【完結】退職(無断)したので、飲食店やります。   作:夭嘉

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兆しを見逃すな

〈ホーガ・フォレスト〉はあれからオルデランに移動し、軌道上で営業を再開した。

 

オルデランにいることは、共和国には言っていない。共和国に言えば、パルパティーン議長にも伝わる。アナキンとの件で、議長は信用できないと再認識したから。

 

防衛艦隊もいないし、運が良かった。

 

あとは嵐が過ぎ去るのを待つだけだ。

 

 

「サム、浮かない顔だな。」

「まぁね……」

 

 

表情に出ていたのか、常連客に指摘されてしまった。

 

あれから、分離派の常連は来ていない。又聞きで聞いた話によれば、グリーヴァスは死んだらしい。分離派を煽って指導するドゥークー伯爵もいない。彼らは出掛ける余裕がないのだろう。

 

 

「いつもの顔が見られないと寂しいと思ってね。」

「そうだな。」

 

 

この店に来る客は私の店のルールを分かってるから、分離派も共和国派も気にしない人が多い。柵無く常連同士でお喋りしていたくらいだった。目の前の常連客、トワイレックの男もその1人で、素直に分離派の常連客を心配していた。

 

 

「おいリック!」

「リック誰。」

「パトリックの短縮形だ。」

「どうしたんだ?」

 

 

配膳を終えたカーターが来て、私と常連客を交互に見る。

 

 

「リック、お前ホロニュース見たか?」

「ああ、見たよ。マスター・ケノービ、すげぇよな。グリーヴァス将軍を倒しちまうなんてな。」

「グリーヴァス将軍はフォース使えねぇだろ。」

「いや、感知能力なくあの強さだぜ?無理だって。」

「カーターって、元パイロットだよね?少しは戦いの心得あるでしょ?」

 

 

カーターに前職の話をすると、2人は私をジッと見る。

 

 

「何?」

「サム、カーターとの付き合いが長いだろ。そろそろ名前で呼んでやったらどうだ?」

「えぇ…」

「嫌なのか!?」

「そうじゃないって。今更名前で呼ぶのもなぁって思ったの。」

 

 

カーターはなぜかショックを受けていた。

 

まぁでも、常連客にも一理ある。なんだかんだ3年程の付き合いだ。少しだけど助けてもらったこともある。

 

私も譲歩すべきだろう。

 

 

「分かった。リック、私もそう呼ぶよ。あんたも“サム”でいいよ。」

「おう。」

「カリ、アズ」

 

 

カリとアズを呼ぶと、2人は私達のところに来る。

 

 

「どうしたの?」

「2人共、これからこの人のことを“リック”って呼んであげて。」

「「え!?」」

「お前らも嫌なのか!?」

「いえ、違いますよ。」

「うん。今更名前で呼ぶのもなぁって。」

「あんたらオーナーと同じこと言ってるぞ。」

 

 

アズは仕方ないとして、カリまで同じことを思っていたなんて驚きだ。

 

私より仲が良いから、わざわざ合わせてくれているのかと思ってた。

 

 

「まぁそういうわけだから、改めてよろしく。」

「はーい。」

「承知しました。」

 

 

そう言って、リックとカリ、アズは仕事に戻っていった。

 

 

「賑やかになったな。」

「元々騒がしい店でしょ。」

「そうじゃねぇって。この店ができた頃と比べてるんだよ。店員も増えたしな。」

「確かに。」

 

 

実はトワイレックのこの男、私が店を始めた頃から来ている常連客だ。店が繁盛したのは、彼のお陰と言っても過言じゃない。トワイレックの彼が口コミを広めてくれて、今の店にまで発展した。彼には感謝しかない。

 

でも、サービスはしない。

 

そういう方針だし、彼も承知の上だ。

 

 

「感謝してるよ。」

「俺はダチに紹介しただけだ。」

「でもありがとう。通い続けてくれることも嬉しいよ。」

「好きで来てるんだ。気にすんな。あと頑張れよ。俺はこの店が好きだ。だから何かあったらいつでも頼ってくれ。」

「それこそ気にしないで。通ってくれるだけで充分だよ。」

 

 

彼は笑って、酒を追加注文する。

 

それから数時間後、閉店して、私達はそれぞれ部屋に戻った。

 

疲れていたのか、私はすぐ眠りに落ちた。

 

そして、また夢を見た。

 

いつか見た、カウンターで誰かと話している夢だ。相変わらず顔は見えない。でもやっぱり親しげに話している。

 

今回は前回と違い、会話が聴こえてくる。

 

 

『そんなに怒るなよ。俺が決めたことだ。』

『怒るなって言う方が無理でしょ。いくら今後の為とはいえ、シンジケートを立ち上げるなんて……』

 

 

夢の中の私は、良心から相手を止めようとしているみたいだ。

 

 

『だが、今後のことを考えたらその方がいいだろ。』

『どこが?子供の為にも馬鹿な考えはやめて。』

 

 

子供……?

 

相手は既婚者で子持ちなのか。本当に、相手は誰なんだろう。予想できないし想像つかない。

 

 

『だが、お前の妹分は賛成してくれたぞ。』

『カリが賛成したの!?』

『改革が必要だって言ってな。』

『悪い方向でね!』

 

 

シンジケート立ち上げに、あのカリが賛成するなんてあり得ない。

 

あり得ないことだらけ。これは夢だって分かってる。でも、リアルすぎる。

 

つまり、未来かもしれない。

 

相手に怒ったところで、私は目を覚ました。

 

夢だと分かっていても、はっきり覚えている。まるで現実の記憶のようだった。まだ起きてないけど、絶対に現実だと思える。

 

いつか分かる日が来るだろう。

 

それがジェダイが滅ぶ前か後か、予期はできないけど。

 

 

サムの子供は……?

  • 父親(次章で登場)と一緒にいる。
  • カリと一緒にいる。
  • カーターと店にいる。
  • その他(活動報告や感想へ)
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