結論から言うと、私はジェダイ聖堂に戻らなかった。
アズに連絡して来てもらい、私は〈ホーガ・フォレスト〉からジェダイ評議会に連絡した。
『何だと………?』
「ですから、今後は営業に集中します。授業もやめます。」
『ホーガン………あれだけ問題を起こしておいて、許されると思っているのか?』
普通に考えて、そういう反応になるよね。
マスター・ウィンドゥは、納得しようとしなかった。
報告したのはカリのことと、私のこと。カリの方は、王に許しを得ていること、私があの子を1人にしたことが原因だと話した。私の方は、カリの危機を感じて放置できなかったと説明した。
だが、それだけでは納得してもらえなかった。
『テンプル・ガードの報告によれば、デヴァロニアンの少女がいたはずだ。』
「私だってあの子の正体知りたいですよ。でも知らないんですから無理です。」
レスのことは、私からは話さなかった。正体も知らないし、今どこにいるのかも分からない。悪人じゃないし、追及する必要もないと思ったからだ。
「授業に関しては、2クランも卒業してもらったんですし、実績はありますから。戦争が激化した今、店を疎かにしたくないんです。」
『ホーガン、戦争が激化したからこそ、ジェダイが必要なのだ。』
その言葉で、私は何かが切れた。
それは1つの決断だった。
今まで、気付かないふりをしていた。ジェダイは、戦争で変わった。聖堂へ行く度に、嫌なものを感じ続けてきた。しかも、その度に悪化していくようだった。
私がレスと遭遇した頃には、目を逸らしてしまう程に。
ジェダイは変わってしまった。
「マスター、ジェダイは平和の守護者のはずです。私は、戦争に送り出す為に授業をしてきたわけじゃない。最初に担当したクランの2人が、戦場で亡くなってます。」
『惨い死だった。若きジェダイの死は痛ましい。』
「シアンとリムは、カリと同年代です。確かに、カリから目を離した私に責任があります。しかし、なぜカリが私を戦場から遠ざけようとしたか、マスターは分かりますか?」
マスターは答えなかった。
答えは単純だ。シアンとリムの死を知ったカリは、私を失うことを恐れた。ジェダイと関わる私を、強引に離そうとした。
やり方は間違っていたけど、気持ちは分かる。
でも、今のジェダイに分かりはしない。
「もう、コルサントには行きません。」
『それがお前の考えか。』
「ええ。私の為ではありません。カリの為に、授業をやめます。」
『分かった。我々とお前では大きな相違があるようだ。』
「納得いただけて良かったです。」
これでいいんだ。
私はカリとアズがいればいい。マスター・ビラバは気掛かりだけど、あの人は大丈夫だ。私を信じてくれたんだから。
『ホーガン、分かっていると思うが、』
「情報は守ります。」
『………フォースと共にあらんことを。』
通信が切れ、私は溜め息を吐く。
この事は、議長もといダース・シディアス経由でドゥークー伯爵にも伝わるだろう。カリが大事で、店を優先したと知られる。私が行動したことで、雲行きが怪しくなった。
もう放っておいてほしい。
プロジェクターに突っ伏していると、ドアをノックされた。
「サム?」
「入っていいよ。」
部屋にカリが入ってきて、評議会の話を聞かれる。
「大丈夫だった?」
「納得させたよ。私が本気だって分かったみたい。」
「そう……」
「カリ、私も考えを改めるよ。」
「え?」
「カーターと話し合う。」
カーターとの和解は、カリも望んでいることだった。
前に進まなきゃいけない。カリを守る為には、私も変わらなきゃダメだ。その為には、カーターと向き合う必要がある。
カリが眠った後、私はカーターを店に呼び出した。
店は閉店して、カリを起こさないようにカウンター後ろのドアは閉め切る。テーブル席の両側にお互いが座り、私はカーターにブラスターを渡した。
「何の用だ?」
「どうして借金のことを隠してたのか教えて。」
まず、借金のことからだ。
「借金は解決しただろ?」
「それは誰が払ったと思ってんの?」
「あんただな。悪かったよ。隠してたのは、信用してもらえないと思ったからだ。」
「隠したことで信用されなくなるって思わなかったの?」
「自分で解決するつもりだったんだ。だが、迷惑かけるつもりはなかった。すまない。」
カーターは頭を下げ、謝罪する。
彼からちゃんと謝罪されたのは初めてだ。カーターは変わったんだ。私もそれに応えるべきだ。
「もういいよ。私も、冷たい態度を取ってごめん。」
「じゃあ、帰っていいか?仕事を探さなきゃいけないんでな。」
「カーター、待って。」
帰ろうとするカーターを引き止める。
「なんだ?」
「仕事なら雇うよ。」
「は…?」
「嫌だった?」
「いや、違う。いいのか?」
「え、働きたかったの?」
「まぁそうだろ。この店程面白い仕事はないぞ。」
まさかそう思っているとは思わなかった。
ただ、前回とは労働環境が違う。正直、前回より労働環境は劣悪かもしれない。しかも安全じゃないのは変わらない。
「でも、労働環境悪いよ?」
「どう変わったんだ?」
「今までの生活に加えて、シスの勧誘がうるさくなるかも。ジェダイと完全に手を切ったから。」
「そりゃ面倒だな。」
「それでも働く?」
「ああ。頼むぜ、オーナー。」
「オーナーはやめて。」
カーターといくつか情報を照らし合わせ、以前と同じ部屋を使わせた。
アズは悪態を吐きながらも、どこか嬉しそうだった。カリも仲直りしたと喜んでくれた。どうやら私が卑屈になっていたようだ。
その夜、私達はテーブルを囲んで夕飯を食べた。
今日の夕飯は、カーターが再雇用のお礼として作ってくれた。
「ホーガン、ジェダイと手を切ったって言ってたが、あいつら納得したのか?」
「せざるを得ないよ。今回は私の我慢の限界だったから。」
「サム、元々授業に乗り気じゃなかったよね。」
「そうなのか?」
「当たり前じゃん!店が最優先だもん!」
「でも、マイク達が心配だよ。」
カリは、残してきたマイク達を心配する。
既にシアンとリムが戦場で亡くなっている。死因は、シアンが窒息死、リムは胸部損傷による死だった。要約すると、2人は暗黒面の使い手に殺されているということだ。
言わずもがな、ドゥークー伯爵だ。
当然、カリもこのことを知っている。
2人の訃報を知った時、カリは失意の闇に飲まれるんじゃないかと心配になった。
「カリ、今夜は楽しもう。お喋りたくさんしよっか。」
「うん!」
「あ、お酒はまだダメだからね?」
「分かってるよ。」
「俺の酒は?」
「今日は好きなだけ飲んでいいよ。お礼とお詫びのつもりだから。」
「よし!!」
〈ホーガ・フォレスト〉の開店記念に買ったボトルを開け、カリには滅多に手に入らないフルーツをご馳走した。
その夜は、アズも巻き込んで散々飲み明かし、大いに楽しんだ。カーターに至っては、記念ワインを飲み干した。好きなだけ飲もうって言ったのは私だけど。
本番は明日からだ。
明日からは、新装オープンだ。
今日は思う存分楽しんで、明日から気を引き締めないと。
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