【完結】退職(無断)したので、飲食店やります。   作:夭嘉

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迫る波は、やがて大きく……

翌日、私はいつも通りに開店した。

 

客入りもいつも通りで、安定した日常だ。この生活を手放すくらいなら、ジェダイに戻りたくない。私は、私の自由に生きる。

 

フォースの意志なんて関係ない。

 

 

「ん……?」

 

 

店の隅が騒がしくなり、段々と人集りができていく。

 

 

「どうしたの?」

「おぉサム、これ見てくれよ。」

 

 

常連の1人が、ホロニュースを私に見せる。

 

ニュースにはアミダラ議員の暗殺未遂事件で、共和国の軍隊創設法案の投票日が延期したと発表されていた。

 

なぜ常連達が安堵しているかと言うと、共和国軍ができれば、仕事がいつも通りとはいかなくなる。賞金稼ぎ、ギャング、シンジケート、地下組織、あらゆる者の生活が変わる。もちろん私の店も、今までと同じとはいかない。

 

何より、共和国に営業許可取ってないからね。

 

今まではジェダイが平和維持してきたけど、元老院から軍隊創設の声が出たということは、恐らく離れていくジェダイが多いということだろう。

 

 

「サムは共和国軍があった方が安心か?」

「そんなわけない!もし共和国軍ができたら、戦争が起きるかもしれないし、営業許可を取る羽目になったらあんた達も受け入れられないんだよ?」

「それは困るな。俺達はあんたが好きで店に来てるんだ。飯はどこでも食えるが、サムはあんた1人だからな。」

「嬉しいね。よし、決めた。」

 

 

プロジェクターの周りにいる客が、一斉に私を見る。

 

 

「軍ができても、共和国に営業許可は取らない!」

「大丈夫なのか……?」

「大丈夫だよ。ジェダイが来ても、脅して帰らせてやるから。店はやめない。絶対。」

 

 

意志表明をすると、客達は私を応援してくれると言う。これが10年かけて培った私の信頼だ。本当に、飲食店を始めて良かった。

 

 

「談笑に混じってごめんね。ゆっくりしていって。」

「おう、気にするな。」

「いつでも混じりに来い。」

「ありがとう。」

 

 

仕事に戻り、私は注文の料理をせっせと作る。

 

私が共和国の営業許可を取らないと決めた以上、客も客で来にくくなるはずだ。共和国が何かする前に、何とかしなきゃ。営業方針は変えないけど、営業のやり方は変えないといけない。

 

せっかく貯蓄もできたし、何か手を打とう。

 

 

「注文です。メニューCのアルコールボトル、一通り出ます。」

「え、結構な値段するのに?」

「お気持ちだそうです。」

「分かった。アズ、持っていって。」

 

 

その後も、客は売上になるような注文もしてくれた。ありがたいことだ。私も客の期待に応えなきゃ。

 

まずは人脈を利用しよう。

 

閉店後、私は営業を続ける為にあちこちに飛び回った。交渉の末、味方を増やし、何かあっても営業を続けられるように逃げ道をできるだけ作った。良い方向へ行くとは限らない。それでも、逃げ道があると考えるだけで安心はできる。

 

その為に客の信頼を得てきたんだ。

 

 

「サム様、やけに静かですね。」

 

 

ひと段落つき、私はコックピットの操縦席でワインを飲んでいた。

 

ボーッとしていると、アズがブランケットを持ってきてくれた。

 

 

「どうされたんですか?心此処に在らず、ですよ。」

「アズ、戦争が始まるかもしれない。」

「ですが、貴女はオーダーを去りました。サム様が気に掛けることではありません。」

「そうだね……」

 

 

綺麗な緑色の星を眺めて、私はウトウトし始める。

 

このまま平穏が続けばいいのに。

 

────────

 

一方その頃、ジェダイ最高評議会では議論が繰り広げられていた。

 

 

「ジェダイの数を増やすには、やはり育成が不可欠だ。」

「何人かのジェダイを呼び戻すのはどうだろうか?」

 

 

ウィンドゥの言葉に、ムンディが提案する。

 

ナブーの事件から10年。この10年だけでも、少なくない数のジェダイがオーダーから離れていた。ドゥークーやサマンサもその1人だ。

 

 

「大体の者は所在が分かっていないが、つい先日、ホーガンの居所が明らかになった。」

「クインランがサマンサに遭遇したそうじゃな。改造した船で飲食店を経営しておるという……」

「マスター・ヨーダ、何か懸念でも?」

 

 

評議会の面々に、ヨーダは考え込む。

 

オーダーを離れた者達には、それぞれ理由がある。当然サマンサにも、理由がある。ヨーダはその理由を考え、呼び戻すべきか悩んだ。

 

 

「クインランはサマンサのことを何と?」

「放置するべきではない、と。確かにドゥークー伯爵も懸念材料だが、サマンサには危うい面があると推察していた。」

 

 

目を閉じ、ヨーダはサマンサを見ようとするが、何も感じられずフォース・サイトを断念した。

 

 

「確かめる必要があるようじゃ。」

「では、遣いを出しましょう。」

「経験のあるジェダイを行かせるべきでしょう。」

「ならば、サマンサを見つけたクインランに行かせよう。」

 

 

評議会は解散し、ヨーダは1人で再び瞑想を試みる。

 

だが暗黒面のせいで見えず、溜め息を吐いてしまう。ヨーダの懸念はサマンサだけではなく、彼女自身の身も案じていた。ジェダイだけが関わっているわけではない。

 

そう、銀河中全ての者が巻き込まれるのだ。

 

サマンサも例外ではない。

 

ヨーダは、迫り来る闇を感じていた。

 

 

サムは独身を貫くべきか否か?

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