【完結】退職(無断)したので、飲食店やります。   作:夭嘉

64 / 109
なんちゃってストーム・トルーパー

無断で潜入調査を始めて、何日か経った。

 

私は着任前のトルーパーの1人を殴り倒し、ちょっと脅して、アーマーを奪ってスローン大提督の旗艦に潜り込んだ。そのトルーパーのシフトを聞き出し、私は何事もなかったかのようにしれっと隊に戻った。

 

トルーパーに扮して、私はスローンの旗艦内で時が来るのを待った。

 

相方のトルーパーと休憩中していると、私達は担当の持ち場へ向かう。艦内はアラートが鳴り響き、慌ただしくなった。走りながらも、相方は話しかけてくる。

 

 

「何事だろうな?」

「さぁ?」

 

 

向かいがてら外を見ると、艦隊はアトロンの軌道上にいた。

 

ようやくその時が来た。

 

エージェント・カラスが捕まり、スローンはチョッパー基地を見つけたらしい。

 

 

「そこの2人!私と来なさい!」

「はい!」

 

 

偶然遭遇したプライス総督に声をかけられ、私達は彼女に同行する。私達はプライスの護衛兼副官として任命され、コマンダーに報告した。そのままブリッジまで付き従い、中に入ると既にカラスが拘束されていた。

 

スローンとプライスが指揮している中、カラスは私を凝視する。

 

 

「何を見ている?」

 

 

相方がカラスに問うが、何でもないと言う。スローンとプライスはそれに気にかけることもなく、戦いに集中していた。だけど、カラスだけは私を見ていた。

 

なんで見てくるのかは分かる。

 

帝国保安局にいたカラスにとって、私は違和感だらけだろう。比べて、他のオペレーターやトルーパー、プライスは気付きはしない。ここに尋問官やヴェイダーがいたらアウトだったけど、彼らがいない限り滅多に見つからない。

 

スローンすら、私を気にかけない。

 

 

「おいお前達、交代の時間だ。」

 

 

カラスの両脇にいたトルーパーが離れ、監視は私達になった。

 

戦いが激化した後、コムルク級ファイターが封鎖を突破した。あれに乗っていたのはエズラだ。援軍を求めて〈ゴースト〉やら〈リベレーター〉に援護され、脱出した。

 

スローンとプライスは失態をした。

 

やがて、フェニックス艦隊は地上へと撤退していった。

 

 

「私も地上へ行く。他の反乱者共は絶対に通すな。」

「お任せを。」

 

 

スローンが出て行き、軌道上は静かになった。

 

正直言って、ここでは何もやることがない。

 

 

「お前欠伸しただろ!」

「してないよ。あんたこそ、もっと緊張感持ったら?」

 

 

小声のやりとりをしていると、カラスの視線を感じた。

 

 

「気を付けた方がいい。油断していると、痛い目に遭うぞ。」

「黙れ!」

 

 

相方が小声でカラスに言い返す。幸い、プライスには聞こえていないようだった。聞こえていたら、いろいろ面倒だ。

 

 

「あのー、発言してよろしいでしょうか?」

「言いなさい。」

「さっきのコムルク、逃がして良かったんですか?」

 

 

あえて聞いてみる。前の世界でも思ったけど、帝国ってガバガバすぎるよね。だからあえて聞いてみようと思ったんだ。

 

 

「援軍を連れてきたところで、たかが知れている。」

「左様ですか……」

 

 

言ってる間に、アトロンの自然に違和感を感じた。会ったことはないけど、あれはベンドゥだ。ベンドゥが反乱組織諸共、帝国軍を攻撃している。

 

そして、エズラも戻ってきた。

 

エズラとサビーヌ達はインターディクターへ攻撃を始めた。

 

 

「何を手間取っている!?」

 

 

プライスは怒りに声を張り上げる。彼女が激しく激昂しているのが分かる。プライドも高い人だから、自軍の失態を許せないんだろう。

 

 

「失態だな。スローンは相当腹を立てるだろう。」

 

 

カラスのわざとらしい台詞に、プライスは彼を睨む。

 

 

「この裏切り者をエアロックから放り出しなさい!!」

 

 

私と相方でカラスを引き摺り、ブリッジを出て行く。

 

これで、邪魔者はいない。

 

私は相方に気付かれないように、カラスの錠を解く。カラスは驚いた顔をするが、何も言ってこなかった。エレベーターが開き、私達は中に乗り込んだ。

 

ドアが閉まった瞬間、私は相方にマインド・トリックをかける。

 

 

「捕虜はエアロックから放り出した。」

「エアロックから放り出した……」

「任務は終わった。」

「任務は終わり……自室に戻る。」

 

 

虚状態になった相方を見て、カラスは訝しげに私を見る。

 

 

「何をした?」

「マインド・トリック。ジェダイの技でちょっと難しいんだけど、こうも簡単とはね。」

 

 

ヘルメットを外すと、カラスは納得したようだった。

 

 

「あんたか。」

「何?」

「変装するならもっと上手くやれ。スローンに気付かれなかったのは運が良い。」

「これでも時間をかけた方だよ?ほら、逃げるよ。」

 

 

エレベーターから降りて、私は脱出ポッドとは反対方向へ向かおうとする。

 

その私を、カラスは慌てて止めた。

 

 

「どこへ行く!?」

「荷物を取りに行くだけ。先に行って。すぐに追い付くから。」

 

 

予め隠しておいた荷物を手に取り、私はカラスがいる脱出ポッドエリアへ向かう。荷物の中身は、私服だ。つまり、着替えだ。

 

だって、ずっとトルーパーのアーマー着ていたくないし。

 

 

「お待たせ!っていうか、先に脱出してても良かったのに。」

 

 

私が脱出ポッドに荷物を放り込むと、カラスが怒鳴ってくる。

 

 

「放置できるか!さっさと乗るんだ!」

「はいはい。」

 

 

カラスと一緒にポッドに入り、彼は射出ボタンを叩く。それから私は荷物を開け、私服を取り出してアーマーを脱いだ。そこで、カラスが慌てて後ろを向く。

 

 

「バッ……何をしている!?」

「着替え。〈ゴースト〉に遭難信号を送って。」

「勘弁してくれ……」

 

 

念の為に言うけど、下着姿じゃない。下は黒いシャツとボトムスを着てる。じゃなきゃこんなところで脱がない。

 

しかも私既婚者だし。

 

カラスは溜め息を吐きながら、遭難信号を〈ゴースト〉に送る。

 

 

「あ、来た。」

「少し黙ってくれないか?」

「ごめんって。」

「潜入までして何をしていた?私を助ける為だけじゃないんだろう?」

「それは無事に離脱してから話すよ。」

 

 

脱出ポッドは〈ゴースト〉に回収され、フェニックス艦隊は次々にハイパースペースへ入る。

 

無事に離脱した後、ヘラ達に詰め寄られたのは言うまでもない。

 

潜入については、後日話すこととなったのだった。

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。