ホンドーの悪知恵で封鎖を通り抜けた後、〈ゴースト〉はエズラ達のいる基地へ真っ直ぐ向かった。
そこは既に戦闘中で、私達はすぐに援護した。私とカラス、ウォルフとグレガー、レックスの5人で駆け降りる。レスリーは〈ゴースト〉で待機させた。
とても不本意だけど、エズラの為に娘をホンドーに任せることにした。
プライスはハッチから降りてきた私を見ると、笑みを浮かべる。
「サマンサ・ホーガン!ようやく会えたわね!やっと反乱者らしい行動を見せたじゃない!」
「嫌な奴。」
戦いでごちゃ混ぜの中、私とプライスは銃で撃ち合い隠れながら話をする。
「残念だけど、今回の私は反乱の為だけに来たわけじゃない。」
「へぇ?」
「私は弟弟子の為に来たの。」
そう言うと、プライスは鼻で笑う。
「ジェダイは復讐しないはずでは?」
「私はジェダイじゃない。それに、復讐じゃない。私がやろうとしているのは、弔い戦。」
「は?」
覚悟を決め、コンテナの陰から出てプライス目掛けて走る。しかし次の瞬間、近くに転がってきたグレネードが爆発し、私は吹っ飛ばされてしまった。すぐに立ち上がるものの、私達は圧されてしまっていた。
トリーと背中合わせになり、2人で二の足を踏む。
「サム!このままじゃ無理だ!」
「分かってるよ!」
「2人共!洞窟に来て!」
エズラに呼ばれて、私達は洞窟へ駆け込む。
洞窟に入ると、ロズ=ウルフ達がいた。その内の1匹が私の前に出てきて、思わず後退ってしまった。トルーパー達の声がして、エズラは先頭に立ち、彼らを待ち受ける。
追い付いた追跡者のルクを前に、エズラはフォースに集中する。
「お前の軍隊はどこだ、ジェダイ?」
ルクの問いには答えず、エズラは無言でライトセーバーを起動させる。そして、ロズ=ウルフ達が敵を襲い始めた。逃げ出す帝国軍に、エズラ達もウルフ達を追う。
私も追おうとしたけど、ふと不思議な気配を背後に感じて立ち止まる。
「っ!!」
気配の正体は、大きなロズ=ウルフだった。
「貴方は………」
「デューム………」
これが、あの“デューム”という狼か。ロズ=ウルフの中で、唯一喋るウルフだ。このウルフはエズラに助けを求めたことがある。
そのウルフが、今目の前にいる。
“デューム”が言いたいことが伝わってくる。
「分かってるよ。ロザルを守る。」
ロズ=ウルフは、ロザルを救おうとするエズラの為に助けてくれる。私は、そのエズラを助ける。エズラが去るとしても、何もせずに見届けなきゃいけない。
それがフォースが決めた、エズラの行く末だから。
「復讐はしない。私はジェダイじゃないけど、報復は絶対にしない。もしケイナンがいたら、止めるだろうから。」
エズラとケイナンの為に………
洞窟から出ると、帝国は完敗していた。トルーパーは武器を取り上げられて、ゼブに手錠をかけられている。プライスに関しては、エズラとヘラ、ライダーに手錠され、跪いていた。
私が寄ると、ヘラが声をかけてくる。
「サマンサ、彼女に何か言うことは?」
「山程あるけど、とりあえず1つだけ言っていい?」
「ええ。」
「何よ…?」
「一度だけ〈ホーガ・フォレスト〉に来たよね?」
エズラ達が驚く中、プライスは来店を認めた。
「そんな昔のことを………」
「そうだね。あんたが総督になる前のことだもんね。まぁ、来店について咎める気はないよ。」
「なら何なの?また来いって言いたいわけ?」
「違う。二度と来ないで。」
それは、出禁通告だった。
来店したことは問題じゃない。問題なのは、その後。プライスは店にケチを付けて、お代を全額払わず帰っていったんだ。アズとリックが止めたにも関わらず、だ。
帝国が営業許可をしているからと、勝手に金額を訂正し、部下を連れて出て行ったんだ。
リックから聞いた時はちょっとムカついたけど、今はどうでもいい。
だからプライスは出禁にして、助けないと決めた。
「お代を払ってないの、知ってるからね。」
「今更何を言う?私は代金なんか、」
「別に払わなくていい。」
「は?」
「お代は払わなくていい。その代わり、これからあんたがどうなろうと、私は助けない。ここの狼に殺されようとしてもね。」
プライスは私が怒っていると分かっても、虚勢を張る。
「お前の脅しなんて怖くもないわ!寧ろお前が帝国を恐れるべきだ。」
「私は本当に恐ろしいものを知ってる。プライス、ただの人間で良かったね?」
プライスがフォース感応者なら、暗黒面に呑まれていただろう。暗黒面に堕ちれば、蟻地獄のように呑まれてしまう。そうなれば抜け出せない。
暗黒面は、とても恐ろしい。
中途半端な私でさえ、暗黒面が恐ろしいのだから。
「ママ!」
〈ゴースト〉に入ると、レスリーが抱き付いてくる。
「私もちゃんと戦ったよ!」
「ありがとう。」
「ホンドーがたくさん教えてくれたんだ!」
「へぇ。」
ホンドーを見ると、罰が悪そうに顔を背ける。
「娘を見ててくれてありがとう。」
「別にいいさ。じゃあ、また後でな!」
ホンドーは砲台から出て行き、私は壁に寄りかかる。
「ママ……?」
「レスリー、成長したね。」
「どうしたの?」
「ママのライトセーバー、持っててくれる?」
「なんで!?」
ライトセーバーを差し出すと、レスリーは嫌がった。アソーカから、ライトセーバーがどういうものか聞いたらしい。娘はライトセーバーを受け取るのをひたすら拒んだ。
私にとって、ライトセーバーはただの武器同然だった。でも最近、私が私らしくない気がして、心の奥でライトセーバーを所持することに悩み始めていた。
“ジェダイをやめる”
そう決めてオーダーを去ったはずなのに、私はライトセーバーを握って戦っている。
だから、ライトセーバーはもう手放そうと思う。
「私にライトセーバーは必要ないの。これからも、私は私の人生を生きたい。パパやレスリーの為にね。だから、ライトセーバーを手放すの。」
「ママ………」
「レスリーなら、私のライトセーバーを託せる。」
「もし身の危険を感じたら………」
「大丈夫。パパもいるし、自衛はできるよ。」
そう言うと、レスリーは私のライトセーバーを手に取る。
「大事に使うね!」
笑顔で言う娘に、私も微笑む。
〈ゴースト〉を降りて、トリーが私を見るとなぜか安堵したような顔をしていた。
次は、プライスを利用する作戦だ。プライスを捕虜にしたのには理由がある。あとは、実行に移すだけ。
勇気を出す時だ。