【完結】退職(無断)したので、飲食店やります。   作:夭嘉

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策士に答えを与えてはならない

〈ホーガ・フォレスト〉を探し続けて、1ヶ月が経った。

 

ようやく目当ての貨物船を見つけた。

 

その貨物船のある星に密かに着陸して、シャトルは森の中に隠した。いつもなら解体されるけど、どうやら私の情報が欲しいらしく、解析されていた。だけど、帝国軍に情報は見つけられない。

 

もしも対策として、行った星や顧客名簿、食材などのリストなど、全ての情報はアズに記録させている。

 

それを何を思ったのか、隠しデータでもあると思っているらしく、帝国軍は必死に解析している。

 

 

「じゃああの船はいらねぇだろ。」

 

 

それを教えるとホンドーが引き返そうとして、私は慌てて止めた。

 

この話を知っているのは他に、リックとカリだけだ。

 

 

「教えたら解体されちゃうでしょ。」

「そんなに大事なのか?」

「放り出すよ?」

「悪かったよ。だが、帝国軍は簡単に返しちゃくれんだろうな。」

「だからあんたを呼んだのに。」

「はぁ?」

 

 

リックは首を傾げる。

 

ある作戦を2人に話すと、ホンドーが嫌がった。

 

なぜなら、ホンドーが帝国軍と取引する作戦だから。作戦というのは、リックがホンドーを通じて正式に返還を要請して、ホンドーは代わりに私の嘘の居所を帝国にリークするというものだ。つまり、ホンドーは嘘を教えるわけだから、帝国、もといスローン大提督を怒らせることになる。

 

面倒なことには変わりない。

 

でも、私の船だから返してもらわないと困る。

 

 

「ホンドー、あんたの話は帝国に信じさせやすいでしょ。」

「お前さん、俺が最初にスパイスを持ち込んだことを根に持ってるだろ。」

「それとこれとは別だよ。」

「全く……」

「リック、私はスローンと接触する準備するから、任せたよ。」

 

 

私がシャトルから降りようとすると、リックは納得いかないと抗議する。

 

 

「本当に面と向かって会う気か!?」

「まさか!楽しみにしてて。」

 

 

シャトルを降りて、私は仕掛けを起動させる。歩きながら順番にスイッチを入れ、最後に違うボタンを押した。開けた岩の地に出ると、私は〈キメラ〉にコンタクトを取る。

 

私の顔を見た艦長は驚きつつも、スローンを出した。

 

ホログラム通信で、背景が森や岩山と重なり、位置は特定できないだろう。

 

 

『位置情報がデタラメだな。どこにいる?』

「教えるわけないでしょ。〈ホーガ・フォレスト〉をパトリック・カーターに返して。回収したのはモダルでしょ?私とモダルの戦いに、彼は関係ない。不法に押収したとあれば、常連の議員達が黙ってないよ。」

 

 

私は事実しか言っていない。

 

反乱活動に参加しているのは私で、リックは関係ない。あの店を営業する上で、何も違反はしていないはずだ。今まで帝国が押収しなかったのは、常連の中に議員がいたからだ。その議員達は、押収したと知らない。モダルが勝手に回収したと知られれば、恐らく反感を買う。

 

だって、リック自体は何もしていないのだから。

 

スローンもそれを分かっているはずだ。

 

 

「黙って返すか、傷を負って嫌々返すか。好きな方を選んで。」

『ならば、私の望みを1つ叶えろ。』

「望み?何が欲しいの?」

『サマンサ・ホーガン、面と向かって話をしよう。ホログラムではなく、対人だ。罠にかけるなど、失礼なことはしない。』

 

 

どう考えても、何かを企んでいるようにしか見えない。

 

でも、スローンにも理想はあると思う。

 

 

「会うなら2人で。それ以外は認めない。」

『敵であるお前と会うのに、丸腰で来いと言うのか?』

「何もおかしいことは言ってないよ。あくまで“話すだけ”。話をするだけなんだから、身一つ充分でしょ。」

『………』

「私は譲歩した。あんたは?」

 

 

スローンの答えは、2人で会うというものだった。もちろん、お互い丸腰。武器は持たずに会うという約束だ。

 

通信を切った後、私は1人で会いに行くことになった。リックは船を受け取ってもらい、私はスローンとの待ち合わせ場所に向かった。

 

あ、ホンドーに動いてもらう必要なくなったな。

 

スローンはシャトルで1人待ち合わせ場所に来ていて、私に不服そうな表情を見せる。

 

 

「何か言いたげだね。」

「当然だ。丸腰で来るなど、私には屈辱的だ。」

「へぇ。ところで、どうして私と話したかったの?」

「ジェダイをやめた理由に興味がある。歴史では、あの当時の銀河は平和だった。だがお前は、誰にも話すことなく共和国から離れた。その理由を知りたいのだ。」

 

 

なるほど、スローンはベンドゥやケイナンのことを知りたいのか。ベンドゥに至っては、スローンが発砲したと同時に消えたし。フォースの真髄を知りたいんだろうな。

 

 

「ジェダイというのはただの肩書きだよ。私は、外の世界で自由を謳歌したかっただけ。別に何も悪いことしてないでしょ?」

「では、なぜ密かに消えた?後ろめたさがないのなら、黙って消える必要はなかったはずだ。」

 

 

これは、ジェダイの誰もが私に聞きたかったことだろう。

 

何度も言っているけど、本当に店にやりたかっただけだ。何も言わなかったのは、ジェダイが粛清されるのを知らないふりをしたから。その罪悪感があったから、マスターにも言わなかった。

 

 

「罪悪感がないと言えば嘘になる。歳月を重ねる度に、ジェダイ・オーダーは変わっていったし、去る者にも目を向けられるようになった。そんな中でのジェダイの粛清………少しの罪悪感で、私は静かに去りたかった。」

「その言葉が聞けて、私は満足だ。」

「は?」

「貴様に後悔の念はないものだと思って、図りかねていた。だが、他のジェダイと変わらぬようだ。」

 

 

スローンは満足そうに、背を向けて帰っていく。

 

その後、〈ホーガ・フォレスト〉は正式にリックへ返還され、営業を再開させたリックから常連も戻ったと聞いた。だけど、リックは将校に警告もされたという。私が店に近付けば、営業権は即時剥奪する、と。

 

帝国が倒れるまで、もう店に戻ることはできない。

 

これは、スローンが確信した証明だろう。

 

それこそ、私は後悔に苛まれることになった。

 

スローンの嫌がらせは、ちゃんと効果が出ているのだった。

 

 

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