娘といる旦那のところへ送ってもらい、〈ゴースト〉はエズラとサビーヌも降ろして去っていった。
レスリー達がいるのは、ロザルの南半球にある断崖住宅で、エズラ達がロズ=ウルフに案内されたところだった。娘が私に気付き、真っ先に駆け寄ってくる。その後に続いて、トリーが目を潤ませて私の下へと来た。
他の者も私の姿に驚き、基地は騒めく。
「サム、何があった………?」
トリーの言葉に、私は重い口を開く。
「いろいろあって………心配かけてごめん。」
「心配どころじゃなかったんだぞ。全く……俺がどれだけ泣いたか………」
「泣いたの?」
「なっ……泣いてねぇ!」
「でも今泣いたって、」
「泣いてねぇって言ってるだろ!」
「泣いたって言ったよ。でもパパ泣いてたよね?」
「レスリー!!」
娘の茶化しに、真っ赤になるトリー。
その後ろから、今度は違う人物が現れた。
“ライダー・アザディ”
彼はロザルの元総督で、帝国初期にエズラの両親を助けて投獄されていた。エズラのご両親は、他の囚人を逃して亡くなった。その時逃げた囚人の1人が、アザディ元総督だ。
彼は旦那の前に出て、丁寧な挨拶をする。
「話は聞いている。よくぞ来られた。」
「ありがとう。」
中に案内されて、私はライダーとトリー、2人と向き合って座る。
レスリーは席には着けず、話から外させた。
「ロザル襲撃の作戦から外されたと、ヴィザーゴから聞いた。そして、外して正解だとケイナンが言っていた。同時に、ケイナンは死ぬ直前に申し訳なかった、と。」
「………」
ケイナンは、私に罪悪感を抱いていたらしい。罪悪感を抱くくらいなら、私を拒まないでほしかった。謝罪なんかいらないから、話をさせてほしかった。
「サム、俺も外されて良かったと思っている。あの場にいれば、お前も死んでいたかもしれねぇ。」
「でも、ケイナンは死んだ。」
「エズラから聞いたが、ケイナンの姉弟子なんだろう?気持ちは察するが、君が彼を想うように、彼も君を案じていた。それを忘れないでくれ。」
私は静かに頷く。
〈ゴースト〉でも言われた。
ケイナンは、クローン戦争期の私を知っている。私が店に執着していたことも、他に望みもなく、店と、カリやリック達を大切にしていたことも。そして、ジェダイの生き方を拒んでいることも。
それが私の望む幸せだったから。
だから、ケイナンは私を遠ざけた。
「ケイナンにも幸せになってほしかった。」
「彼は君の気持ちを分かっているだろう。」
「うん……」
「サム、本題だ。」
ヴィザーゴがそう言うと、席を外させたはずのレスリーが来る。
「レスリー………?」
「あのねママ、私も戦いたいの。」
「ダメに決まってるでしょ!」
「でも、エズラも7歳で1人生き抜いたよ?」
「それは…!エズラの時と状況が違う!」
「同じだよ。帝国がみんなを苦しめてる。ママも店ができなくて、悲しそうだった。私は店にいるママを知らないけど、リックおじさんがママは店にいるべきだって。」
それから、レスリーはとんでもないことを言い放つ。
「だからね、ママ。〈ホーガ・フォレスト〉に乗って。」
「待って………ここにあるの?」
「うん!」
「………」
唖然となっていると、ライダーが苦笑する。
「パトリックは君の死を聞いて、反乱活動に参加すると決めたんだ。」
「スローンは?」
「手出しはできねぇさ。〈ホーガ・フォレスト〉は議員様の行きつけだ。リックはあんたの営業方針を貫いてきたんだ。何かすれば議員様が黙っちゃいねぇ。」
「そうだね………」
私は頷き、レスリーとトリーを伴って、〈ホーガ・フォレスト〉へと向かう。
懐かしの船は、何も変わっていなかった。設備もシステムも変わっていない。私の船だ。
中に入ると、アズが私達を出迎えてくれた。
「サム様!!」
「アズ、店をありがとう。」
「俺には感謝無しか?」
「リック……」
床下から顔を覗かせたリックが、不満そうに私を見る。
リックは配線を直していたらしい。
「感謝してるよ。ありがとう。」
「感謝するなら初対面で感謝してほしかったな。」
「パトリック、それは違うだろ。」
「トリー、リックはこういう奴なんだよ。」
「そりゃどういう意味だ!?」
「初対面で元ジェダイを口説くチンピラなんて早々いないよ?」
「ほぅ?」
「サム!!!」
楽しそうな笑みを浮かべるトリーに、リックは逃げていく。割と本気な父親に、レスリーが慌てて追いかけていった。そんな3人に頬を緩ませていると、ライダーが声をかけてくる。
「もう1つ、伝えなければならないことがある。」
「?」
彼の言葉と表情に、私はライダーに向き直る。
ヘラ達は、ロザル襲撃に備えて準備をしていた。エズラとケイナンの為に。エズラ自身も、戦う気でいる。
これがスローンをロザルから離す、エズラの作戦だ。この戦いで、エズラはスローンを道連れにしてパーギルと消える。作戦の準備が始まった今、エズラの考えと決意は変わらない。
私は、私にできることをしよう。
「教えてくれてありがとう。」
背を向けると、ライダーは私を呼び止める。
「一体何をするつもりだ?」
「私にしかできないこと。」
私は、そのまま〈ホーガ・フォレスト〉のコックピットへ入る。
制御パネルからパスコードを入れて、店用のプログラムを開く。そこからメッセージを打ち込み、常連全てに発信した。送信が完了して、私はアズを呼び出す。
「サム様?」
「アズ、ジェダイの機密は全て消して。」
「ええ!?マスター・ヨーダとの約束はどうなるんです!?」
「マスターと約束したのは、ジェダイの存在を見守ること。私の役目は終わった。だから、残す必要はないの。」
「………畏まりました。」
アズは順番にデータを消していき、最後にはアズ自身も閲覧した機密データを削除した。バックアップもない。これで、データの漏洩は防げる。
店にも、仕掛けを施した。
後は、常連の反応次第だ。
上手く転がることを祈ろう。
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今後の営業について
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サマンサ・ホーガン は
〈ホーガ・フォレスト〉に戻り、
通常通り営業。
今後も帝国軍、反乱組織関係なく
入店可能。
ただし、私、
サマンサ・ホーガン自身は
反乱組織に加盟。
故に、
敵意を持った者は入店不可。
以上を了承しての入店を求む。
S.H
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