間髪入れずに、ミラーはナイフで切り付けてくる。私は冷静に動きを読みながら、ミラーのナイフを避け続ける。奴は反撃しない私に、苛立ちを募らせ始めた。
避けるだけで何もしない私に、ミラーは小さいナイフを飛ばしてくる。
対する私の武器は、ホルスターにある小さなブラスターだけ。
「このっ……!」
ミラーはナイフを突いてきて、私はそれをひらりと躱す。そのナイフは私の後ろの壁に突き刺さり、ミラーは舌打ちをして拳を振り上げてきた。手の平でその拳を受け止めると、弾けたような音が辺りに響いた。
「な、なに……!?」
「何度やっても変わらないよ。」
言葉の通り、ミラーは何度も拳を突いてくるが、私は同じように手の平で力を霧散させて受け止める。
「クソ……!」
「だから言ったでしょ。」
「ジェダイの成り損ないのくせに!!」
「だからこそだよ。あんたに私は殺せない。諦めなよ。」
「ふざけるな!俺は今までとは違うんだ!」
「どう違うの?」
「さっさと死ね!!」
今度は伸縮式のエレクトロ・スタッフで襲いかかってきた。その先端は高圧の電流が走っていて、一度でも受けたら動きを止められてしまう。決して触れてはいけない。
頭上に振り下ろそうとしたスタッフをテレキネシスで捉え、私は両手でミラーの動きを止めた。
受け止めた後、私は全力でミラーをフォース・プッシュする。
「っ!?」
押し飛ばされたミラーは地面に転がり、地面に叩き付けられた痛みで呻く。
だけど、奴は転がったまま不気味に笑い始める。
「私まだ真面目なんだけど。」
「あぁ、悪い。だが、笑わずにはいられなくてな。」
「へぇ?」
「ジェダイじゃないと言ってお得意のライトセーバーを置いてきたにも関わらず、相変わらずジェダイみたいな戦い方をしてやがる。」
「ジェダイだけがフォースを使えるわけじゃないんだよ。」
私は元ジェダイだけど、カリはジェダイですらなかった。あの子はどのジェダイにも師事しないで、オーダーを去った私についてきた。ただ、ジェダイではないけど、カリはフォース感応者だ。
ジェダイでなくても、フォースを感じ取ることができる者もいるんだ。
例えば、ラサットの予言者みたいに。
「フォースが何だって言うんだ?ジェダイはフォースを感じるってのに、滅んだんだぞ。」
ミラーはふらつきながらも立ち上がる。
「フォースには意志があるの。ジェダイは滅ぶ運命だった。フォースの意志がそう定めたから。」
「馬鹿馬鹿し……っ!?」
「っ!!」
再び戦いに入ろうとすると、ミラーの両腕がオーバーヒートし始める。奴の腕は煙を上げ、得体の知れない苦痛に悶え出した。ミラーは苦痛の声を漏らし、自身の身体を抱えるように両肩を押さえて倒れてしまう。
「くっ…なん…だ……!?」
「だから言ったのに。」
「どういうことだ!何を知っている!?」
「私の“知り合い”がね、反逆防止で皇帝に粗悪なサイボーグの身体を与えられたの。今じゃそのサイボーグがないと生きられないし、最盛期に比べてかなり衰えてる。あんたはそれと同じ。」
「何だとっ!?」
ミラーが五体満足なら、私が不利だったかもしれない。でも、両腕はヴェイダーと同じように粗悪なパーツを使われたサイボーグだ。こうなることは予期していた。
嫌悪感はいずこへ、哀れと思う。
戦いをやめる選択もあったのに。
「クソ…!身体が……!!」
「サイボーグの両腕が肉体に負担をかけてる。切り落とさないと、死ぬよ。」
「また腕を失うことになるんだぞ!?」
「………助けられない。」
「ハッ……助けられない?助けないの間違いだろ。いいさ、それが……正解だ。俺は死ぬ。だが、反乱軍も…滅びる………」
ミラーはそう言い、静かに息を引き取った。
同情はしない。ミラーは私とカリに逆恨みして、殺そうとした。私を殺す為に、皇帝の施しまで受けたんだ。同情できるものじゃない。
だけど、哀れには思う。
私達への憎しみを忘れて、別の人生を選ぶことができたはずだから。
選んだのは、ミラー自身だ。
「安らかに、ジェラルド・ミラー。」
そう呟き、私は踵を返す。
ドームの中では戦いが始まってる。エズラは恐らく、〈キメラ〉だ。そこでホログラムの皇帝と会っているだろう。
私はドームのみんなに加勢しなきやいけない。
ポシェットからワイヤー装置を取り出して、覚悟を決める。
これが私ができる、唯一の手助けだ。
「………」
ドームに辿り着くけど、外にトルーパーは1人もいない。ほとんどのトルーパーはドームの中だ。エズラの作戦では、ドーム内のトルーパーは人質予定だったんだから。
これ幸いと、私はドームの上層エリアの窓にワイヤーを飛ばす。そしてワイヤーを使って上まで登り、私は窓を蹴破ってドームに侵入した。ブラスターでトルーパーを撃ち倒しながら、私は真っ直ぐターミナルへ向かう。
ほとんどのトルーパーがドーム内にいるなんて、結構しんどいな。
ターミナルの天幕部分に辿り着き、私はシャフトを開け、迷うことなく飛び降りる。
「ホーガン!!」
着地した後、私は彼を伏せさせて、カラスを撃とうとしたトルーパーを撃ち倒した。
「お待たせ!!」
影に隠れながら、チームBに親指を立てた。
やっと私も一緒に戦える。