パドメの分娩が終わり、私はハンガーの隅で呆然となっていた。
双子の子供は無事に産まれた。でも、パドメは死んでしまった。アナキンの良心を信じながら、パドメは眠るように逝った。
そして、私達は亡きパドメを連れてナブーへ向かっていた。パドメはナブー代表の議員で、ナブーの民に愛された素晴らしい女王だった。彼女が眠る地は、ナブー以外にない。
気配を感じて見上げると、オビ=ワンがいた。
オビ=ワンは私の前に立つ。
「双子だと知っても驚かなかったな。」
「………」
「どこまで予期していたんだ?」
「………ずっと先。」
そう答えると、オビ=ワンは溜め息を吐く。
「双子のことを知っていたんだな?」
「知ってた。」
「アナキンがシスになることもか?」
「………」
「アミダラ議員の死は、」
「知ってた。全部。」
「………だから状況を理解しろと言ったのか。」
今となっては全て無意味。アナキンは暗黒面に堕ちて、パドメは死んだ。残ったのは子供達だけ。
あらすじを知っていても、状況は良くならない。
「オビ=ワン……知ってても、目の前で死を見るのは辛いんだよ。」
「変わったな、サム。」
「何が…?」
「以前のお前は、何があっても他人事だった。だが、今のお前はより人間らしい。そのまま変わらないでくれ。」
アナキンが変わってしまったから、出てきた言葉だろう。辛いのは、オビ=ワンも同じだ。彼の悲しみが、沸々と伝わってくる。
「私は何も変わってないよ。」
オビ=ワンにそう言って、カリのいる部屋に向かう。
ナブーに着いたら、オーガナ議員とマスター・ヨーダ、オビ=ワンやカリはパドメを見送るだろう。でも私には見送ることはできない。目の前でパドメの死を見るのが、ここまで辛いとは思わなかった。
部屋に入ると、カリは私を見て心配そうに声をかけてくる。
「大丈夫……?」
「疲れたかも……」
「少し休んだら……?」
カリの言葉に甘えて、私はベッドに横になり、目を閉じる。
気が付けば、深い眠りに落ちていた。またいつもの夢を見た。店で親しそうに話している、私と誰かだ。
やっぱり、あれは未来だったんだ。
もう少しで顔が見えそうというところで、私は誰かに起こされた。
「オビ=ワン………?」
視界がはっきりしてきて、起こしたのはオビ=ワンだと認識した。
部屋を見回すけど、カリはいない。
「カリは?」
「1人で去ったよ。また会えるから別れは言わないそうだ。」
「………」
「少しは元気出たか?」
「ちょっとだけ…私も船を降りなきゃ。」
オビ=ワンを見ると、赤ん坊のルークを抱えていた。
「子供は可愛いよねぇ。」
「行き先は知っているんだろう?」
「知ってる。でも行かないよ。」
会いに行けば、皇帝に子供のことを知られてしまう。そうなれば子供だけじゃなく、ラーズ夫妻も危険に曝される。私にそんな馬鹿な真似はできない。
オビ=ワンとも、今度こそお別れだ。
ライトセーバーを分解しようとすると、オビ=ワンは慌てて止めてくる。
「何をしている!?」
「注目を浴びるようなもの、どうにかしなきゃでしょ。」
「分かった。だが、クリスタルは持っていけ。いつか必要になった時の為にな。」
「私はジェダイじゃないって言ってるでしょ。」
「それは分かっている。私はこれ以上誰かを失いたくない。もしもの為に備えておいてほしい。」
オビ=ワンの頼みに、私はライトセーバーを分解して、クリスタルだけを手に取る。残りのパーツは全てダストボックスに落として、クリスタルはポケットに突っ込んだ。これで、どこからどう見ても民間人だ。
「これでいい?」
「ああ。サム、今まですまなかった。」
「急に何?謝られることはないよ。」
「いや、再会したお前に冷たく返した。お前やアナキンの気持ちを、もっと考えるべきだったんだ。」
「私は気にしてないから。寧ろ、謝るなら私の方だよ。出て行く前に、ちゃんと話すべきだった。ごめん。」
謝ると、オビ=ワンはもういいと微笑む。
オビ=ワンとの蟠りは、もう感じられなかった。本当の意味で、和解できた気がする。これでお別れなのに、寂しくなってしまう。
「じゃあ、行くよ。フォースと共にあらんことを、マスター・ケノービ。」
「………フォースと共にあれ、サム。」
オビ=ワンにマスターの敬称を付けると、少し驚かれた。
でも、最初で最後だ。私も生きているかすら分からない。これが最後かもしれないから。
ナブーの1つ手前の星で降ろしてもらい、私は人混みに紛れた。
パドメを見送ることはできない。私の心が落ち着いたら、しっかり見送りたいんだ。現実を受け入れてないのに、彼女に失礼だ。
それに、私にはやらなきゃいけないことがある。
今は生きることを考えよう。
サムの子供は……?
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父親(次章で登場)と一緒にいる。
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カリと一緒にいる。
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カーターと店にいる。
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