【完結】退職(無断)したので、飲食店やります。   作:夭嘉

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変化の予兆

突如、〈ホーガ・フォレスト〉は攻撃された。

 

アズがスリープモードに入って、私も完全に寝落ちていた。

 

攻撃してきたのは、トレード・フェデレーションの船だ。エンジンをやられて、私の船は航行ができなくなった。ハイパードライブも損傷して、私は怒りを堪える。

 

 

「アズ、起きて。」

「はい、サム様。」

 

 

アズを起こし、私は損傷した箇所を確認する。

 

ガンレイめ、やってくれたな。

 

 

「アズ、あいつらに見つからないようにハイパードライブを最優先で直して。」

「他はよろしいのですか?」

「ハイパードライブさえ直ればいい。」

「ですが、無理に光速航行すれば船体の損傷が悪化する恐れがあります。」

「逃げられればいいの。お願い。」

「承知しました。」

 

 

アズをエンジンルームへ向かわせて、私は敵船の通信を繋げる。

 

ところが、ホログラムに出たのはガンレイではなく、知った顔だった。

 

 

「ドゥークー伯爵、どういうつもり?」

『サマンサ・ホーガン、攻撃したのはすまない。だが、そうしなければお前は逃げてしまうからな。』

 

 

ドゥークー伯爵は、私を捕まえに来たわけではないらしい。だけど船を壊されて、私が心穏やかなはずがない。これでは、しばらく営業ができない。

 

損害賠償を請求してやりたい。

 

 

「何の用?」

『ビジネスの話だ。』

 

 

奴は船をドッキングさせて、私に来いと言う。

 

もしこれで連合軍に入れとか言われたら、ぶん殴ってやろう。でも、アズの修理から気を逸らせる。前世ではドゥークー伯爵の最期に同情したけど、気持ちが変わりそうだ。

 

お望み通り行ってやると、貴賓室に案内された。

 

1つしかない椅子に私が座ると、ドゥークー伯爵は早速本題に入る。

 

 

「店は随分好調らしいな。」

「それが?」

「単刀直入に言おう。〈ホーガ・フォレスト〉を潜入や偵察で使わせてもらいたい。」

 

 

下手に出てきているけど、私に拒否権はないようだ。

 

要は、隠れ蓑として使わせろってことだ。繁盛している店なら、誰も疑わない。それに私の船は長年の営業功績と、客からの信頼によって、各所に着陸許可を得ることは難しくない。

 

分離派の星だろうと、共和国の星だろうと関係ない。

 

でも、そんなことは私が許さない。

 

 

「嫌だね。」

「もちろん報酬は払う。何が不満だ?」

 

 

私はスッと立ち、ドゥークー伯爵を睨み上げる。

 

 

「報酬なんかいらない。私の船を侵略に使うってことでしょ?お断りだね。」

「侵略ではない。あらゆる星を、分離派に引き入れる為のきっかけに過ぎん。」

「それが侵略じゃないなら何なの?〈ホーガ・フォレスト〉を戦いの道具にしないで。」

「私の誘いを断るということは、敵も同然なのだぞ。」

 

 

交渉が無理と分かれば、今度は脅しか。

 

 

「私に敵も味方もない。私はただ楽しく店をやりたいだけ。戦いには興味がないから。」

「ジェダイをやめたとはいえ、フォースの意志からは逃れられんぞ。分かっているはずだ。お前の中から、暗黒面を感じる。死を……何かを恐れているな?」

 

 

次の瞬間、私の拳はドゥークー伯爵に受け止められていた。

 

怒りを覚えた私は、衝動的にドゥークー伯爵に拳を投げていた。私の反応は予期していたようで、奴はほくそ笑む。私もドゥークー伯爵の中に暗黒面を感じているのを、奴は分かっている。

 

 

「さては図星か。」

「私が暗黒面に誘われていようが、あんたには関係ないでしょ!」

「無知な小娘よ。シスの関心があるとは思わんのか?」

「シスは1000年前に滅んでる。ダース・モールも死んだ。シスはいない。」

「そう信じているのか?それとも自らに言い聞かせているのか?」

「何を言わせたいわけ!?なんで納得しないの!?」

 

 

違う。ドゥークー伯爵は交渉に来たんじゃない。情報を得たいんだ。私がどっちに付こうが関係ない。奴が欲しいのは、私の本音だ。

 

ムカつく。絶対に乗ってやるものか。

 

 

「そうか……何かを察し、逃げているな。」

「これ以上邪魔するなら、ジェダイに戻ってあんたと戦うことになるよ。」

「望むところだ。貴様なんぞ取るに足りん。」

 

 

ドゥークー伯爵と睨み合い、奴が先に冷静さを取り戻した。

 

 

「今日はこれくらいにしてやろう。よく考えておけ。もし仲間になるなら、ジオノーシスに来るがいい。」

「私が悩むと思う?」

「言っておくが、関心があるのはシスだけではないぞ。ジェダイ・オーダーが、お前を呼び戻すことを決めたそうだ。どっちに付くか、時間をかけて考えることだな。」

 

 

そう言って、ドゥークー伯爵は私に帰るように促す。

 

私は呆然と船に戻り、奴に言われたことを思い出す。

 

ジェダイ・オーダーが私を呼び戻す?

 

あり得ない。ジェダイは去る者を追わない。掟が執着を禁じているから。もし奴の言うことが事実なら、もう私の知るジェダイ・オーダーは存在しない。

 

いや、違う。

 

映画の通りだ。戦争が始まることが確定した。ジオノーシスの戦いが、クローン戦争が始まる。

 

もう止められない。地獄が始まる。全ての者が、生き地獄を味わう。

 

当然、私も………

 

 

「嫌だ……」

 

 

どっちにも付かない。

 

私の平穏を壊さないでよ。

 

心の奥から、甘い声が聴こえる。

 

 

サムは独身を貫くべきか否か?

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