カリとレスリーは町を歩き、サマンサを探してあちこちに視線を向ける。
レスリーは歩きながら、カリに話しかける。
「ねぇカリお姉ちゃん、ママって今大変なの?」
レスリーはシャトルから降りてすぐ、カリにアソーカから聞いたことをオブラートに包んで教えられた。やんわり教えられたものの、レスリーはもう9歳、大人の“大丈夫”を疑う年頃だ。カリも“サマンサは大丈夫”だと言い、レスリーはそれを疑った。
隠し通せないと思ったカリは、暗い部分を除いて話すことにした。
「レスリー、尋問官って知ってる?」
「うん。エズラお兄ちゃん達が会った人達でしょ?」
レスリーは歳の近いエズラに懐き、カリと同じように“お兄ちゃん”と慕っていた。そのエズラから尋問官のことやジェダイのことを聞き、母のサマンサも大昔にジェダイだったことを教えられた。
「そうだよ。サマンサはね、帝国が知らないことをいっぱい知ってるの。だから追われてるんだ。」
「じゃあ早く見つけなきゃ!」
「うん。レスリー、尋問官が出たら子供らしくしてね。」
「私子供だよ?」
「そうじゃなくて、迷子のふりをするとか。私と親子のふりをするとか。」
「分かったよママ!」
「今じゃなくていいからね!?」
2人が商店街に出ると、かなりの人がいた。
タコーボは多民族惑星で、様々な種族が移住していた。サマンサが紛れていてもおかしくはない。カリは商店街を見て確信した。
商店街で何も買わないのもおかしい。カリはそう思い、レスリーにフルーツを買い与える。どこにでも売っているフルーツだったが、レスリーは子供らしく丸齧りして頬張った。
そんなレスリーの様子に、カリは微笑む。
「どうしたの?」
「子供らしいなって。」
「そうしろって言ったのカリお姉ちゃんじゃん!」
「あー、うん。そうなんだけどね……」
その時、レスリーが何かに気付く。走り出そうとするのをカリが慌てて止め、落ち着くように言う。だが、レスリーは興奮したままだった。
「ママがいた!」
「そんな簡単に見つかるわけ……」
「早く行こ!」
「レスリー!」
カリは手を引かれて、裏路地へと入っていく。反対側の通りは人が少なく、カリ達は町の中心部へと来る。レスリーは気付いていないが、カリは嫌な予感がしていた。
こんな簡単にサマンサが現れるはずがない。
カリは半年も探し続けたのだ。サマンサが現れたとしても、不思議ではない。だが、現れてもおかしい。
違和感が、カリの思考を埋め尽くした。
そして、カリの嫌な予感が当たった。
「逃げることないだろ。」
真っ黒な装束に、肩に帝国のシンボルマーク、手には赤いライトセーバー、その姿を見て、カリは後退った。
カリは衝動的に、レスリーを後ろに隠す。
「尋問官………」
「っ!」
カリの呟きに、レスリーはようやく危機感を抱く。これがエズラが言っていた尋問官なのだと。本物を目の前にして、レスリーは恐怖を感じた。
怯えるレスリーに、尋問官はカリの後ろに目を向ける。
「フォース感応力があるな。」
「あんたには関係ない。」
「紹介したっていいだろ。」
「放っておいてよ。」
「見逃すことはできないんだぞ、カリ・ペレス。」
「っ!!」
名前を言われて緊張したカリに、尋問官は笑う。
「本当はホーガンを追っていたんだがな。フォースがお前と会わせてくれたようだ。」
「フォースが?そんなはずない。あんたとは無関係だよ。」
尋問官は先程とは打って変わり、否定するカリに声のトーンを下げる。
「そうか?俺はお前をよく知っている。」
「あんた誰?」
「サード・ブラザーだ。」
「………誰なの?」
「当ててみろよ。」
尋問官は自ら明かす気はない。彼が望むのは、カリが自分で思い出すこと。それから、カリが尋問官の憎しみを知ること。
そして、サマンサとカリ、2人の死だ。
「カリお姉ちゃん……?」
レスリーの声に、カリは逃げることを考えた。尋問官を相手に戦うのは、カリにとって危険な橋だった。だが、見え透いた彼女の考えに尋問官は嘲笑う。
「また逃げるのか?」
「は……?」
「お前はジェダイ聖堂を去り、オーダー66が発令された時も仲間を見捨てた。」
「見捨てたわけじゃない。戻れなかったの。」
「悲鳴を聞いたはずだ。幼いイニシエイトやパダワン達はまだ生きていたんだ。なのに、お前は戻らなかった。」
レスリーは“見捨てた”という言葉に動揺する。しかし、カリからは罠があったと聞いていた。いくら事実を知っていても、動揺は隠し切れなかった。
「お前達を人質に取れば、あの女は来るかもな。」
「捕まる気はないよ。」
「カリお姉ちゃん!!」
その瞬間、尋問官がカリに襲いかかってくる。
カリはライトセーバーを起動させ、尋問官の猛攻を耐える。互角に渡り合うカリに、尋問官は感嘆の声を洩らした。嬉しい計算外れに、彼は快楽を感じ始める。
「ホーガンとは違って、しっかり修行していたんだな。」
「うるさい!!」
カリは怒鳴り、尋問官をフォース・プッシュする。
尋問官は受け身を取り、笑みを浮かべた。彼の視線の先にある腕の通信機が点滅していて、パロット・ドロイドが何かを報告しているようだった。
「ホーガンを見つけたようだ。いや………来たようだ。」
尋問官が上を見て、カリとレスリーも上を見る。それと同時に、尋問官が上へ向かった。フォース・ジャンプし、パロット・ドロイドの報告した方角へ走っていく。
その隙にカリはレスリーの手を引いて、違う道から尋問官の先を目指す。
「カリお姉ちゃん!?」
「きっとサムがいる!助けないと!あいつは危険だよ!」
カリの直感が、あの尋問官は危険だと言っていた。
サマンサが危ない。カリはそう感じて、フォースの声に従って走る。サマンサに嫌われていても、家族は守りたい、と。
やがて、2人はどこかのドッグの前に辿り着く。
「カリ!!」
「アソーカ!?なんでここに!?」
カリ達はアソーカに遭遇する。
だが、カリはそれどころではなかった。
「アソーカ!サムがっ……!!」
「大丈夫よ。」
「どういう意味……?」
「見て。」
アソーカの後ろからサマンサが出てきて、カリはホッとする。
「久しぶり、カリ。」
「ママ!!」
サマンサは微笑み、駆け寄る娘を抱き締めた。
サマンサとアソーカが合流し、サード・ブラザーは仕方なく引き上げる。
しかし、これで終わりではない。サード・ブラザーは次のチャンスを待つことにしたのだ。サマンサもそれを承知の上で、カリ達に合流した。
次の戦いに備え、サマンサは覚悟を決めたのだった。