新装開店初日の今日。
元気なカリとは違い、私とカーターは頭を抱えていた。
「頭痛ぇ……」
「飲み過ぎ!」
「気持ち悪ぅ……」
「カリ様、ああいう大人にならないでくださいね!」
「アズうるさい!頭に響く!」
カーターはすぐに二日酔いが治ったけど、私は結局寝込んでしまった。
店はカーターとカリの2人がいるから大丈夫だろう。
鎮痛剤を飲み、私は部屋で横になる。
クローン戦争が始まって、2年半が経とうとしていた。
新装開店した〈ホーガ・フォレスト〉は、これまでの客の信頼があったから、変わらず繁盛している。共和国の者も分離派の者も、相変わらず立場は関係ない。みんな平等に客だ。
開店当初から来ている輸送業のノートランが、奥から出てきた私に声をかける。
「おうサム!」
「いらっしゃい!あれ?今日私服じゃん。仕事は?」
「実は会社を畳んだんだ。」
「え!?なんで!?」
「早期退職したのさ。いろいろあってな……」
ノートランの男は寂しそうに言う。
「この店もよく保つな。」
「あんた達のお陰。」
「だがサービスはしねぇんだろ?」
「うん。平等じゃなくなるからね。」
「その方がいい。〈ホーガ・フォレスト〉らしさがなくなる。んじゃ、そろそろ行くぜ。またな。」
「気を付けてね。」
彼が店を出て行くと、カーターが声をかけてくる。
カーターも、あの男と話したことがあるらしい。
「不況な世の中だな。」
「店の心配した?」
「いや?この店は心配してねぇよ。」
カーターは笑いながら仕事に戻っていく。
“この店は”って言ってるけど、私は別の意味で心配だ。ドゥークー伯爵やら、分離派やら、心配要素は多い。
あれから、ドゥークー伯爵のアクションはない。
戦争が激化して、私のことなんか構ってられないんだろう。
「サム!早く準備して!」
「ん?何の?」
カリが弁当を抱えながら、なぜか私を急かす。
「憶えてないの?昨日アミダラ議員からのお誘いに了承したでしょ?」
「………」
「え、本当に?」
「店は?今日新装開店初日だよ?」
「もうすぐ閉店だし、カーターがいるから大丈夫だよ。」
実は、私は二日酔いに加えて、所々記憶がない。薄っすら憶えているけど、ウイスキーに手を出して30分の間は何も憶えていない。前の世界じゃ二日酔いする程飲まなかったから、初めての感覚だ。
「ほら!行くよ!」
「ちょっ、まっ、カリ!!」
店はカーターに任せて、私はカリに連れられて迎えのヨットに乗せられる。アミダラ議員が出迎えて、私達はコックピットにお邪魔する。
それはさて置き、いつの間に私の船とドッキングしたんだ。
ヨットを操縦していたのは、何とアソーカだった。
「アソーカ、久しぶり。ていうか、何してんの?」
「護衛よ。まぁ、建前だけど。楽しみましょう。」
「おう……」
ヨットはドッキングを解除し、光速航行の準備に入る。
「ハイパードライブ起動します!」
アソーカはレバーを押し、ヨットはハイパースペースに突入する。操縦をオートモードにさせ、アソーカもレストスペースに入ってくる。私とアミダラ議員が対面して座り、カリとアソーカはそれぞれ間に立つ。
それから、C-3POがお茶を用意してくれた。
まず、私から話を切り出した。
「すみませんアミダラ議員、昨日のこと何も憶えてなくて………」
「いいのよ。それより、そんなに畏まらないで。パドメでいいわ。急にお誘いしてごめんなさい。マスター・ケノービが貴女を案じていたの。」
「オビ=ワンが?」
「ええ。貴女達、友達でしょう?」
つまり、オビ=ワンがパドメを寄越したんだ。
二度目のジオノーシス戦から、オビ=ワンとは話していない。しかも授業もやめて、関わりも無いに等しい。彼の性格からして、そんな状態から遠くへ離れた私が心配になったんだろう。
オビ=ワンはオビ=ワンのままらしい。
「コルサントに戻ったら、心配ないと伝えてください。」
「分かったわ。」
「それにしても、アソーカまで来ると思わなかった。」
「あぁ、私は護衛だってば。」
アソーカは私とカリに微笑む。
カリとアソーカは歳が近いこともあって、壁はないみたいだった。
「アソーカ、しばらく休んで。私は彼女と個人的に話があるの。」
「分かりました。」
「サム、私もアソーカと行ってくるね。」
「うん。」
カリはアソーカに連れられ、個室へと向かう。
子供2人が席を外し、パドメは真剣な顔になる。本題は、恐らくこっちだろう。パドメは気を遣ってくれたんだ。
「もうコルサントには戻らないのね。」
「アミダラ議員……パドメ、私は今のジェダイ・オーダーを信じられないんです。」
「私は責めているんじゃないの。戦争が終わったら、戻るのか聞きたかったのよ。」
「戦争が終わったら………」
戦争は終わる。それももうすぐ。ただ、共和国も分離派も関係なく終わる。何も残らないんだ。
新しく誕生するのは、帝国だ。
けど、パドメには言えない。
「たぶん、戻りません。私は、自分の人生を選ぶ。カリと一緒に。」
「分かったわ。困ったことがあったら、いつでも連絡して。助けになるわ。」
「ありがとうございます、議員。」
「パドメよ。お願い、畏まらないで。」
「分かった……じゃあ、私もサマンサと。」
しばらくして、ようやくハイパースペースから出てナブーの軌道に浮かんだ。カリはちゃっかりアソーカの隣に座り、一緒になって操縦している。
何だか微笑ましい。
私達はネイベリー邸に降り、アソーカとカリが荷物を持って、リビングに落ち着く。
「それで、予定は?」
「みんなで湖に行きましょう。シートを出すわ。カリ、手伝っていただけますか?」
「はい!」
「アソーカ、サマンサとお弁当を持って先に行って。」
「分かりました!」
2人で篭を持ち、パドメとカリを置いて先に湖水地方へ向かう。
アソーカが操縦をして、スピーダーを走らせた。
ナブーって、綺麗な景色多いよね。湖水地方もいいけど、ネイベリー邸のある運河も良い景色だ。この世界に転生する前は、この星に住みたかった。
因みに、ロケ地はイタリアのコモ湖らしい。前の世界のコモ湖と、今いる湖とでは全く違う。何せ、周りの景色は前の世界とは違うから。
それに私はキファーだけど、ジャングル暮らしは好きじゃない。
物心つく前にジャングルから聖堂に来たので!
よーし、目一杯羽を伸ばすぞ!!
サムは独身を貫くべきか否か?
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早く結婚しろ。
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ダメ、独身でいろ。
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