カリの下へ追い付いた時には、何もかもが遅かった。
サード・ブラザーは正体を明かし、カリの心は悲鳴をあげている。
「カリ!!!」
私が呼んでも、カリは振り向かない。
「随分遅かったな。今のお前と戦ってもつまらないだろう。またな、カリ。」
「モダル!!」
「ホーガン、後悔するといい。」
サード・ブラザーは背を向け、TIEアドバイストに乗って去っていく。
サード・ブラザーは最初から戦う気はなかったんだ。狙いはカリじゃなく、あくまでも私。カリの心を混乱させ、私から離す気だ。
「カリ」
また声をかけるけど、カリは私を無視する。
「カリ、ここを離れないと、」
「私に嘘を吐いたの……?」
「お願い、聞いて。」
「なんで嘘を吐いたの?みんな死んだって、サムは言ったよね?」
振り向いたカリの目は、私への失望に満ちていた。
確かに死んだと言った。でも、私はジェダイ聖堂で違和感を無視した。モダルの遺体がなかったのに、何かがおかしいと思ったのに、なかったことにして気付かないふりをした。
「まだ隠してることない?お願いだから言ってよ。」
「………マイク達を殺したのは………ヴェイダーやクローンじゃない。」
「え……?」
「逃げようとしたマイク達を、モダルが殺した。」
最初にジェダイの使命から逃げた私を恨み、モダルは聖堂の危機で逃げようとした同期を私と重ねた。それがきっかけでヴェイダーの目に留まり、尋問官になったんだ。その後も、モダルは私を恨み続けた。
モダルは、私に置いていかれたと思っている。私がモダルやマイク達を連れていかなかったから、悲惨な運命を迎えた、と。
でも、ジェダイ・オーダーを去るのは自分の意思で決めることだ。
カリも、自分の意思でジェダイをやめたんだ。
「ジェダイ・オーダーを去った私を恨んでる。モダルは逃げるマイク達を、私と重ねたの。」
「でも…!それはサムの見解でしょ!?」
「本人がそう言ったんだよ。」
「っ……」
「カリ!!」
カリは私の制止を聞かず、Aウィングに乗り込む。急いで窓を叩くけど、カリは一向に降りてこない。止むを得ず舵をフォースで抑えると、ようやく私に口を開いた。
「離してよ!!」
「危険なことはしないで!」
「サムが言えること!?家族だと思ってたのに!サムはずっと私に隠し事をしてたんだよ!?それで危険な真似はするなって、いつまでも私を子供扱いしないでよ!!」
カリは強引に舵を押して、行ってしまった。
私はその場に座り込み、拳を握り締める。
カリには知ってほしくなかった。あの子を思ってのことだった。こんなことになるなら、私が逃げずにモダルと戦えば良かったんだ。
後悔先に立たずとは、このことだ。
私にできることは、1つしかない。
「カリ………」
シャトルに乗り込み、エンジンを立ち上げる。
私ができるのは、一刻も早くモダルを見つけること。カリより先に見つけて、モダルを拘束できれば、あの子を助けられる。今の心理状態で、カリはモダルと戦えない。だから、私が先に接触するしかない。
これは、カリを受け入れた私の責任でもある。
〈リベレーター〉に戻ってすぐ、私はフェニックス艦隊から離れて別行動をした。
私がいるせいで、反乱組織に迷惑はかけられない。
そんな中、カリを探し始めて3日後に知らない周波数から通信を受けた。
無視をしていたけど、通信機は何度も受信を知らせた。相手が誰であろうと、出るつもりはない。今はカリが最優先なのだから。
「しつこいな……」
通信機を壊そうと、まず受信音を切ろうとする。
ところが、隣の接続ボタンに触れてしまい、通信が繋がってしまった。
『ちゃんと生きてるか?』
ホログラムに映った人物に、私は思わず睨む。
「ヴォス、死にたいの?」
『死ぬ気は更々ねぇよ。何イライラしてんだ?』
「誰のせいだと思ってんの?」
映った人物、クインラン・ヴォスを睨み付ける。
ヴォスと会ったのは、オーダー66が発令される前のホロ通信越しが最後だ。
「なんで私の連絡先知ってるわけ?」
『カーターに聞いたんだ。それよりも、何があった?お前の妹分がえらくご立腹だぞ。』
「カリに会ったの!?」
『連絡寄越してきたのはあいつだ。』
「待って、ずっと繋がってたの?」
『おう、何度も助けてやったからな。そんなことより、カリに何したんだ?』
仕方なく、ヴォスにサード・ブラザーの話をする。ヴォスはどこか納得したように、カリと話したことを教えてくれた。その内容に、私も腑に落ちた。
「フォースの絆を断つ方法を教えたってわけ?」
『ああ。お前の話を聞くと、ケリーとお前両方から感知されないようにする為みたいだな。』
「カリを見つけられない理由が分かったよ。」
『フォースに頼らず、カリのことを考えて探せ。お前らは家族だろ。カリを信じろ。』
私はカリを信じてる。
それでもまだ、ヴォスは私がカリを信じていないと見ている。
「私はあの子を信じてるよ。」
『そうか?ならなぜ、カリは離れていった?お前がちゃんと信じてないからだろ。カリを子供扱いしてねぇか?あいつも大人だ。昔付いてきた子供じゃなく、1人の人として向き合え。』
「………」
『なんだよ?』
「ヴォスが真剣すぎて怖い。」
『真面目に聞け。』
「聞いてる。」
ヴォスの言葉はひどく胸に刺さった。
カリを突き放していたのは、私の方だ。カリは成長したのに、昔と同じ接し方をしてしまった。守るべき存在だと。
カリは自分の身を守れる。
分かっていたけど、私はそれが見えなくなっていた。
「ヴォス、行き先は聞いてる?」
『………オンダロンだ。』
「教えてくれてありがとう。」
気を付けろ、とヴォスは声をかけてくる。
通信を切り、私はオンダロンの座標を入れる。
これは、私だけの問題じゃない。私とカリ、それからモダルの3人の問題だ。カリだけじゃダメだ。モダルも止めないといけない。
カリの為に、できることをしよう。
例えそれが、危ない橋だとしても………
クインランかっこいいよねw
型破りだけど、かっこいいよねw