【完結】退職(無断)したので、飲食店やります。   作:夭嘉

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怒りの果てに

意識を取り戻すと、私はジェダイ聖堂の部屋にいた。

 

手当てこそされているものの、部屋からは出られないようになっていた。ドアは外からロックされ、こじ開けられるような道具は何も置いてなかった。部屋にあるのは寝台と、栄養供給の為の点滴だけ。身体も患者衣で、最低限の服しか着せられていない。

 

意識を失う前のことは憶えている。

 

今でも間違ったことをしたとは思っていない。

 

 

「っ!」

 

 

足音が聞こえ、私は身を強ばらせる。ロックが解除され、ドアが開くとマスター・ヨーダが入ってきた。その後ろにはカリがいる。

 

嫌な予感がする。

 

 

「サマンサ、身体はどうじゃ?」

「さっさと本題に入ってください。」

 

 

私がストレートに言うと、マスター・ヨーダは溜め息を吐く。

 

 

「ジェラルド・ミラーを殺そうとしたそうだな?」

「何か問題でもありますか?」

「彼奴を殺すことが問題なのではなく、殺そうとしたことが問題なのじゃ。誰かの為ではなく、お前は最終的に自らの為にミラーを殺そうとした。今のお前を放っておくことはできん。」

 

 

つまり、しばらく自由はないということだ。

 

でも納得できない。

 

10年も探さなかったくせに、今更自由にできないなんておかしい。今までも、危ないことはたくさんあった。今になって問題視されるのは不愉快だ。

 

 

「サマンサ、わしがお前とカリを見送ったのは、身を守れるからじゃ。しかし、お前はやりすぎた。見送ったのは、銀河を混乱させる為ではない。」

「カリ、」

「っ………」

 

 

カリに声をかけるも、目を逸らされてしまった。感じるのは、私への怖れだ。カリは私を怖がっている。

 

いや、これで良かったのかもしれない。

 

私のゴタゴタに巻き込まずに済む。

 

 

「ようやく身に染みたようじゃな。サマンサ、カリは自分の身を守れるのじゃ。過保護になる必要はない。それができぬなら、お前を解放するわけにはいかん。」

「………しばらくここにいます。」

「良かろう。」

「カリ」

「サム………」

「ねぇ、カリ」

 

 

私の声に、カリは恐る恐る視線を合わせてくる。

 

 

「店をお願い。」

「………分かった。」

 

 

そう言って、カリは部屋を出て行った。後を追うように、マスター・ヨーダも出て行こうとする。そこで、私はマスターを呼び止めた。

 

 

「マスター、ミラーは刑務所ですか?」

「左様。安心せい。彼奴は簡単に外には出られん。」

 

 

マスター・ヨーダは微笑んで、そう断言した。

 

部屋には私一人になり、寝台へ横になる。

 

店はカリだけで充分だ。寧ろ、私は世間に出ない方がいい。このまま消えてしまいたい。

 

その時、またドアが開いた。

 

入ってきたドロイドに、私は思わず泣きそうになる。

 

 

「サム様!!」

「アズ!?」

 

 

ミラーに壊されたと思っていた。煙も上げていたし、二度と戻らないと諦めかけていた。修復不可能かと思っていたけど、なぜか動いている。

 

また会えるとは思わなかった。

 

ついアズを抱き締めてしまった。

 

 

「アズ!良かった…!!」

「こればかりは、ジェダイ・オーダーと共和国のお陰ですよ。」

「どうして?」

「実は、ヴォス様を呼んだのはカリ様なんです。」

 

 

閉じ込めたはずのカリは、マイク達に繋がる私特製の通信機でジェダイ・オーダーに助けを求めたらしい。それで近くにいたヴォスの大隊が来て、ミラーを連行していったという。私も搬送された後、ドクター・グーバッカがアズを直したそうだ。

 

幸いなことに、アズのメモリーは無事だったみたいだ。

 

アズは、そう教えてくれた。

 

 

「サム様、私はドクターに直してもらった後、ジェダイ評議会とお話をしました。」

「え、アズが?」

「はい。失礼ながら、私がサム様のお話をしました。」

 

 

一体何を言ったんだ。

 

 

「アズ、変なことは言ってないよね?」

「もちろんです。ただ、サム様は自由を求めている。それだけはお伝えしました。」

「評議会は何て?」

「話は聞いていただけましたが、今はサム様を見守る、と。」

 

 

見守る、ねぇ。要は監視ってことか。評議会も、戦争で大分変わったな。

 

 

「サム様、カリ様と〈ホーガ・フォレスト〉でお待ちしております。どうか、無理はなさらないでください。」

「アズ……」

「私はいつ如何なる時も、サム様のドロイドです。」

「ありがとう。」

 

 

アズは部屋を出て行き、私はまた1人になった。

 

私は聖堂にいる間、授業は中止になり、部屋に篭ることを余儀なくされた。

 

〈ホーガ・フォレスト〉はしばらくカリが営業して、全ての権利を彼女に託した。何かあればアズから知らせが来るが、それ以外の決定権はカリに委ねた。あの子を信じてるし、常連達からも信頼されている。

 

私がいなくても、カリだけで立ち回れる。

 

その事実に、少しだけ寂しくなった。

 

戦時中だから、オビ=ワンもアナキンも来ることはない。ジェダイはみんな戦場にいて、前線で戦っている。聖堂にいるのは評議会のジェダイ数人と、イニシエイト達、テンプル・ガード等だけだ。

 

10年前の光景は、今は見られない。

 

窓から見えるグレート・ツリーに、私は悲しみを募らせるのだった。

 

 

サムは独身を貫くべきか否か?

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