翌日、ジェダイ聖堂にモダルが帰ったと知らせがあった。
カリ経由で聞き、私は久しぶりに会いに行くことを決めた。店はカーターに任せて、少しだけ抜けることにした。カリも伴い、私はまた聖堂へと足を踏み入れる。
「モダル、見違えたね。」
久しぶりに会ったモダルは、以前会った時よりも落ち着いていた。一層ジェダイらしくなり、頼もしさが感じられる。ただ、少し落ち着きすぎだとも思った。
明るいカリを見ているせいか、モダルの感情が冷めているように見えてしまう。
「どうしたのモダル?」
「……何でもない。」
煮え切らない態度に、カリはモダルに何かあったのかと聞く。
「最近、噂があるんだ。」
「噂?」
「マスター・ホーガンが暗黒面に手を出したって、クローン・トルーパーが噂してる。」
「私が暗黒面に……?」
根も歯もない噂だ。寧ろフォースの絆を断とうか悩んでるのに。普通の人間でいたいって思うのは、そんなにいけないことなのかな。
「そんなわけないって。何なら、評議会に出向いたっていいんだよ?」
「そうですよね……」
「モダルはサムのこと知ってるでしょう?暗黒面に手を出すはずないじゃん。」
「………」
「何?」
「カリ、マスター・ホーガンの妹みたいだ。」
「本当に?そう見える?」
「ああ。」
カリ、何だか嬉しそう。
それから、カリは訓練場でモダルと組手を始めた。私は組手をすることなく、2人が終わるのを待つ。実力的には、モダルが押しているような感じだ。現役だから当たり前だけど。
そんな折、イニシエイトの1人が訓練場の入口で顔を覗かせていた。
「どうかした?」
私が声をかけると、その子は遠慮がちに入ってきた。
「マスター・ホーガンを呼んできてほしいと頼まれました。」
「え?誰に?」
「マスター・ヴォスです。」
「断ってきて?」
「でも…ホロ通信で待ってるので………」
なぜか泣きそうになっている。
私が虐めたみたいじゃんか。あいつ、わざとイニシエイトに頼んだだろ。絶対こうなると分かっててやってる。
「サム、行ってきなよ。」
「貴女はマスター・ヴォスの性格をよく知っているでしょう?」
「2人してやめてくれる?」
カリとモダルは組手しながら、ヴォスと話すように催促する。大事なことだからもう一度言おう。2人は組手しながら催促してきた。
「はぁ……周波数教えて。」
「どうぞ。」
「あと、私にマスターの敬称はいらないからね。」
「?……分かりました。」
1人で通信センターへ向かい、鬱々とした気持ちのまま回廊を歩く。
行き交うジェダイ達は殺伐としていて、アーマーを着けていなくてもまだ戦争中だと再認識させる。
通信センターに入ると、マスター・セキュラがいて、ホログラムにはヴォスが映っていた。
「ちゃんと来たのね。」
「誰かさんがイニシエイトを差し向けたんでね。」
『差し向けたっていう言い方はねぇだろ。』
マスター・セキュラは苦笑いして、さっさと次の任務へと向かっていった。
「それで、なんで私を呼んだわけ?」
ホログラムのヴォスに、訝しげな視線を向ける。
『ジェダイ聖堂に来てるって聞いてな。店は順調か?』
「店はご心配なく。それより、クローンが嫌いなのは仕方ないけど、程々にしなよ。私の店にまで噂が届いてるからね。」
『それを言うならお前もだろ。暗黒面に手を出したって?』
「出してない。あんたと一緒にしないでよ。」
イラッとしてそう言い返すと、ヴォスも嫌そうな顔をする。
聞いた話だと、ヴォスは任務でドゥークー伯爵に従っていたらしい。つまり、暗黒面に触れている。ドゥークー伯爵から訓練を受けたって、店に来た分離派の客に聞いた。
ヴォスは文字通り暗黒面に手を出したけど、私は擦りもしてない。
だから非難される謂れはない。
『ホーガン、最後まで暗黒面に手を出さないと言い切れるか?』
「なんで?」
『任務だったからとは言い訳はしねぇ。だが、それは気持ちの問題じゃ済まねぇんだ。暗黒面を甘く見るなよ。』
ヴォスは後悔をしているんだ。ヴェントレスと何があったのかは知らない。でも、ヴォスが悔いているのを感じる。
「………ヴォス、聞いて。」
『なんだ?』
「私がフォースの絆を断ちたいって言ったら、見届けてくれる…?」
初めてヴォスに本音を言った。
フォースの絆を切るのは、簡単なことじゃない。精神的にも、辛いものだ。フォースの絆を断てば、自らを追い詰めることになるかもしれない。
『この戦争中にか?困るのはお前だぞ。』
「戦争が始まるまで、ずっと1人だった。今更孤独になっても困らない。」
『本当の孤独を知らないお前は、何も分かっちゃいねぇ。』
「でも、」
『俺達フォース感応者は、意味があって感知能力を与えられたんだ。お前がジェダイをやめようが関係ねぇ。お前の妹分が付いてきたことも、フォースの導きだ。俺がお前に構うのも、ジェダイだったからじゃねぇ。全部を遠ざけるな。』
ジェダイ・マスターらしいことを初めて言われた。ヴォスがここまで言うなんて、本当に珍しいことだ。適当人間だと思っていたから、まさか諭されるとは思わなかった。
『何驚いてんだよ?』
「いや、ヴォスらしくないなって。」
『失礼だな。』
「ごめん。でも、しっかり受け止めるよ。」
『もう行くのか?』
「うん。私の本業は店だからね。」
そう言うと、ヴォスは通信を切ろうとする。だけど、私はそれを慌てて止めた。あと一言だけ、彼に言わなきゃいけないことがある。
『まだ何かあるのか?』
「気を付けてね。」
『らしくねぇな。お前が心配か?』
「そうだよ、心配したの。」
『珍しいもんだな。だが、ありがとな。』
ヴォスは笑い、通信が切断された。
戦争の終わりは近い。ヴォスが生き残ることは知ってるけど、何が起こるか分からない。だから、心配の一つくらいさせてほしかった。
オビ=ワンとヴォスは腐れ縁だ。つまり、友達でもある。友達のことは心配して当然だ。
戦争は早く終わってほしい。
でもそれは、同時にジェダイが滅びることを意味する。
ジェダイをやめたからには、私は唇を噛んで見ているしかない。
サムの子供は……?
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父親(次章で登場)と一緒にいる。
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カリと一緒にいる。
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カーターと店にいる。
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