャングのトップだ。騒ぎ立てて申し訳ない。このクズに金を取り立てに来ただけだ。」

 

 

カリとアズは、私を心配そうに見てくる。

 

ギャングに借りたということは、ちょっとやそっとの金額じゃないだろう。オマケに、利子も高いはず。カリの言う通り、踏み倒そうとしていたようだ。

 

カーターは私の視線から目を逸らす。

 

それが何よりの証拠だ。

 

 

「ホーガン、」

「あんたは黙れ。ミラー、私の店のルールは知ってる?」

「ああ、知っているとも。こんなクズでも庇うつもりか?元ジェダイで、良心が燻るか?」

 

 

牽制と、借金の建替催促だ。

 

恐らく、ミラーは金さえ戻ればそれで良いんだ。事を荒立てる気は、彼にもないらしい。それが無理なら、カーターを強引に連れていくだろう。

 

カーターを見ずに、私はミラーに言葉を返す。

 

 

「私はジェダイじゃない。だからみんな私に良心を期待しているんだろうけど、無駄だから。」

 

 

そう告げると、カーターは驚いたような目で私を見てくる。

 

一体何を期待していた?

 

カーターは私を、元ジェダイとしか見ていなかったようだ。要は、嘗められていた。だからこの店を選んだんだろう。

 

私が元ジェダイだから言い包められる、と。

 

 

「俺が知るジェダイではないらしいな。」

「そういうこと。カーターは好きにして。」

「なんだと!?」

「煮るなり焼くなり、ご自由に。クビにするから。」

「ホーガン!!」

 

 

クビと言われて、カーターは真っ青になる。

 

 

「ナブーの保安部隊を切られたのも、借金のせいでしょ?職場に迷惑をかける従業員はいらない。」

「そんな…!今まで店を守ってきただろ!」

「その店を、あんたは穢してるの。私は経営者として決断しただけ。自分のミスは自分で責任を取って。」

 

 

カーターは私の目を見て、恐怖を抱いていた。それは隣にいたカリも同じだった。カリは小さな声で、私に呼び掛ける。

 

 

「サム、落ち着いて。怖いよ。」

「私は冷静だよ。」

「違う、激怒してる。表情に出してないけど、暗黒面を感じるの。冷静さを忘れるなって教えたのはサムだよ?お願い、サム。」

 

 

私は、ゆっくりカリを見る。

 

いつも元気で笑顔だったカリが、泣きそうな顔をしていた。

 

 

「ごめん………」

 

 

消え入るような声で、カリに謝る。

 

私は心を鎮め、カーターを引き摺るミラー達を引き止めた。

 

 

「なんだ?」

 

 

これが正解じゃないのは分かってる。でもギャングにカーターを渡せば、自分で制裁を下せない。報復はジェダイの道じゃないのは分かってる。

 

ところが幸いなことに、私はジェダイじゃない。

 

心の奥底で、自分の嫌な部分が誇張し出した。

 

 

「カーターの借金は私が肩代わりする。」

「何……?」

「私が制裁を下したい。」

 

 

この言葉には、アズまでもが反対する。

 

 

「いけません!サム様が手を汚すなんて!」

「そういう意味じゃないから安心して。」

「仮にこいつを置いていくとして、俺の面子はどうなる?」

「そう難しく考えないで。借金の肩代わりされるのが嫌なら、私があんた達に借りを作ったってことにして。」

 

 

今度はカーターが反対する。ギャングに借りを作ることがどれ程危険か、彼はよく知ってる。もちろん、私も分かってる。

 

 

「見返りに何をしてくれる?」

「犯罪には手を貸さないけど、助けが欲しい時は遠慮なく言って。それくらいしかできないけど。」

「共和国が俺達を検挙してもか?」

「それは無理。犯罪者の弁護はできない。」

 

 

口出しはしないけど、弁護もしない。犯罪に手は貸さない。私の店で取引を禁止するのも、それが理由だ。

 

ミラーは少し考えた後、口を開く。

 

 

「良いだろう。こいつは置いていく。」

「ありがとう。」

 

 

カーターの借りた金額を利子共々きっちり渡し、ミラーのギャングは帰っていった。

 

グランド・アーミー本部には連絡して、事情を話して問題ないと伝えた。

 

ギャングが帰った後、私は棚からワインを取り出して、ラッパ飲みする。

 

 

「カリ、私は部屋に戻るから開店準備お願いしていい?」

「いいよ。」

 

 

私が背を向けると、カーターが小声でカリにお礼を言っていた。

 

 

「助けてくれてありがとな。」

 

 

私に聴こえていると知っているのは、カリだけだ。

 

 

「あんたの為じゃない。サムの為だから。」

 

 

カリは冷たく言い放ち、開店準備を始める。

 

不幸か幸か、カリもジェダイでなくなってきている。

 

私は心の奥で、罪悪感を抱いてしまっていた。

 

 

サムは独身を貫くべきか否か?

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