【完結】退職(無断)したので、飲食店やります。   作:夭嘉

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クローンの攻撃(Ⅱ)
平穏の終わり


〈ホーガ・フォレスト〉は今日で、開店10周年を迎えた。

 

ありがたいことに、常連はみんな来てくれて、お祝いに高い酒を持ってきたり、たくさん注文をしてくれた。中でも賞金稼ぎの人達は、めちゃくちゃ金を使ってくれた。店を開いて本当に良かったと、しみじみ思った。

 

満席になった頃、隅の席の空気が変わった。

 

何人かの男達が、何かを話している。

 

これは、稀に見る良くないことだ。

 

私の店、私の船をスパイスの取引場所に使われている。私の店のルールその1、スパイスや違法薬物等の持ち込み禁止。それを破った彼らは、出禁だ。

 

そのテーブルに近付き、私は会計端末を叩き置く。

 

 

「あんた達、さっさと帰れ。」

「何だと!?それが客に対する態度か!?」

「スパイスを取引する奴らは客なんかじゃない。店の評判が落ちたらどうしてくれるの?共和国に通報されたい?」

「チッ…!」

「帰るぞ!」

「おっと、待ちなよ。会計してないんだけど?あと、あんたらは出禁だから。」

 

 

私がにっこり笑みを浮かべて言うと、男3人は襲いかかってくる。

 

男2人のナイフを避け、私は彼らを捻り上げて床に叩き付けた。残り1人はナイフではなくブラスターを打ってきて、身を捻ってレーザー弾を避ける。フォース・プッシュして吹っ飛ばすと、男は突然電流に呻いて倒れた。

 

倒れた男の後ろには、アズがいた。

 

男を止めたのは、相棒だった。

 

 

「ありがとう、アズ。」

「仕事ですから。」

 

 

呻く男達を引き摺り、私は彼らのシャトルに放り込む。適当な座標をセットして、シャトルを発進させて強制的に帰らせた。奴らのスパイスは取り上げて、コンテナの中で全部燃やしてやった。

 

二度と来るな!!!

 

共和国に通報?無駄だし、何も変わらないし、面倒。通報なんかしない。

 

 

「記念すべき10周年なのに。」

「サム様、お客様がお呼びです。」

「オーケー、今行く。」

 

 

接客を再開し、嫌なことは忘れて野菜を切る。

 

その時、カウンターで客同士が揉め始めた。

 

 

「言い掛かりだ!」

「本当にそうか?俺に嘘は通用しないぞ。」

 

 

スカコアンの男と、1人の男が言い合いをしていた。

 

 

「奴はどこだ?」

「何も知らないと言っているだろう!」

「いい加減に、」

「いい加減にするのはあんただよ。喧嘩は…外で……」

 

 

男の顔を見て、私は言葉を失った。

 

 

「なんでここに………」

「あ?それはこっちの台詞だ。」

「お前達知り合いか?」

「タンバー、後でスカコに行く。逃げても無駄だからな。」

 

 

スカコアンの男はクレジットを置き、颯爽と逃げていく。

 

残された男、クインラン・ヴォスは私をジッと見る。

 

この10年、ジェダイもシスも来店しなかったのに。なんで今さらこんな偶然が起こるんだよ。しかもクローン戦争直前に。

 

 

「食事に来たんじゃないなら帰って。出口はあっち。」

「違うだろ。お前こそなんでここにいる?」

「ここは私の店なの。邪魔するなら帰ってよ。」

「何だって……?」

 

 

帰る気配のないヴォスに、私は臨時で閉店した。客には酒がなくなったと言って、お願いして帰ってもらった。10周年のお祝いはできたから、店的には私も客も満足だ。

 

客が0になり、私は仕方なくヴォスの正面に座る。

 

アズがお茶を出そうとするが、必要ないと回収させた。

 

 

「待っている間に店名を調べたが、共和国のデータベースにないぞ。」

「当たり前でしょ。営業許可取ってないし。」

「お前なぁ…何かあった時のことを考えたのか?」

「何も起きない。あるとすれば、ジェダイがここに来ることくらい。あんたみたいにね。」

 

 

シンジケートやギャング、海賊には断固とした態度を取っているから問題ない。問題は、ジェダイや元老院議員などが来た時だ。

 

この船は、客に料理や酒を提供するのが目的だ。詮索はさせないし、私も客の事情には首を突っ込まない。スパイスとかを持ち込まれたら論外だけど。

 

そもそも、ジェダイや議員は辺鄙なところで営業してる店には来ない。

 

だからヴォスの来店は予期できなかった。

 

 

「マジで迷惑。で、あのスカコアンを追ってたのは任務?」

「ああ、そうだ。コルサントで、アミダラ議員の暗殺未遂事件があったんだ。議員がドゥークー伯爵じゃないかって言うからよ、評議会が調べろとさ。」

 

 

そういえば、時系列的にエピソード2が始まる頃か。

 

船が爆破されて、影武者のコーデが死んだあの事件だ。アミダラ議員の推測は間違ってないけど、確固たる証拠はまだ出ない。この後待ち受けるのは、ジオノーシスの戦い。

 

その後起きるのは、クローン戦争だ。

 

 

「なんで私の店なの?」

「あいつはここの常連だろ。」

「素性までは知らないしどうでもいい。」

「どうでもいいだと!?ジェダイとしての責任はねぇのか!?」

「だからジェダイやめたじゃん!」

 

 

飲んでいたグラスをテーブルに叩き置き、コックピットへと行く。ヴォスは追いかけてきて、私の腕を掴む。思わずその手を払うと、ヴォスは真っ直ぐ睨んできた。

 

やがて、その視線はコックピットの棚に置かれたライトセーバーに注がれる。

 

 

「分かってねぇな。ジェダイだった事実は変えられない。なんでジェダイをやめた?答え次第じゃ、コルサントに戻ってもらうぞ。」

「別に私欲の為じゃないし良いでしょ。ほっといてよ。」

「俺に嘘は通用しないって知ってるだろ。」

「触らないで!!!」

 

 

ヴォスの能力は知ってる。私の記憶を読まれたら、培ってきたものが無駄になる。せっかくジェダイじゃない人生を送れているのに。

 

ヒルトをテレキネシスで確保し、ヴォスをコックピットの外に追いやる。

 

 

「私の人生の邪魔しないでよ!」

「なら黙って消えるな。自己中心的だと思わねぇのか?」

「あんたがそれ言うわけ!?」

「俺は掟を守ってる。………何か知っているな?」

「もうやめて。出て行って。」

 

 

私がそう言うと、アズがヴォスを突付き始める。

 

 

「いでっ!やめろって!」

「サム様を困らせるな!」

「アズ、もういいよ。ヴォス、早く出て行って。」

「ったく……変わり者が。」

「うるさいよ、超変わり者。」

 

 

ヴォスは店を出て行き、やっと静かになった。

 

ジェダイに店のことがバレてしまった。その内誰か来るだろう。特にオビ=ワンとか。クローン戦争が始まったら尚更だ。

 

噂はいろいろ聞こえる。

 

分離派は、もう戦争の準備を進めている。それ以前に、パルパティーンが議長になった時点で何もかもが手遅れだ。既にシスの計画は始まっている。

 

私は何があっても、絶対に戻らない。

 

せっかく人生をやり直せて、前世でできなかった飲食店経営もできたのに、まだ死にたくない。

 

こんなに充実した人生なんて、なかなか手に入らないんだから。

 

 

サムは独身を貫くべきか否か?

  • 早く結婚しろ。
  • ダメ、独身でいろ。
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