ナブーの静かなところに、それはあった。
石に刻まれた名前は、“パドメ・アミダラ”。ナブーの民に愛された、元女王だ。墓石の周りには、たくさんの花が供えられている。
パドメは今も、民に愛されている。
「遅くなってごめんね……」
石の下に眠るパドメに、小さく謝罪した。
パドメのことだから、きっと怒っているだろう。いや、遅くても来たことに喜んでくれるかもしれない。来ることが大事だと言いそうだ。もういないから、パドメが実際になんて言うかは分からない。
だから、私には謝ることしかできない。
心の中で、私はパドメに別れを告げる。
「いつか来ると思ってました。」
その声に、私は振り向く。
意外な人物に、私は彼女に膝を折った。
「女王陛下、勝手に踏み込んでしまい申し訳ございません。」
私に声をかけたのは、ナブーの現君主、ダルネ女王だった。
パドメのお墓が静かな場所にあるのは、王宮の近くだからだ。誰でも入ることはできるけど、昼間は帝国軍がいてほとんど人が来ない。今は陽が沈んでいて、空は暗く、夜になっている。真夜中の墓に来る者は早々いない。トルーパーも警備を外れ、夜は無人になるそうだ。
そんな私に、ダルネ女王は気になって声をかけてきたのだろう。
女王は私に、慌てて立つように言う。
「構いません。貴女のことはオーガナ議員から聞いています。アミダラ議員を看取ったそうですね。」
「表向きは、あの方はジェダイに殺されたとされています。議員本人は否定するはずです。」
「さぞかし無念でしょう……」
「………」
今となっては、パドメの気持ちは聞けない。
「もう行きます。陛下、ありがとうございました。」
「どうか気を付けて。皇帝は、ジェダイの思想が残ることを良しとしていません。」
「承知してます。だから、私はジェダイをやめたんです。それだけでは帝国の追跡を止められませんでしたが……」
それでも無理だと分かったから、私はジェダイの定めを受け入れた。フォースに決められた私の定めだから、拒むことをやめたんだ。
でも、悪いことばかりじゃない。
ダルネ女王に別れを言って、私はナブーを後にした。
帰りのハイパースペースの中で、私はプチ女子会のことを思い出していた。2度目の女子会はできなかったし、隠居も無理だった。またやろうって言っていたのに、もう叶わない。
それでも、カリとアソーカはまだ生きている。
私には、私ができることをしよう。
そうすれば、パドメの弔いにもなる気がする。
「っ……」
泣いてる場合じゃない。
ハイパースペースを抜け、私はようやくアトロンに帰ってきた。
基地に帰還したとシグナルを送って、真っ直ぐ大気圏を抜ける。
チョッパー基地に降りると、ケイナンが怪訝そうな顔で私を出迎えた。何やら不満顔だ。私が1人でいなくなったことが納得できないようだ。
「サマンサ、どこに行っていた?」
「古い友人に別れを告げに行ってた。」
「古い友人……?」
「心配かけてごめんね。もう気持ちは切り替えるよ。」
ケイナンの肩を叩き、私は司令部へと向かう。
帰還した報告をして、私は基地の外へ向かってフラフラと歩く。
「待って!!」
エズラに声をかけられ、私はセンサー・マーカー手前で立ち止まる。
「どうしたの?」
「迷惑かけてごめん。俺は馬鹿だった。マスター・ケノービの言ったこと、身に沁みたよ。」
「反省してるならいいじゃん。」
「………」
「まだあるの?」
私が聞くと、エズラは言いにくそうに口を開いた。
「もしかして、他の生き残ったジェダイの居場所を知ってるの……?」
反乱軍は、もっと戦力が欲しいだろう。特に、ジェダイは希望で、大きな戦力にもなり、反乱軍の士気も上がる。ジェダイを知る者達からすれば、とても心強いはずだ。
だけど、ジェダイは世間から逃れ、帝国にも追われている。
オビ=ワンが良い例だ。
「私に周りを気遣う余裕はないよ。」
「けど、」
「オビ=ワンにも言われたでしょ。必要なものは揃ってる。」
そう、必要なものは揃っている。
私には、別の役割がある。怖がっていては、何も変わらない。私にもできることをしよう。
「エズラ、コマンダーに潜入調査してくるって伝えて。」
「ええ!?」
「フルクラムの補佐をしてくる。」
「ちょっと、サマンサ!待ってよ!」
「よろしくね〜」
エズラに言伝を託し、私は規模が少ない帝国軍基地をデータから探し出す。
いや、規模は関係ない。人が多いところ程、情報は集まる。情報を集めるに越したことはない。
今度は小さなシャトルを借りて、私は帝国軍基地に向かった。
小さな変化を起こそう。
────────
一方、サマンサに丸投げされたエズラは、ケイナンに怒鳴り返されていた。
「なんで行き先を聞かないんだ!?」
「どうしようもなかったんだよ!帰ってきたら本人に文句言ったら?」
「全く……」
ケイナンは頭を抱える。
そこで、ケイナンは代わりの助っ人としてある人物に連絡を取ることにした。
ゴーストに入ると、彼はある人物を呼び出す。ホログラムに映ったのは、トワイレックの女性だった。
通信に出たトワイレックの女性は、不機嫌に応える。
『何か用?私忙しいんだけど。』
「すまない。実はサマンサがいなくなったんだ。カリ、何か聞いてないか?」
トワイレックの女性、カリはケイナンの言葉に考え込む。
サマンサに限って、行方を眩ますなんてあるのだろうか。カリはそう思い、考えを巡らせる。だが、彼女はサマンサの失踪を良い方へと捉えた。
『知らない。でも、反乱軍の為に動いてるのは確かだよ。』
「本当か?」
『何か聞いてるわけじゃない。サムが失踪するなら、何か理由があるがあるはず。その内帰ってくるよ。』
「そうか……」
安堵したような表情のケイナンに、カリは彼に声をかける。
『どうしたの?』
「サマンサはマスター・ビラバが死んだ時、何を感じたのかと……」
『サムは……気絶したよ。とても大きな喪失感を感じたって。サムが死んだら、私もああなるのかな……?』
「サマンサは死なない。そうだろ?」
『………そうだね。』
今度はカリが励まされ、彼女はケイナンに微笑む。
カリは任務に戻ると言って、通信を切る。通信を切られたケイナンは、コマンダーにサマンサが隠密行動に入ったと報告した。
だが、サマンサの居所は誰にも分からない。
彼女の行先を知るのは、フォースだけだった。