部屋で大人しくして何日か経った頃、訪問者が現れた。
「マスター・ホーガン?」
デヴァロニアンの女の子がドアから顔を覗き込ませて、小声で話しかけてくる。
小声で話す辺り、マスター達はこのことを知らないだろう。本来、私の部屋には誰かが来ることはない。カリのような子は例外として、普通のイニシエイト達は入れないエリアなのだから。
「まず私はジェダイじゃないし、そもそもここには入れないはずだけど?」
「あ、そうでした……えっと………」
彼女は辺りを見渡すと、中に入ってドアを閉める。
デヴァロニアンの女の子が中に入ってきてから、ようやく気付いた。
この子はジェダイじゃない。でも、フォースは強い。フォース感応力があるけど、どこにでもいるような、カリと同じ年頃の女の子だ。
「あんた誰?」
「レスって呼んでください。」
「それ短縮した?」
「気にしないでください。」
「気にするなって言う方が無理。最後のチャンスだよ。あんたは誰?」
「っ…!!」
私の鋭い視線に、レスは目を逸らす。
マスター達の目を掻い潜ってこの部屋に来れるのは、アナキンくらいだ。いや、アナキンでも誰かが見つける。ジェダイでもないレスが来られるとしたら、考えられる可能性は絞られる。
一番有力な可能性は、シスの刺客だ。
ドゥークー伯爵なら、私を始末する為にやりかねない。
「私を殺しに来たんじゃないの?」
「違います!殺すならとっくに殺してます!」
「ふぅん?とりあえず、不法侵入だから降伏した方がいいよ?」
ブラスターを取り出して銃口を向けると、レスは手を上げる。
「待って!本当に敵意はないんだってば!」
「問答無用。」
「きゃあっ!?」
トリガーを引くとレーザー弾が撃たれ、弾はレスの横を通過して後ろの壁に当たる。だが次の瞬間、咄嗟に手が出たのか、レスもブラスターを撃っていて、私の後ろの窓が割れる。
飛び散る破片に腕で防いでいると、レスはなぜか謝ってきた。
そう思ったのも束の間、彼女はこっちに走ってくる。
「本当にごめんなさい!!」
「は…?え、ちょっ…本気で!?」
フォース・プッシュされ、私は窓から真っ逆様に落ちていく。
「マジかあああああああああああっ!!!」
なぜかレスまで跳んできて、彼女はワイヤーを飛ばして私を捕まえる。スイングして塔の1つに着地した後、彼女はまた私を突き飛ばした。そしてさっきと同じように空中で私を捕まえて、ワイヤーでスイングする。
今度は私も反撃して、レスの身体を蹴飛ばして脱出する。
顔色を変える彼女を他所に、私は聖堂の外でフォースを使って着地した。
私は元ジェダイだ。これくらいできなければ、授業も店の自衛もできていない。
無事に着地した私に、レスは近くに降り立って安堵する。
「よ、良かった……」
「私が落ちるわけないでしょ。」
「待って!」
聖堂の中に戻ろうとすると、彼女は慌てて腕を掴んでくる。
「お願い!話を聞いて!」
「赤の他人の話は聞かない。さっさと帰りな。」
「〈ホーガ・フォレスト〉の危機なんです!」
その言葉に、私は立ち止まる。
「店の名前を出せば、私をどうにかできると思った?」
「そうじゃないんです!今すぐ行動しないと、店にいるカリ・ペレスが危ないんです!」
「適当なことを抜かしていると許さないよ。」
「本当なの!貴女がよく分かってるでしょ!ジェダイをやめた者が独りになるとどうなるか!」
レスの言うことは正しい。
親しい人間がいなくなれば、闇に落ちていく。私は店という居場所があったから、暗黒面に堕ちずに済んだ。自分で作り上げた場所だったから。
でも、カリの場合は違う。
私のいる店が、あの子の居場所だ。
「分かった。」
「信じてくれる……?」
「信じてあげてもいいけど、なんであんたが気にするわけ?赤の他人でしょ?」
私とカリがどうなろうと、赤の他人であるレスには関係ないことだ。なぜここまで必死になるのか分からない。客としてすら、レスを見たことがないのに。
「それは、」
「ホーガン、なぜここにいる?」
「っ!!」
テンプル・ガードが現れ、私は部屋に戻るように促される。
「ダメ!戻らないで!」
「お前は誰だ?」
「私は、誰でもない。」
「いや、違う、」
「来て!!」
いきなり引っ張られ、私は急接近したシャトルへレスに乗せられる。エンジンを蒸したシャトルは一気に軌道へ出て、すぐにハイパースペースへと入った。倒れ込んだ私は壁伝いに立ち、レスを掴み上げる。
「コルサントに戻って!!」
「家族よりも、オーダーの指示を優先するの!?」
「黙って消えたら脱走したと思われるでしょ!?」
「一刻を争うの!状況を変えられるのは貴女だけなんだよ!」
「良いから話を聞いてやってくれ。」
その声に、私はレスを解放する。
コックピットから出てきた男に無言で近付き、私はそいつの横っ面に一発お見舞いした。
「なっ…!?いきなり何すんだよ!?」
「あんたがこの子を誑かしたの?カーター?」
頬を押さえる男、カーターを睨み下ろす。
「違うっての!俺の方が頼まれたんだよ!」
「本当だよ!私が頼んだの!」
「なんでよりによってこんなクズなの?」
「ひでぇな…」
「事実でしょ。」
カーターの泣き顔を放置して、レスに向き直る。
「ジェダイ・オーダーには何て言うつもり?」
「俺が連れ回したって言う。」
「テンプル・ガードがこの子の姿を見てるのに?」
「なら正直に言うか?」
「ほんっとムカつく。」
「決まりだな。」
カーターは座標を入力して、いくつかのスイッチを入れる。
もう引き返すことはできない。行くしかないんだ。カーターが言ったからじゃない。カリの為だ。
そうだ、カリに謝らないと……
あの子の気持ちを考えてなかった。辛い思いをさせた。それしか考えてなかったんだ。
ちゃんと向き合わないといけない。
大丈夫。
そう思っていても、カリと会うのが怖い。
サムは独身を貫くべきか否か?
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早く結婚しろ。
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ダメ、独身でいろ。
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