瓦礫に埋もれる直前、私を呼ぶ声が聴こえた。
でも次の瞬間、私は狭間の世界にいた。
誰かに腕を引かれて、狭間の世界で倒れていた。あの爆発の後だから、状況を理解するまで時間がかかった。冷静になり、ようやく私は生きていると理解する。
「サマンサ!」
倒れた私を、エズラとアソーカが心配そうに見ていた。
エズラの顔を見て、私の行動は無意味だったと思い知った。結局ケイナンは死んで、私は未来を変えられなかった。ケイナンの死は、変えることができない固定点なんだろう。
結果として、フォースの意志は私を見限っていなかったけど、穏やかな人生はくれないらしい。
2人が安堵したのも束の間、エズラは怒り出す。
「なんで心中なんかしたんだよ!!」
「心中?何のこと?」
「サマンサは帝国軍を巻き込んで、ビルを吹っ飛ばしたんだ!」
アソーカの視線に、私は視線を逸らす。
「正気じゃないよ!」
「いいえ、サマンサは意図してやったのよ。」
「え……?」
「アソーカ、よく断言できるね。」
「サマンサが取り乱すなんて有り得ないからよ。」
私もエズラも、アソーカの言葉に疑問符を浮かべる。
「サマンサ、ジェダイ聖堂で二度目のジオノーシス戦を予期したでしょう?」
「あの見送りの時の?よく憶えてるね。」
「ええ。おかしいでしょう?“ついにこの日が来た”なんて、期待していたか、来てほしくなかった時の言葉よ。でも、貴女の言葉はどちらの意味でもない。サマンサはこれからどうなるのか、粗方知っていたんじゃないのかしら?」
なんでこの子深読みしたの?否定できないのが悔しい。
「ビルの爆破も、フォースの意志がどう働くか予想はしてたんじゃない?」
「そうなの!?」
「………半分違う。」
「………」
「反乱組織を助けたくて、私が命を懸ければ未来は変わるかもしれないって、フォースの意志に問いを投げかけたの。まぁ、未来を変えるのは無理だったけど。」
少し沈黙が続いた後、私は辺りを見渡す。
「狭間の世界、ね……」
「知ってるの?」
「話には聞いてた。」
「私は聞いたことがないわ。どういうことなの?」
「………さぁね。」
私達は、彷徨うように狭間の世界を歩く。
だが、問題がある。
「ここには長く留まれないわ。閉じ方は分かる?」
「サビーヌならできる。2人も協力してよ。」
「私は一緒には行けないわ。」
「………」
アソーカが否定すると、後ろで嫌な気配を感じた。
『ならば、余が行こう。』
「っ!!」
脳裏に、アニメで観たあのシーンが浮かんだ。
私は咄嗟に叫ぶ。
「逃げて!!!」
「サマンサ!?」
「早く!!」
『逃がすものか!!』
シディアスは別の空間から、青い炎の紐を伸ばしてくる。その炎は、一歩後ろにいるエズラの足を捕まえた。捕まったエズラは、シディアスの方へ引き摺られていく。
「エズラ!!」
咄嗟に引き返したアソーカが、ライトセーバーで断ち切った。私はエズラを立たせて、必死に足を動かす。炎はすぐ近くまで迫っていた。
「二手に分かれよう!」
「行って!出口に間に合うわ!」
「戻ったら俺を探して!」
「約束する!サマンサ、また会いましょう!」
「気を付けて!」
アソーカは道を逸れ、私とエズラは走り続ける。青い炎はすぐそこまで来ている。寒気が背中に走って、思わず唇を噛んでしまう。
「あれだ!」
「行こう!」
2人で出口に飛び込むと、身体に痛みが襲った。
「サマンサ!?」
また倒れ込んだと分かり、私はつい痛いと漏らす。
だけど、そんな暇はない。私達は帝国軍に囲まれている。サビーヌがエズラを立たせて、エズラは扉を閉める。
ふと、エズラが触れている絵が気になった。
エズラが離れた後も、その絵に魅入ってしまっていた。
「サマンサ!!」
何か聴こえた瞬間、現実に引き戻された。
トレーラーに乗り込み、私はさっき聴こえた“声”を思い出す。
聴こえたのは、“ザ・ワンズ”の声だった。モーティスの神々は、普通の存在じゃない。人智を超えることを為す。今聴こえた声も、その1つだ。
よくある例えだと、化学反応。
私がここに来たことで何かが変わり、声が聴こえてきた。
未来は無数にある選択の1つ。“息子”はそう言った。そして、“娘”は自分達が力の守り手で、半ばにして終わりであり、始まりでもあると言っていた。
これはきっかけに過ぎない。
フォースの定めは避けられない。