〈ホーガ・フォレスト〉は無事開店して、売上も上々で順風満帆だ。
ジェダイをやめて本当に良かった!
〈ホーガ・フォレスト〉は楕円形のオーダーメイド船で、船体後方部分の格納庫を改造して、店にしている。造りは至極単純で、カウンター席が5席と、4人用テーブル席2つが基本の、小さな店だ。あまり客が多くても、私が大変になるからこれくらいが丁度いい。
そして、相棒のドロイドが1体。
「サム様、白ワイン1本とブルービーンズ3人前追加です。」
「はい、よろしく。あ、アズ、そろそろ閉店にしようか。」
「了解しました。」
ワインと皿を渡して、私は返ってきたボウルとグラスを回収する。
相棒はGG級給仕ドロイドで、名前はアズルナ20。私は“アズ”と呼んでいる。アズは何でも熟してくれて、頼れる相棒だ。
「じゃあなサム、また来るぜ。今度は、」
「何度も言ってるでしょ。値引きはしないから。」
「ちぇ。またな。それと、やっぱ金髪似合わねぇぞ。黒い方がお前らしいぜ。」
脱色して金髪にはしたけど、純血のキファーだからか1ヶ月すると暗くなっちゃうんだよね。一昨日脱色し直したけど、なぜかお客さんには不評だった。誤魔化すようにつむじでお団子にしてるけど、色が違うのがはっきり分かってしまう。
「身バレ対策だから仕方ないの。じゃあね。」
最後の客を見送り、私は営業中のサインであるランプを切る。テレキネシスで椅子とテーブルを隅に置き、アズに掃除を任せて寝室へと入った。エプロンをサイドテーブルに投げ置き、寝台に横になる。
私が聖堂から去った翌日、クワイ=ガンはダース・モールに敗れて死んだ。そのダース・モールはオビ=ワンが倒したけど、シスは滅んでいない。黒幕であるダース・シディアスは、今も生きている。
極力目を付けられないようにオーダーを離脱したけど、今後どうなるか分からない。
ジェダイの入店はお断りしようかな。
「サム様、お茶をお持ちしました。」
「ありがとう。アズも休んでいいよ。」
「よろしいのですか?」
「うん。ご苦労様。」
アズがスリープモードに入り、私は少しお茶を飲んで目を閉じる。
今日は疲れた。口コミが広がりすぎて、今日は一段お客さんが多かった。しばらくは営業時間を短くしよう。
酒の提供やめようかな。いや、酒をやめたら長居される。この場合は何が正解なんだろう。
とにかく今は休もう、疲れた。
────────
その頃、ジェダイ最高評議会では、ようやくサマンサの不在が議題に上がっていた。
発覚したのは、オビ=ワンがナブーから帰ってきてすぐのことだった。彼が部屋を開けるとサマンサはいなくて、通信機だけが置き去りにされていた。
「前触れもなく消えたというのか?」
ウィンドゥは、評議会の面々に問う。
彼は、サマンサの消えた理由を探した。クワイ=ガンが死に、これ以上ジェダイを失うことを避ける為だった。理由もなく消えるはずがない。ウィンドゥはそう信じていた。
「サムの部屋には、何も残っていませんでした。」
マスターであるビラバが、悲しげに告げた。
「オビ=ワン……最後に会った際、何か不審な点はあったか?」
「いいえ…」
ヨーダの問いに、オビ=ワンはサマンサの言動を思い出すが、何も分からなかった。親しかったとはいえ、オビ=ワンにはサマンサの考えを理解できなかった。
「マスター・ヨーダ、ホーガンを探しますか?」
「いや……探す必要はない。あの子が選んだ道じゃ。我々が口を出すべきではない。」
「分かりました。」
評議会の会議が終わり、オビ=ワンはお辞儀をして退室する。
彼は新しい弟子の下へ向かい、気持ちを切り替えようと足早に歩く。アナキンは同年代のイニシエイトと話していて、オビ=ワンが来るとお辞儀して去っていってしまった。楽しそうな弟子に、彼は何を話していたのかと問う。
「フェラスから、ジェダイのことを聞いていたんです。マスター・クワイ=ガンのことも…」
クワイ=ガンの名を口にした時、アナキンは悲しそうな顔をする。
「彼はなんて?」
「素晴らしいジェダイだって。あと、“彼女”のことも聞きました。」
「彼女?」
「サマンサという人です。いなくなったって。マスター、友達だったんでしょう?」
アナキンの純粋な言葉に、オビ=ワンは寂しげな表情を見せる。
それから、オビ=ワンは弟子にあることを聞いた。
「なぁアナキン、私は友達のはずだ。どうして彼女は何も言ってくれなかったんだと思う?」
「それは……何か嫌なことがあったとか、やりたいことがあるとか。僕が黙って出て行くなら、嫌なことがあった時です。だから、もしかしたら………」
「そうか……ありがとう、アナキン。」
その言葉を聞き、オビ=ワンは肩を落とし背を向ける。
そこで、アナキンは師を呼び止めた。
「マスター、元気出して。その人がマスターのことを友達と思ってるなら、きっと会いに来てくれますよ。」
「そうだな……」
オビ=ワンは弟子に励まされ、彼女を信じることにした。
サマンサはオビ=ワンの話を聞いたり、オビ=ワンもサマンサの相談を聞いたりしていた。だから、オーダーに戻らなくても顔を見せに来ると思っていた。それが友達なのだと。
しかしその後10年経っても、サマンサが姿を現すことはなかった。
やがて、オビ=ワンはサマンサのことを諦めたのだった。
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