ハイパースペースを抜け、シャトルはグリー・アンセルムの軌道へと飛び出す。
モダルの指示なのか、軽クルーザーは攻撃してこない。
好都合ではあるけど、これは罠だ。モダルが何もしないわけがない。私が来て殺されたら、その後にカリも殺される。
モダルの期待には応える気はない。
「っ!!」
暗黒面の気配を追っていくと、ゴザンティ級クルーザーの背面で、カリが拘束されているのを見つけた。隣にはモダルもいる。私が来ることを分かっていたようだった。
船のシステムを落として、シャトルを海に浮かべた後、私はハッチを開けた。
外は悪天候で、豪雨だった。
ハッチからシャトルの背面に上がり、そこからゴザンティ級クルーザーに跳び移る。
「サム…!なんで…!?」
「ほら、来ただろ。」
「逃げてよ!サムは戦わないんでしょ!?」
「私は逃げない。」
ライトセーバーを起動させると、モダルの表情が変わった。
私がライトセーバーを持ってくるなんて、あり得ないと思っていたようだ。
確かに、私は基本ブラスターを使う。オビ=ワンには野蛮と言われるけど、ライトセーバーは使いたくなかったからだ。それに、ライトセーバーを軽んじて持ちたくもない。
でも、フォースがライトセーバーを使えと言っている。
今の私には、ライトセーバーが必要だ。
「勝てないと分かっているだろ。」
「分かってる。私はほとんど訓練をしてない。最悪、あんたに殺されるかもね。」
「だが、お前は来た。死ぬつもりで来たんだな?」
「そんな……サム!!」
カリの悲鳴に構わず、モダルはライトセーバーを振り被ってくる。私はその一撃を防ぎ、フォース・プッシュをした。それから、私はフォーム3で構える。
その構えを見たモダルは、私を睨み付ける。
「てめぇ……!」
「忘れたの?私のマスターはデパ・ビラバだよ。」
「ビラバはクローン・トルーパーに殺された。死んだ女が教えた型を使うのか?」
「マスターはパダワンを守る為に死んだ。私はマスターを尊敬してる。私も見習わないとでしょう?」
笑顔を見せると、モダルは駆けてくる。上、下、突きと、冷静に防いで、赤い刃を受け止め続けた。一向に届かない刃に、モダルは次第に苛立ちを募らせ始める。
更に、お互いがこの豪雨の中でライトセーバーを振らなければならなかった。
「ジェダイですらないお前が!なぜだ!?」
「私はジェダイをやめたけど、教わることは教わってジェダイをやめた。けど、あんたは成長せず、楽な道に逃げた。暗黒面の力にね。」
「馬鹿にするな!暗黒面の力を見せてやる!!」
モダルは怒りを増幅させ、刃に力を乗せてくる。恐らくヴェイダーに教わった技だろう。あの人も、昔はフォーム5を使っていたから。
そうは言っても、私だって型は覚えてる。
力を乗せられた刃に対して、動きを読んでカウンターで弾き返した。
「クソ!!」
叩き返されるとは思わなかったのか、モダルは悪態を吐く。
ただ、私は戦い方を知ってるだけで、場数も少なく、戦いの感覚すら戻っていない。次第にモダルの刃先が擦り始め、焦りを覚えた。焦りと同時に、段々と冷静さが欠けてくる。
「防ぐだけか!?」
「いけない?」
「だったらこれはどうだ!?」
モダルはフォースを使い、カリを吊るすワイヤーを外そうとする。
「やめて!!」
私は咄嗟に、フォースの技を使う。
フォース・プッシュをするように、モダルに両手の平を向けた。だが、モダルはそよ風を受けただけで、本人は何が起きたか理解していない。今度は直にモダルの肩に両手の平を置き、フォースに集中する。
何かを感じたモダルは抵抗し、私はフォース・プッシュされてクルーザーの背面に倒れる。
でも、もう終わっている。
「なんだ……?」
モダルは自分の手を見つめて、ようやく気付く。
そして、手を震わせて私に声を荒げる。
「何をした!?」
「セヴァー・フォース。あんたからフォース感応力を奪った。」
「あり得ない…!そんなことができるはずがない……!」
「モダル………」
カリは悲しそうに、モダルを見る。
モダルは手を伸ばし、フォースを使おうとする。だけど、モダルにはもうフォース感応力はない。テレキネシスも使えないし、認識範囲も通常の人間と同じになった。
私がセヴァー・フォースを使ったから。
「なぜだ!?」
「あんたが暗黒面から離れれば、フォース感応力を失わなかったんだよ。」
「なんだと……?」
「大昔、ジェダイは暗黒面に堕ちた者を、殺さず罰する為にこの技を作ったそうだよ。」
「罰だと?見下すのも大概にしろ!俺は尋問官だ!支配するのは俺だ!!」
刹那、モダルはブラスターを取り出してワイヤーを撃つ。
私は背筋が凍るような感覚に陥った。
ワイヤーが切れ、カリは手錠をされたまま海に落ち、重力で沈んでいく。外は風も吹き始め、嵐のせいで視界は最悪だ。海の中も、視界は良くないだろう。
「今のあいつじゃ泳げないだろうな。」
「っ…」
私は迷うことなく、嵐の海に飛び込んだ。リブリーザーを口に装着し、カリを追って水中に潜っていく。カリの姿を見つけて、私は即座にフォースで捕まえた。
これ以上沈まないようにカリを引き寄せていると、何かが脚を擦った。
上を見ると、モダルがブラスターで撃ってきていた。
『2人共逃さないからな!』
フォース感応力を奪ったとは言っても、相手はノートランだ。どっちにしろ、私では水中戦は不利。今は当たらなくても、その内当ててくるだろう。
私はリブリーザーを外し、カリの口に咥えさせる。次に、ライトセーバーでカリの手錠を壊して外す。私のライトセーバーは水に対応していないから、ヒルトは水中で煙を上げ始めた。
カリを抱き抱えながらレーザー弾を防いでいると、ようやく目を覚ましてくれた。そして、カリは自分がリブリーザーを着けているのに、私が何も着けていないことに真っ青になっていた。
ショート寸前のヒルトをカリに渡した瞬間、私は息が続かなくなった。
段々と意識が遠退き、私は目を閉じてしまう。
もしかしたら死ぬかもしれない。けど、それでもいい。私はカリを信じる。それに戦えない私より、負傷してもフォース感応力のない相手と戦えるカリの方がいい。
私ができることはした。
あとは、カリを信じる。
例え突き放されようと、カリは家族なのだから。