タトゥイーンの砂漠に降り立ち、私は真っ直ぐオビ=ワンの隠れ家を目指す。
場所を知っているわけじゃない。何となく、だ。辿り着けなくてもいい。まずはエズラを見つけることが先決だから。
延々と歩きながら、空を見上げる。
地平線しか見えない景色に、私は溜め息を吐いた。
「はぁ……」
岩に座り、私は頭を抱える。
来ない方が良かったかもしれない。モールが私をマークしてる。奴は、私かエズラがオビ=ワンを見つけると思っている。
再び歩き出し、私は陽に当たって焼けないようにフードを深く被る。
やがて、地平線に1人の影が浮かび上がる。
「あれは………」
目を細めると、次第に人影がはっきりしてきた。よく見ると、フードを被った人物は何かを抱えている。いや、何かじゃない。誰か、だ。
顔も認識できるようになり、こっちに向かっているのはオビ=ワンだと分かった。
抱えているのは、暑さで倒れたエズラだ。
「サム」
何年ぶりかに聞いた声に、私は謝る。
「謝るくらいならなぜ来た?」
「答えを探しに来たの。」
「全く、この子といい、お前といい………」
「ドロイドはいなかった?」
「既に回収した。こっちだ。」
オビ=ワンに連れられ、私は歩き続ける。
陽が暮れ始めて、暑さで消耗した私の体力は少し戻ってきた。
あっという間に夜になり、オビ=ワンは待っていたデューバックの鞍から着火剤を出し、火を起こす。エズラは傍らに寝かせて、回収されたチョッパーもバッテリーに繋げる。焚き火が安定して、私とオビ=ワンは丸太に腰を下ろす。
そして、オビ=ワンはようやく口を開いた。
「何の答えだ?」
「最近、ずっと違和感がある。」
「フォースとの繋がりが強くなったんだ。」
「どうして?私はジェダイじゃない。」
「関係ない。それがフォースの定めだ。未来の為に、お前はフォースの意思を受け入れたはずだ。」
何も話してないのに、オビ=ワンは的確に指摘してくる。
確かに、私はジェダイじゃないけどジェダイの生き方を受け入れた。それは家族や仲間の為だ。守る為に、私はフォースの意思を受け入れたんだ。
チョッパーはようやく電源が入り、私はエズラが起きるまで待つように言う。
「サム、怖がるな。」
「別に怖くなんか……」
「そうか?私には恐れているように見える。お前は長い間、フォースから離れていた。お前にとっては未知だ。まずは恐れず、知ることから始めるんだ。」
「うん………」
少し沈黙が続いた後、私は口を開く。
「クリスタルを捨てるなって、こうなる予感があったんでしょう?」
「ああ。お前のことだ。まだナブーにも行ってないんだろう?」
「………うん。」
私は未だに、ナブーに行けていない。帝国軍の問題じゃない。ずっと行く勇気がなかったんだ。
「アミダラ議員は、お前を待っているはずだ。」
「っ!」
「前に進め。私のように。」
そこで、エズラが目を覚ました。
ハッとして起き上がり、エズラは私とオビ=ワンを見る。
「サマンサ!?マスター!マスター・ケノービ!!」
「………やはり来るべきではなかったな。サム、彼を連れて帰れ。」
「サマンサ!?生きてるって知ってたの!?」
「死んだなんて一言も言ってないからね。」
「教えてくれたって、」
「聞かれてもないし。」
私の言葉に、エズラは反論する。
「けど……マスターはシスを滅ぼす鍵なんだ!ホロクロンがそう教えたんだ!」
「それは初耳だ。体力が戻ったら帰り道を教えよう。」
「帰り……?俺は警告しに、」
「モールのことか?」
「そう!………知ってたの?」
私も言ってないのに。
でも、オビ=ワンとモールは決着がついていない。モールも延々と彼を探し続けていた。世間では死んだと言われていたのに、だ。
「シスは執念深いからな。サムも知っていて、あえてお前を止めなかったようだがな。」
「え……?」
「僅かな欲に判断を誤ったのだ。」
「ごめん。」
「謝るな。分かっていたことだ。お前は以前、ずっと先まで予期していると言っていただろう。さぁ、帰るんだ。」
「で、でも!帝国を倒す為には貴方の力が必要です!」
エズラは、尚も食い下がる。
「本当にそうか?お前達に必要なものはもう揃っている。それなのに、自らそれを手放そうとしている。」
「じゃあ、なんでホロクロンは俺を導いたの?」
「ホロクロンではない。導いたのはモールだ。奴はお前の心を知り、真実を捻じ曲げた。」
どの道、今回私が止めなくても、どこかでモールはまたエズラを利用する。オビ=ワンもそれに気付いている。だから姿を見せたんだろう。
エズラのせいじゃない。
これもフォースの定めだ。
「今回得をしたのは、ただ1人だけ。」
「俺だ。」
低い声に、私達は顔を上げる。
焚き火の向こうに、モールが立っていた。
「連れてきた俺が片を付けるよ!」
「いや、この古傷は私が正す。もう行け。」
「一緒に戦うよ!サマンサ!!」
「オビ=ワンは大丈夫だよ。」
エズラを無理矢理デューバックに乗せる。その後ろには、チョッパーが鎮座した。だけど、私はデューバックには乗らない。
そんな私に、エズラは声を張り上げる。
「サマンサ!?」
「私は寄り道して帰る。みんなに心配ないって伝えておいて。」
「真っ直ぐ北へ行け。フォースと共にあらんことを。」
「また会おう、我が弟子よ。」
エズラ達が去り、モールは私とオビ=ワンを見る。
「やはり知っていたか。」
「オビ=ワンを殺したがっている男に教えるわけないでしょ。」
「サム、お前も行け。」
「どこへ行く?」
「どこでもない。ただ、別れを告げに行くだけ。」
私は背を向け、インターセプターを置いてきた場所を目指す。
2人の勝負は、一瞬で終わるだろう。何より、オビ=ワンとモールは見ているものが違う。終わりしか見ていないモールに、勝機はない。
やがて、モールが死んだのを感じた。
オビ=ワンは、常に前を向いている。過去はどうあれ、少なくとも今の彼はそうだ。未来の希望を信じている。
私も前に進む時だ。
“パドメ”を見送る時が来た。