【完結】退職(無断)したので、飲食店やります。   作:夭嘉

69 / 109
狭間の世界と、フォースの理。

瓦礫に埋もれる直前、私を呼ぶ声が聴こえた。

 

でも次の瞬間、私は狭間の世界にいた。

 

誰かに腕を引かれて、狭間の世界で倒れていた。あの爆発の後だから、状況を理解するまで時間がかかった。冷静になり、ようやく私は生きていると理解する。

 

 

「サマンサ!」

 

 

倒れた私を、エズラとアソーカが心配そうに見ていた。

 

エズラの顔を見て、私の行動は無意味だったと思い知った。結局ケイナンは死んで、私は未来を変えられなかった。ケイナンの死は、変えることができない固定点なんだろう。

 

結果として、フォースの意志は私を見限っていなかったけど、穏やかな人生はくれないらしい。

 

2人が安堵したのも束の間、エズラは怒り出す。

 

 

「なんで心中なんかしたんだよ!!」

「心中?何のこと?」

「サマンサは帝国軍を巻き込んで、ビルを吹っ飛ばしたんだ!」

 

 

アソーカの視線に、私は視線を逸らす。

 

 

「正気じゃないよ!」

「いいえ、サマンサは意図してやったのよ。」

「え……?」

「アソーカ、よく断言できるね。」

「サマンサが取り乱すなんて有り得ないからよ。」

 

 

私もエズラも、アソーカの言葉に疑問符を浮かべる。

 

 

「サマンサ、ジェダイ聖堂で二度目のジオノーシス戦を予期したでしょう?」

「あの見送りの時の?よく憶えてるね。」

「ええ。おかしいでしょう?“ついにこの日が来た”なんて、期待していたか、来てほしくなかった時の言葉よ。でも、貴女の言葉はどちらの意味でもない。サマンサはこれからどうなるのか、粗方知っていたんじゃないのかしら?」

 

 

なんでこの子深読みしたの?否定できないのが悔しい。

 

 

「ビルの爆破も、フォースの意志がどう働くか予想はしてたんじゃない?」

「そうなの!?」

「………半分違う。」

「………」

「反乱組織を助けたくて、私が命を懸ければ未来は変わるかもしれないって、フォースの意志に問いを投げかけたの。まぁ、未来を変えるのは無理だったけど。」

 

 

少し沈黙が続いた後、私は辺りを見渡す。

 

 

「狭間の世界、ね……」

「知ってるの?」

「話には聞いてた。」

「私は聞いたことがないわ。どういうことなの?」

「………さぁね。」

 

 

私達は、彷徨うように狭間の世界を歩く。

 

だが、問題がある。

 

 

「ここには長く留まれないわ。閉じ方は分かる?」

「サビーヌならできる。2人も協力してよ。」

「私は一緒には行けないわ。」

「………」

 

 

アソーカが否定すると、後ろで嫌な気配を感じた。

 

 

『ならば、余が行こう。』

「っ!!」

 

 

脳裏に、アニメで観たあのシーンが浮かんだ。

 

私は咄嗟に叫ぶ。

 

 

「逃げて!!!」

「サマンサ!?」

「早く!!」

『逃がすものか!!』

 

 

シディアスは別の空間から、青い炎の紐を伸ばしてくる。その炎は、一歩後ろにいるエズラの足を捕まえた。捕まったエズラは、シディアスの方へ引き摺られていく。

 

 

「エズラ!!」

 

 

咄嗟に引き返したアソーカが、ライトセーバーで断ち切った。私はエズラを立たせて、必死に足を動かす。炎はすぐ近くまで迫っていた。

 

 

「二手に分かれよう!」

「行って!出口に間に合うわ!」

「戻ったら俺を探して!」

「約束する!サマンサ、また会いましょう!」

「気を付けて!」

 

 

アソーカは道を逸れ、私とエズラは走り続ける。青い炎はすぐそこまで来ている。寒気が背中に走って、思わず唇を噛んでしまう。

 

 

「あれだ!」

「行こう!」

 

 

2人で出口に飛び込むと、身体に痛みが襲った。

 

 

「サマンサ!?」

 

 

また倒れ込んだと分かり、私はつい痛いと漏らす。

 

だけど、そんな暇はない。私達は帝国軍に囲まれている。サビーヌがエズラを立たせて、エズラは扉を閉める。

 

ふと、エズラが触れている絵が気になった。

 

エズラが離れた後も、その絵に魅入ってしまっていた。

 

 

「サマンサ!!」

 

 

何か聴こえた瞬間、現実に引き戻された。

 

トレーラーに乗り込み、私はさっき聴こえた“声”を思い出す。

 

聴こえたのは、“ザ・ワンズ”の声だった。モーティスの神々は、普通の存在じゃない。人智を超えることを為す。今聴こえた声も、その1つだ。

 

よくある例えだと、化学反応。

 

私がここに来たことで何かが変わり、声が聴こえてきた。

 

未来は無数にある選択の1つ。“息子”はそう言った。そして、“娘”は自分達が力の守り手で、半ばにして終わりであり、始まりでもあると言っていた。

 

これはきっかけに過ぎない。

 

フォースの定めは避けられない。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。