目を覚まして、私はまず状況を確認した。
もう何もかもが最悪だった。
アソーカはシス寺院に残って消えて、ケイナンはモールに視力を奪われて、エズラも暗黒面に一瞬触れた。更に言えば、リックもパイロットとして反乱組織に加入した。その理由が、帝国に〈ホーガ・フォレスト〉を押収されたからだった。
そして数日後、私はリックに笑顔で向き合った。
「それで?」
「悪かった。全部俺のせいだ。」
押収されたと知って、私はすぐリックに会いに行った。
「もういいよ。リックのせいじゃないのは分かってる。モダルの腹いせだから、あんたは悪くない。」
そう、全ては私のせいだ。
腹を括ってモダルの首を落としていれば、こうなることはなかった。それなのに、私はセヴァー・フォースでフォース感応力を奪った。モダルを生かす選択をしたんだ。
「どうしたんだ?」
ただならぬ空気を感じたのか、ケイナンが私とリックに心配そうに声をかける。
「帝国に私の家を取られた。」
「家?」
「船。」
「あぁ…残念だったな。」
「はいはい分かってるよ。そういえばカリは?」
「ヤヴィンに行った。モスマ議員の要請で、マサッシに加わるらしい。」
私が起きる少し前、モスマ議員は反乱同盟宣言をした。これによって、散り散りだった反乱組織が、1つになった。その中には、マサッシ・グループもいる。
カリはモスマ議員に頼まれて、そのグループに加わったんだ。
私もモスマ議員に呼ばれているけど、その申し出は断った。
フェニックス艦隊がいるこのアトロンは、その内攻撃される。1人でも多い方が、助かる人も増える。それに、“フルクラム”の手助けも必要だ。
彼が1人で脱出するのは知ってるけど、モダルの件もあるから、イレギュラーが起きるかもしれない。
「もう行ったんだ。」
「何かあったのか?」
「ずっとカリに避けられてたの。でも、元気なら良い。」
私は、決断したんだ。
帝国と戦うわけじゃない。だけど、ジェダイとしての生き方も受け入れた。店が大事だけど、その店を続ける為、銀河を良くする為に、行動すると決めた。
カリも、始めから戦う道を選んでいる。
あの子の選択も、受け入れないといけない。
「サマンサ、話がある。」
「いいよ。」
リックがインターセプターの整備へ行き、私はケイナンに付いていって、センサー・マーカー前で止まる。
何も言わないケイナンを促すと、彼は重々しく口を開いた。
「あんたは何かが変わった。」
「見えない分、そういうの分かるんだね。」
「何があった?」
「モダルと戦って、決めただけ。ジェダイとしての生き方を受け入れたの。帝国と戦う為じゃなくて、カリやレスリー、あんた達を守る為にね。」
はっきり伝えると、ケイナンは納得したようだった。
「本当に良かったのか?」
「いいの。何、まだ何かあるの?」
「カリが……あんたの戦う姿がマスター・ビラバにそっくりだと言っていた。」
「え……?」
「………」
「ケイナン、私がジェダイのままだったとしても、何も変わらないよ。」
何となく、ケイナンの気持ちが分かった。
“私がジェダイを続けていれば……”
オビ=ワンも、一度はそう言った。でも、私1人増えたところで何も変わらない。マスター・ビラバも救えなかったはずだ。
「自分でも、もっと早く行動していればって思うことはたくさんある。だけど後悔するより、変える為の努力はしてる。」
「すまない……」
「いいよ。あんたの気持ちは、私自身でも痛感してるから。」
その時、嫌なものを感じた。これは、暗黒面だ。冷たく、重いフォースを感じる。
ケイナンは気付いていないらしい。
「少し1人にさせて。」
「その先は、」
「私は大丈夫。」
センサー・マーカーを越え、私は荒野を歩く。
よくよく探ると、誰かの気配を感じた。暗黒面の気配だけど、尋問官じゃない。それに、ここにいるわけでもない。
