【完結】退職(無断)したので、飲食店やります。   作:夭嘉

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リニューアルオープン前夜

結論から言うと、私はジェダイ聖堂に戻らなかった。

 

アズに連絡して来てもらい、私は〈ホーガ・フォレスト〉からジェダイ評議会に連絡した。

 

 

『何だと………?』

「ですから、今後は営業に集中します。授業もやめます。」

『ホーガン………あれだけ問題を起こしておいて、許されると思っているのか?』

 

 

普通に考えて、そういう反応になるよね。

 

マスター・ウィンドゥは、納得しようとしなかった。

 

報告したのはカリのことと、私のこと。カリの方は、王に許しを得ていること、私があの子を1人にしたことが原因だと話した。私の方は、カリの危機を感じて放置できなかったと説明した。

 

だが、それだけでは納得してもらえなかった。

 

 

『テンプル・ガードの報告によれば、デヴァロニアンの少女がいたはずだ。』

「私だってあの子の正体知りたいですよ。でも知らないんですから無理です。」

 

 

レスのことは、私からは話さなかった。正体も知らないし、今どこにいるのかも分からない。悪人じゃないし、追及する必要もないと思ったからだ。

 

 

「授業に関しては、2クランも卒業してもらったんですし、実績はありますから。戦争が激化した今、店を疎かにしたくないんです。」

『ホーガン、戦争が激化したからこそ、ジェダイが必要なのだ。』

 

 

その言葉で、私は何かが切れた。

 

それは1つの決断だった。

 

今まで、気付かないふりをしていた。ジェダイは、戦争で変わった。聖堂へ行く度に、嫌なものを感じ続けてきた。しかも、その度に悪化していくようだった。

 

私がレスと遭遇した頃には、目を逸らしてしまう程に。

 

ジェダイは変わってしまった。

 

 

「マスター、ジェダイは平和の守護者のはずです。私は、戦争に送り出す為に授業をしてきたわけじゃない。最初に担当したクランの2人が、戦場で亡くなってます。」

『惨い死だった。若きジェダイの死は痛ましい。』

「シアンとリムは、カリと同年代です。確かに、カリから目を離した私に責任があります。しかし、なぜカリが私を戦場から遠ざけようとしたか、マスターは分かりますか?」

 

 

マスターは答えなかった。

 

答えは単純だ。シアンとリムの死を知ったカリは、私を失うことを恐れた。ジェダイと関わる私を、強引に離そうとした。

 

やり方は間違っていたけど、気持ちは分かる。

 

でも、今のジェダイに分かりはしない。

 

 

「もう、コルサントには行きません。」

『それがお前の考えか。』

「ええ。私の為ではありません。カリの為に、授業をやめます。」

『分かった。我々とお前では大きな相違があるようだ。』

「納得いただけて良かったです。」

 

 

これでいいんだ。

 

私はカリとアズがいればいい。マスター・ビラバは気掛かりだけど、あの人は大丈夫だ。私を信じてくれたんだから。

 

 

『ホーガン、分かっていると思うが、』

「情報は守ります。」

『………フォースと共にあらんことを。』

 

 

通信が切れ、私は溜め息を吐く。

 

この事は、議長もといダース・シディアス経由でドゥークー伯爵にも伝わるだろう。カリが大事で、店を優先したと知られる。私が行動したことで、雲行きが怪しくなった。

 

もう放っておいてほしい。

 

プロジェクターに突っ伏していると、ドアをノックされた。

 

 

「サム?」

「入っていいよ。」

 

 

部屋にカリが入ってきて、評議会の話を聞かれる。

 

 

「大丈夫だった?」

「納得させたよ。私が本気だって分かったみたい。」

「そう……」

「カリ、私も考えを改めるよ。」

「え?」

「カーターと話し合う。」

 

 

カーターとの和解は、カリも望んでいることだった。

 

前に進まなきゃいけない。カリを守る為には、私も変わらなきゃダメだ。その為には、カーターと向き合う必要がある。

 

