カリ達のシャトルは民間のクルーザーに紛れ、ロザルの地上へと降りた。
船はヴィザーゴの活動拠点から少し離れたところに置いて、3人は歩いて向かった。
「ねぇ、なんでヴィザーゴなの?何か情報でも持ってるの?」
「ちょっと違うかなぁ。」
エズラの問いに、カリは苦笑いする。ケイナンは相変わらず不安そうな表情をしていた。そんな彼に、カリはケイナンの肩を叩く。
「なーに暗い顔してんの?」
「カリ、正直に言ってくれ。なぜサマンサは連絡を拒む?」
ケイナンの言葉に、それまでテンションの高かったカリは悲しげな表情を見せる。
「最後に会った時、言われたんだ。反乱組織に入ったら、必然的にジェダイのように戻ることになるって。私やアソーカみたいに。それが嫌なんだって。」
サマンサは、最初からジェダイ以外の道を求めてきた。それが今からジェダイとして求められるのが嫌だと、カリに言ったのだ。彼女にとって、店が第一だ。店から遠ざかる行為を避けたかったのだ。
「だからカリまで拒んでるの?」
「それもあるけど、一番はヴィザーゴのシンジケート立ち上げを後押ししたから。」
「えっ!?」
「エズラ、知らなかったのか?」
「今のヴィザーゴはあんな感じだけど、最初からシンジケートのボスだったわけじゃないんだよ。」
「おいペレス、聞こえてるからな。」
ヴィザーゴのキャンプに着き、カリ達は立ち止まる。ブロークン・ホーンの面々は作業に戻っていき、ヴィザーゴはカリに要件を問う。彼はエズラとケイナンには目もくれず、真っ直ぐカリを見ていた。
「“あの子”は?」
「ったく…タイミングが悪いぞ。」
「何?喧嘩でもした?」
「昨日叱ったら、拗ねちまってな……」
「とりあえず呼んでよ。」
「お前なぁ……レスリー!!」
「うるせぇ一本角!!」
〈ブロークン・ホーン〉の中から、女の子の声が響く。一本角とは、ヴィザーゴのことだ。ヴィザーゴが出てくるように促すと、デヴァロニアンの女の子が船から出てきた。
その子はカリを見て、目を輝かせる。
「カリお姉ちゃん!!」
元気いっぱいに走ってきて、カリに抱き付く。
「お姉ちゃん………?」
「………」
「2人共、そういう目で見るのやめてくれる?」
「カリお姉ちゃん、どうしたの?」
「待て待て、カリ、説明してくれ。」
ケイナンに説明を求められて、カリはレスリーと呼ばれた子の頭を撫でる。
「レスリー・ヴィザーゴ。この人の娘だよ。」
「何!?」
「ヴィザーゴに子供がいるの!?」
「お前ら失礼だぞ。それで、ペレス。レスリーまで呼んで何なんだ?」
「私達サムを探してるの。」
カリの言葉に、ヴィザーゴは溜め息を吐く。レスリーもサマンサの名前を聞き、寂しそうな、少し泣きそうな、そんな顔になる。カリは2人の反応に、険しい表情をしてしまう。
「ペレス、俺の連絡すら出ないって知ってるだろ。」
「知ってる。だからレスリーを呼んでもらったんだよ。」
「どういうこと?」
「ヴィザーゴとサムは一回くっついてるんだ。その愛の結晶がレスリー。」
「愛の結晶とか言うな。気持ち悪い。」
「ケイナン、俺悪夢を見てるみたいだ。」
「ああ、俺もだ。」
「お前らぶっ飛ばすぞ。」
カリがサマンサに距離を置かれたのは、彼女がヴィザーゴのシンジケート立ち上げを手伝ったからだった。それを伝えたのはヴィザーゴだが、人伝で、しかも旦那から聞かされたとなればショックだろう。更に言えば、この時のサマンサは妊娠が分かったばかりで、計り知れない程のショックだったのだ。
そんな経緯もあり、ヴィザーゴ自身もサマンサに距離を置かれてしまい、状況は複雑化していた。
「レスリーの安全の為、サムは子供を俺に託したが、サム本人は尋問官に追われていてな。あいつは俺達を無視して、1人で逃げ続けるつもりだ。」
「ヴィザーゴも居場所知らないの?」
「ああ。助けてやりたいが、居場所が分からないからな。ペレスはレスリーに居場所を聞きに来たんだろうが、俺達もここ数年会ってねぇんだ。」
カリは目論見が外れて、手詰まりになってしまった。これ以上策が見つからず、カリ達は黙り込んでしまう。だが、エズラは違った。
「ケイナン、サマンサは姉弟子なんだろ?何か思い当たることないの?」
「おじさん!ママのこと知ってるの!?」
「おじさん!?俺はまだ29だ!お兄さんって言え!」
「それで?ママのこと知ってるの?」
「………少しだけな。」
「カリお姉ちゃん、アズには聞いた?」
「アズ?なんで?」
「だって、アズはママのドロイドでしょ?」
そこまで言われて、カリとケイナン、ヴィザーゴはレスリーから視線を逸らす。
その様子に、エズラが思わず突っ込んだ。
「誰もドロイドに確かめなかったの!?」
「だってサムはアズを置いていったんだよ!?」
「やめろカリ!まずはドロイドに確かめるんだ!」
アズルナ20に確かめるべく、カリ達はヴィザーゴ親子に礼を言ってシャトルへ戻っていく。
しかし、まずは〈ホーガ・フォレスト〉を探さなければならない。〈ホーガ・フォレスト〉は営業場所を告知するわけでもなく、転々としている。更に言えば、ルートに決まりもない。
見つけるには、噂を探すしかない。
そして、別の問題もあった。反乱組織に所属するケイナンとカリ、エズラは顔を知られている為、店には入れない。だが、誰かが店内に入らないといけない。
そこで、シャトルの通信機にヴィザーゴから連絡が入った。
『おい!そっちにレスリーいねぇか!?』
「レスリー?」
「そんな…」
「レスリーいないの?」
『飯食おうと思ったら、どこにもいねぇんだ。』
まさかと思い、3人は後ろを見る。
「Hi‼︎」
笑顔のレスリーに、ケイナンは絶叫する。カリは慌ててヴィザーゴに教えるが、既に民間コルベットに紛れて軌道に出た後だった。エズラは引き返そうと言うが、レスリーはそれを断った。
「私もママに会いに行く!」
こうして、レスリーも同行して、4人は一度フェニックス艦隊に戻ることになった。彼らの反応は、やはりケイナン達と同じだった。
カリ達は、確実にサマンサに近付いている。
だが、近付いているのはカリ達だけではなかった。
深い闇が、迫ろうとしていた。