私を呼んでいる。
30分くらい歩いたところで、私は振り返る。
「私に何の用?」
数歩先にいる男に、鋭く問う。
「お前に聞きたいことがある、サマンサ・ホーガン。」
「知ってる範囲なら答えるよ、モール。」
私を呼んでいたのは、この男。赤い肌全身にタトゥーが彫られ、金色の瞳を持つ、元シスの暗黒卿のモールだ。その目に怒りと憎しみを秘め、私を睨み下ろす。
「ケノービはどこにいる?」
「見つけたんでしょ?私はこれ以上答えられないよ。」
「確かに、ホロクロンはタトゥイーンを示していた。だが、俺には見つけられないのだ。なぜだ?」
「知らないよ。」
「嘘を吐くな!!」
怒声と共に、モールは目の前から消え反対側に現れる。
「嘘じゃない。あんたが見つけられないんなら、死んだんじゃないの?」
「俺が騙されると思うか?」
「だって私も知らないし。ついでに言うと、私はできればオビ=ワンには会いたくない。」
「ならば、お前が探したくなるように仕向けてやろう。」
「やれるものならやってみなよ。」
そう返すと、モールは不気味な笑みを残して消えた。
私の知る筋書きでは、オビ=ワンはまだ表舞台に出てこない。彼には別の仕事がある。オビ=ワンはアナキンの息子、ルークを見守っているのだから。
ケイナンとエズラに頑張ってもらうしかない。
「ん……?」
基地に戻ると、エズラが気配を消してウロウロしていた。
そういえば、エズラがオビ=ワンを探しに行くこと忘れてた。モールの仕業だということも。どちらにも見つけさせてはいけない。
チョッパーを探して、私はひっそりと話しかける。
ヘラ達の目を盗み、密かにお願いをした。
「サマンサ?」
チョッパーがAウィングの1つに乗り込んだ後、ヘラがそのチョッパーを探して声をかけてくる。
「チョッパー知らない?」
「見てないよ。」
「………」
「どうしたの?」
「何か隠してない?」
ヘラは目を細め、私に疑いの視線を向ける。
「隠してないって。あ、AP-5!」
私はAP-5を見つけて、雑用を頼んだ。
その直後、エズラの乗ったAウィングが離陸した。
これには、ケイナンとヘラが頭を抱える。何しろ、ゴーストチームはオビ=ワン探しに反対だったから。それでもエズラはオビ=ワンを諦め切れず、探しに行ってしまった。
私が止めても、エズラはタトゥイーンに行くだろう。
「サマンサ!気付いていたな!」
1人動揺もしていない私に、ケイナンが責め立てる。
「私が止めても、何も変わらないよ。」
「どういうことだ?」
「マスター・ケノービは死んだはずだ。」
「うん、死んでるよ。何も感じられないでしょ?」
「………ああ。」
でも、放っておくわけにはいかない。オビ=ワンは知らないだろうし、モールが血眼で探している。今のモールはオビ=ワンの敵じゃないと思うけど、放置はできない。
ケイナンにすぐ戻ると伝えて、私は司令部へ向かう。
「コマンダー・サトー」
司令部に行き、コマンダーに声をかける。
「インターセプターを一機貸していただけますか?」
「何があった?」
「大した用ではありません。1人なので、インターセプターの方がいいかと思いまして。」
人に会いに行くとだけ伝えて、インターセプターの搭乗許可を得た。
Aウィングに乗り込み、離陸した後にタトゥイーンの座標を入力する。
実は、解きたい謎もあった。エズラ達と合流してから、感じていた違和感だ。本当なら死んでいるはずのモダルに、本来この時代では知られないはずのジェダイの技など、疑問がある。
一番の違和感は、私がフォースの意思を感じること。このまま従えば、どうなるのか知りたい。その問いに答えられるのは、オビ=ワンしかいない。
経験豊富なオビ=ワンなら、きっと答えをくれるはずだ。
この先どうしたらいいのか、私は知りたい。