カリが眠った後、私はカーターを店に呼び出した。

 

店は閉店して、カリを起こさないようにカウンター後ろのドアは閉め切る。テーブル席の両側にお互いが座り、私はカーターにブラスターを渡した。

 

 

「何の用だ?」

「どうして借金のことを隠してたのか教えて。」

 

 

まず、借金のことからだ。

 

 

「借金は解決しただろ?」

「それは誰が払ったと思ってんの?」

「あんただな。悪かったよ。隠してたのは、信用してもらえないと思ったからだ。」

「隠したことで信用されなくなるって思わなかったの?」

「自分で解決するつもりだったんだ。だが、迷惑かけるつもりはなかった。すまない。」

 

 

カーターは頭を下げ、謝罪する。

 

彼からちゃんと謝罪されたのは初めてだ。カーターは変わったんだ。私もそれに応えるべきだ。

 

 

「もういいよ。私も、冷たい態度を取ってごめん。」

「じゃあ、帰っていいか?仕事を探さなきゃいけないんでな。」

「カーター、待って。」

 

 

帰ろうとするカーターを引き止める。

 

 

「なんだ?」

「仕事なら雇うよ。」

「は…?」

「嫌だった?」

「いや、違う。いいのか?」

「え、働きたかったの?」

「まぁそうだろ。この店程面白い仕事はないぞ。」

 

 

まさかそう思っているとは思わなかった。

 

ただ、前回とは労働環境が違う。正直、前回より労働環境は劣悪かもしれない。しかも安全じゃないのは変わらない。

 

 

「でも、労働環境悪いよ?」

「どう変わったんだ?」

「今までの生活に加えて、シスの勧誘がうるさくなるかも。ジェダイと完全に手を切ったから。」

「そりゃ面倒だな。」

「それでも働く?」

「ああ。頼むぜ、オーナー。」

「オーナーはやめて。」

 

 

カーターといくつか情報を照らし合わせ、以前と同じ部屋を使わせた。

 

アズは悪態を吐きながらも、どこか嬉しそうだった。カリも仲直りしたと喜んでくれた。どうやら私が卑屈になっていたようだ。

 

その夜、私達はテーブルを囲んで夕飯を食べた。

 

今日の夕飯は、カーターが再雇用のお礼として作ってくれた。

 

 

「ホーガン、ジェダイと手を切ったって言ってたが、あいつら納得したのか?」

「せざるを得ないよ。今回は私の我慢の限界だったから。」

「サム、元々授業に乗り気じゃなかったよね。」

「そうなのか?」

「当たり前じゃん!店が最優先だもん!」

「でも、マイク達が心配だよ。」

 

 

カリは、残してきたマイク達を心配する。

 

既にシアンとリムが戦場で亡くなっている。死因は、シアンが窒息死、リムは胸部損傷による死だった。要約すると、2人は暗黒面の使い手に殺されているということだ。

 

言わずもがな、ドゥークー伯爵だ。

 

当然、カリもこのことを知っている。

 

2人の訃報を知った時、カリは失意の闇に飲まれるんじゃないかと心配になった。

 

 

「カリ、今夜は楽しもう。お喋りたくさんしよっか。」

「うん!」

「あ、お酒はまだダメだからね?」

「分かってるよ。」

「俺の酒は?」

「今日は好きなだけ飲んでいいよ。お礼とお詫びのつもりだから。」

「よし!!」

 

 

〈ホーガ・フォレスト〉の開店記念に買ったボトルを開け、カリには滅多に手に入らないフルーツをご馳走した。

 

その夜は、アズも巻き込んで散々飲み明かし、大いに楽しんだ。カーターに至っては、記念ワインを飲み干した。好きなだけ飲もうって言ったのは私だけど。

 

本番は明日からだ。

 

明日からは、新装オープンだ。

 

今日は思う存分楽しんで、明日から気を引き締めないと。

 

 

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