【完結】退職(無断)したので、飲食店やります。   作:夭嘉

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シスの裁き

時間をかけ、辿り着いたのはムスタファーだった。

 

外の景色を見る間も無く、私はヴェイダーの城の中へ案内された。

 

そして、あり得ない状況に私は動揺してしまった。

 

 

「サム!!」

「カリ!?」

 

 

ヴェイダーは私の視線に動じず、座るように促してくる。

 

そう、中にはカリがいた。

 

カリも同じように座るように言われ、私達は大人しく座る。私が苦い顔をしているのに対して、カリはヴェイダーに敵意を向けていた。その敵意すら、ヴェイダーには脅威ではないらしい。

 

 

「全く、逞しくなったものだな。」

「私のこと知らないくせに。」

「お前のことはよく知っている。」

「データとして、でしょ。」

 

 

カリの言葉に、ヴェイダーは否定する。

 

 

「そんなわけない。」

「そうか、お前は知らないのか。」

 

 

寒気がする。そうだ、カリはヴェイダーの正体を知らない。世間では、ヴェイダーがアナキンを殺したと言われているから。

 

 

「何を言ってるの?」

「ヴェイダー、」

「知らない方がいいと言うつもりか?」

「サム………?」

「………」

 

 

秘密はやめる、カリにそう言ったはずだった。

 

でも、これは違う。カリにとっても、根本から覆る事実だ。知るべきじゃない秘密だ。

 

 

「カリ……ごめん………」

「え……?」

「隠すつもりはない。ただ、お前が知る機会がなかっただけだ。」

 

 

胸が締め付けられるように痛い。

 

 

「その昔、私はアナキン・スカイウォーカーの存在を亡き者にした。」

「っ!?」

 

 

カリはヴェイダーの言葉の意味を理解し、表情を翳らせる。

 

 

「ジェダイ・オーダーは悪だったのだ。」

「違う!ジェダイは平和の守護者だった!」

 

 

悪というヴェイダーの言葉に、カリは怒鳴り反論する。

 

 

「サムが話したくない理由が分かったよ。」

「ほぅ?」

「元ジェダイとしてだけじゃなくて、人として最低だよ。」

「カリ、」

「あんたは、ただアナキン・スカイウォーカーを殺したんじゃない。良心を殺してる。そして、人としての理性も潰した。」

 

 

カリの反論に、ヴェイダーは何も言わない。感じられるのは、暗黒面の力だけ。少しの沈黙の後、私は口を開く。

 

 

「良心があるかないか言ったら、私も同じだよ。」

「サムは善人だよ!シスとかジェダイよりも、善悪を知ってるんだから!私を連れ出してくれたでしょ!」

「………それが間違いだったら?」

「間違い………?」

 

 

現在、帝国に生存確認されているジェダイ・オーダー関係者は、私とカリだけだ。帝国、強いては皇帝は、ジェダイに関わるもの全てを抹消したいだろう。皇帝はクローン戦争の時からジェダイを滅ぼす計画を立てていたんだ。私達のような存在は目障りなはずだ。

 

私とカリは、皇帝がいる限り死ぬまで追われ続けるんだ。

 

オーダーから離脱したのが間違いなら、私はカリを巻き込んだ悪ということになる。

 

 

「私は自分勝手にオーダーを抜けた。カリはそれに巻き込まれたの。」

「やめてよ………」

「ヴェイダー、ジェダイの存在が間違いって、否定できないよ。」

「ようやく認めたか。」

「殺すなら私だけにして。カリは関係ない。」

「それは不可能だ。お前達に自由は認めない。」

 

 

無慈悲にも、ヴェイダーは私の要求を拒否する。

 

だけど次の瞬間、隣に座っていたカリがヴェイダーに切りかかっていた。

 

 

「カリ!お願いやめて!」

「嫌だよ!」

 

 

怒りのままにライトセーバーを振るうカリに、ヴェイダーは極めて冷静に対処していた。

 

カリでは敵わない。ヴェイダーの方が圧倒的に上だ。反撃されたら、為す術もない。

 

 

「所詮はジェダイの技だ。」

「っ……」

 

 

その瞬間、カリのライトセーバーは叩き落とされ、首に刃が添えられた。

 

 

「カリ!!!」

 

 

寒気がする。

 

ヴェイダーから、殺意しか感じない。止めても無駄だと分かっている。でも認めたくない。

 

 

「言ったはずだ。ペレスの行動がジェダイとお前の間違いを証明する、と。」

「こんなの違う……!」

「サム、私はいいから。」

「やめて!!」

 

 

私は、ポシェットに手を伸ばす。でも、その直前で止めた。カリが無理なら、私はもっと敵わない。

 

だけど、カリの瞳は何も揺らいでいない。

 

 

「ジェダイの訓練を続けたのは私の選択なの。サムを守りたかったから。だからサムに非はないよ。」

 

 

違う。カリは悪くない。私のせいだ。

 

 

「ホーガン、逃げればいい。だが、現実は変わらない。お前の自己中心的な考えが、この結果を招いたのだ。」

「カリを解放して……!」

「………サム」

 

 

カリのいつもと違う声に、私は息ができなくなった。

 

 

「フォースと共にあれ。」

 

 

そして、ヴェイダーはカリの首に刃を通した。

 

 

「これでお前と2人だ。」

「………」

「強い憎しみと怒りを感じる。暗黒面のフォースを受け入れれば、お前は強くなる。守られる必要もない。だが、守ることができるようになる。」

 

 

ヴェイダーの言葉は、何も入ってこない。目の前の現実を否定したい。横たわる家族に、私は憎しみを抑えようと必死になっていた。

 

私はジェダイじゃない。だから深い悲しみの受け入れ方なんて知らない。カリを想えば想う程、受け入れられない。

 

これは、私が悪いんだ。

 

私の価値は何?

 

自分の存在価値が見出せなくて苦しい。

 

 

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