【完結】退職(無断)したので、飲食店やります。   作:夭嘉

47 / 109
失われる命と、新しい命

教えてくれた隊員は仕事に戻り、私はカリが待つ部屋へ向かう。

 

ノックすると、すぐに返事が返ってきた。

 

 

「カリ……」

「………」

「怒ってるよね。」

 

 

私がそう言うと、カリは私を見る。

 

 

「逆に怒ってないとでも?」

「ごめんね。でも、私が決めたことだから。」

「何を?」

「カリ、私が議長に会うって言っても、一緒に来た?」

 

 

ホロニュースの中継は、カリも見たはずだ。議長は共和国を再編して、帝国に変えた。議長は皇帝を名乗り、絶対的支配者になった。

 

私はその皇帝に会いに行ったんだ。

 

 

「どうしてわざわざ会いに行ったの!?危険すぎる!!」

「だから置いていったの。これは私1人の問題だった。カリを巻き込みたくなかったの。それに聖堂に入って、連れていかなくて良かったって思ったよ……」

 

 

カリは私が見たものを想像したのか、視線を逸らす。マイク達の遺体は見せたくない。私も、子供達が殺された光景を見たくなかったのだから。

 

 

「サム、気遣ってくれて嬉しいけど、もう危険な真似はしないで。私にはサムとリック、アズしかいない。家族なんだよ。」

「分かってる。もうあんなことはしない。待っててくれてありがとう。」

 

 

カリは私の目を見つめた後、抱き締めてくる。表情が見えないけど、腰に回された手が震えている。不安にさせていたと、少し後悔した。

 

そこで船が小さく揺れて、どこかに着陸したのを感じた。

 

着いたのはポリス・マサで、どのハイパースペース・レーンからも離れていて、隠れるには最適な場所だ。外縁部の、しかも小惑星帯にあるから、わざわざ探されたりしない。

 

隊員によれば、マスター・ヨーダとオーガナ議員はポリス・マサの施設内に入ったようだった。

 

カリとは和解できたけど、まだ話さないといけないことがある。

 

 

「カリ、聞いてほしいことがあるの。」

「何?」

「議長……皇帝に機密の中身を話した。」

「えっ!?」

「でも、話したのは表面的な部分だけ。もっと危険な話はしてないけど、中身を明かしても、私への敵意は変わらなかった。」

 

 

言いたいことを察したようで、カリの表情が翳る。

 

 

「私も帝国の危険人物リストに入るかもしれない。本当に、私とは行動しない方がいい。私と関係のあるあんたも、リストに入ると思う。私といて危険を招くよりは、一緒にいない方がいい。」

「サム………」

「私達は家族だよ。強い絆がある。それが私とあんたの強みだよ。」

「うん。分かってる。」

 

 

カリの隣に座り、落ち着いた後の私の予定を話した。

 

まず、身を隠す前に一度店に戻らなきゃ。

 

リックは〈ホーガ・フォレスト〉の全てを知らない。もしもの場合と、全幅の信頼を置くリックの為に、教えなければならないことがある。アズも、ツールの1つだ。アズと私のセットで成り立つものもある。

 

全てをリックに託そう。

 

 

「営業続けられるのかな……?」

「大丈夫だと思う。皇帝が警戒してるのは私だから。店はただの箱だと思ってるだろうし。」

 

 

その時、誰かがノックしてきた。

 

カリがドアを開けると、アンティリーズ船長だった。

 

 

「失礼します。マスター・ケノービが戻られました。」

「アミダラ議員は?」

「ご一緒です。」

 

 

私はその言葉を聞いて、一目散に医務室へ走った。

 

 

「サム!!」

 

 

カリも私の後を追い、走ってくる。

 

隊員達の視線には目もくれず、私はひたすら走った。

 

医務室の前に辿り着くと、既にオーガナ議員やマスター達がいた。医療ドロイドがパドメを診ていて、私に気付いた彼女はドロイドに何かを言っていた。そして、医療ドロイドが私達のところへ来る。

 

 

「サマンサ様、アミダラ議員が呼んでおられます。」

「私……?」

「サム、行くんだ。」

「………うん。」

 

 

オビ=ワンに促されて、ドロイドの横を通って中へ入る。

 

アナキンのことは、まだオビ=ワンに聞いていない。殺したかどうかも、私は知らない。でも、アナキンが生きていることは分かる。生きているけど、今は憎悪の塊だ。

 

パドメに何て言えばいいのか分からない。

 

 

「パドメ……」

「ここにいて……」

「私、何の役にも立たないよ。」

「お願いよ……」

 

 

私はパドメの手を取る。安心してもらえるように、と。でも、それが私を打ちのめした。

 

パドメの身体は、すごく冷たい。

 

何より、パドメはフォースが弱くなっている。

 

 

「サマンサ……?」

「ちょっとドロイドと話してくる。すぐ戻るよ。」

 

 

パドメに背を向け、医務室から出る。

 

涙目になっている私に、オビ=ワンは優しく声をかけてくる。

 

 

「サム……」

 

 

議員やオビ=ワン達は、ドロイドから話を聞いたようだった。つまり、パドメは死ぬ。分かっていたことだけど、目の前でパドメの死を見るのは辛い。

 

 

「サマンサ、議員の近くへ行くのじゃ。」

「はい……」

 

 

本来の筋書きなら、オビ=ワンが付き添うはずだ。だけど、パドメと友情を築いたから、その役目は私に回ってきてしまった。必然的に、最期の瞬間に居合わせることになる。

 

再び医務室に入り、私は診台の横に立つ。

 

医療ドロイドが陣痛促進剤を打ち、パドメの分娩が始まった。

 

パドメの苦痛を感じる。出産の苦痛だけじゃない。アナキンの変わり果てた姿を見たことも、苦痛の要因だ。

 

今の私にできることは、何もない。

 

 

サムの子供は……?

  • 父親(次章で登場)と一緒にいる。
  • カリと一緒にいる。
  • カーターと店にいる。
  • その他(活動報告や感想へ)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。